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魔性の瞳  作者: 冬泉
第三章「心の嵐」
128/192

魔性の瞳-127◆「不羈」

■ヴェロンディ連合王国/王都/謁見の間→回廊


「・・・貴公あなたたちの言葉は、心して胸にとめておくことにしよう、ハリー殿。おそらく、貴公あなたが抱いた懸念は、もっともなものなのであろうし、貴公あなたは、これまでそうして命を落とした者を見てきたのであろうから。」


 ハリーの言葉に応じるエリアドの口元には、小さな歪みが戻ってくる。


「・・・だが、貴公あなたたちに、これまで見てきたものがあるように、私にも、これまで見てきたものがある。・・・結局、人は、自らが信じるように生きることしかできない。・・・そこまで言い切ってしまえば、少し言い過ぎになるのかもしれないがね。・・・そして、その代償は、どのような形であれ、いずれ“身をもって”支払うことになる。その生き方が正しかろうと、あるいは間違っていようとも。・・・そうだな。私が倒れる時には、私にでき得る限り、貴公あなたたちを巻き込まぬように注意するとしよう。」


 少しだけ間を取ると、言葉を続ける。


「・・・悪く思わないでほしい。貴重な助言をいただけたことは感謝しているし、貴公あなたたちのような考え方も嫌いではない。だが、他人の言葉を確かめもせずに信じる者は、盲目であること以上に、世の中に目を閉ざしていると私は思っているのでね。」


“あえて、そこまで口にせぬ方が無難に済むのかもしれないな”


 とそんなことを思いながらも、エリアドはそのすべてを口にした。それが、この国に蔓延しつつある“事なかれ主義”に対する反発だったのか、それとも私自身の若さゆえだったのか・・・、その判別は、その時のエリアドにもつかなかったのだが。

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