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魔性の瞳  作者: 冬泉
第三章「心の嵐」
115/192

魔性の瞳-114◆「暗闇」

■ヴェロンディ連合王国/王都/王宮→謁見の間


 大きな両開きの扉の向こうは、五百人からは入れそうな大広間となっていた。一番奥の壁には、壁一面を覆うフリヨンディとヴェルナの連合旗、通称“盟約の旗”と呼ばれる旗が天井から垂れ下がっていた。


「・・・私奴は、私に与えられた権利故に申し上げているのです」


 甲高い、どこか神経質な声が広間に響く。そして、それに応じる静かな声も。


「貴公の権利については、十分に考慮をすると申している」


 僅かなから苛立ちを口調に滲ませてヴェロンディ連合王国国王アーサー・アートリムが応えた。普段、冷静沈着で知られている名君にしては、些か珍しい態度である。


「ならばっ! 約束の儀に従って下さいませ!」

「斯様に冷静さを欠いては、纏まる話も纏まらなくなりますぞ」


 静かな、何処か揶揄する様な合いの手。だが、エルド男爵は諦めきれないのか、尚も抗弁しようとする。


「しかしっ」

「・・・おや。何方かいらしたようですな」


 その、見知らぬ人物からの言葉に臆することもなく、セイとハリーは歩を進めていく。王座の前には、国王アーサー・アートリムと、エルド男爵、そして非常に背の高い、黒衣の貴族風の男がいた。


「只今戻りました、陛下」


丁寧な騎士礼をするハリーとセイ。アーサーは二人に頷くと。


「サー・ムーンシャドウ。急なところ、良く来てくれた」


 挨拶するアーサーの傍らで、おっかなびっくりエリアドの方を伺うエルド男爵を庇うかの様に、貴族風の男が一歩前に出た。片眉を微かに上げると、男は口を開いた。


「エルド男爵の所で食客をさせて貰っている、ラ・ルと言う者だ。高名なる騎士の方々、特に“魔剣士”殿と面識が持てて光栄に思う」


 お見知りおきを、と如何にも慇懃に名乗る。

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