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魔性の瞳  作者: 冬泉
第三章「心の嵐」
118/192

魔性の瞳-117◆「身分」

■ヴェロンディ連合王国/王都/謁見の間


「ふむ・・・どうしても嫌だと言うことであれば、位返上も止む無しと思うが・・・だが、そうなると、王宮への入城もすんなりは行かなくなるな?」


 アーサー・アートリムの最後の疑問形は、アクティウムに向けられたものだった。


「左様。サー・ムーンシャドウ、王陛下の仰る通り、貴殿の嫌がる“位”が貴公の宮殿での身分を保障しておる。本意では無かろうが、ここは事情を理解する必要があろうかと思うが、如何か?」


 無論、レムリア姫様の為もある、とアクティウムは付け加えた。その言に、アーサー・アートリムも頷く。


「エリアド。先程、レムリアにもはっきり言われたのだが──私は、君がレムリアにしてくれたことにとても感謝しているのだよ。国元には帰ってきたが、あの娘は全く笑うことが無かった。レムリアを見る周囲の目は、よこしまなものであっても、優しいものではなかったからだ。だが、そんな不憫な娘に、君は笑顔を取り戻してくれた。そのことに関する礼の形、と言う訳ではいけないだろうか?」


 真摯な言葉だった。真剣な表情で、アーサーはエリアドの目をのぞき込んだ。


「あの・・・差し出がましい事とは存じますが…」


 澄んだ声が、皆の注意を喚起した。アクティウムの傍らに立っていた華奢な少女は、優しげな笑みを浮かべて言った。


「国の公式なお客様である“自由騎士”には、王陛下しか裁定できません」

「そうか。契那の言う通りだな。エルド男爵が圧力を掛けようとも、自分では如何ともしがたいということだ」


 目を細めて、養い子に笑みを向けるアクティウム。


「恐れ多くも、国民全てに敬愛されている王陛下に圧力を掛けるなど以ての外、ということを考えると──エリアド殿、これは安全保障と言うことにもなるんじゃないかな」


 面白そうな口調はハリー・ハウ。その横で、不正なことがあったら自分が成敗してやる、とセイが息巻く。


「そういうことだよ、エリアド。皆が言ったことを理解して貰えたかな?」


 にこにこと笑ってアーサーが言った。

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