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魔性の瞳  作者: 冬泉
第四章「怪の扉」
131/192

魔性の瞳-130◆「邪悪」

■ヴェロンディ連合王国/王都/謁見の間→回廊→レムリアの居室


 胸騒ぎを覚え、セイは足を速めた。一般的なレムリアへの風聞故に、普段から人の気配が少ない王宮の“姫君の翼”部分だが、それでもこの静けさは異常だった。


 セイの脳裏に、先程エルド男爵と共に王の御前にいた黒衣の男の姿が過ぎった。絡みつく様な笑みの記憶が、如何にもセイの心をかき乱す。


「あの様な、あからさまに怪しげな人物さえも出入りしてしまっている──都の結界は、いったいどうなってしまっているのか・・・」


 “内から結界を綻びさせるのは、闇に隙を作っている弱い心”──先日のハリーの言葉が聞こえてくるかの様だった。眉宇びうを寄せて、セイは騎士として礼を失しない範疇はんちゅうで脚を早めた。


「むっ・・・?」


 唐突に胸を襲う重い不快感に、セイは己の懸念けねんが間違っていないことを悟った。この先──姫君の居室の方に何かがいる。セイは意を決して全速で走り始めた。


               ☆  ☆  ☆


 長い廊下を走り、階段を駆け上る。ブーツに付けた拍車が、大理石の階段に当たって鋭い音を立てる。重苦しい気配はますます大きく、その圧迫感は普通の者で有れば怯ませるに十分な心理的な圧力があった。

 だが、セイはだてに“JASTICE”のめいを抱いている訳ではない。その圧力を跳ね返すかの様に最後の一区切りを走りきると、レムリアの居室に突入した。


「姫君っ! ご無事であられるかっ!!」

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