魔性の瞳-121◆「自儘」
■ヴェロンディ連合王国/王都/謁見の間
「貴公・・・」
エリアドの言葉を聞き、セイの眉間には目に見えて青筋が立った。それを、目線で制するアクティウム。ハリーは薄く笑って状況を観ている。
「おや。お気に召さないか。」
残念だけど、無理強いはいけないからねぇ、とアーサーは一人ごちる。
「仕方がない。それでは、夕食会はまたの機会にするとしようか。お?」
謁見の間に、近衛騎士が一人入ってくると、アーサーに深々と一礼する。
「王陛下。騎士同盟よりの使者が参っております。王陛下への謁見を願い出ておりますが、如何致しましょうか?」
「判った。こちらへ案内する様に」
「はっ!」
一礼して騎士が退出する。
「アクティウム、貴公はここに残ってくれたまえ。セイとハリーはエリアド殿を頼む」
「はい、お任せを」
暗雲を孕んだセイに代わってハリーが答えると、アーサーに一礼して、外に出る様に二人を促した。
☆ ☆ ☆
一礼してハリーに促されるままに外に出る。正直、意外ではあった。夕食会とやらについて、アーサー王がこうも簡単に引き下がるとは思っていなかったからだ。
“・・・とはいえ、この代償、けして安いものではなさそうだがな”
隣にいるセイの表情にそんなことを思いながら、こう続ける。
「・・・済まないが、レムリア殿にお会いできるか伺ってはもらえまいか? 差し支えなければ、さきほどの預けものをお返しいただきたいのだ」