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魔性の瞳  作者: 冬泉
第三章「心の嵐」
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魔性の瞳-109◆「意義」

■ヴェロンディ連合王国/王都/王宮正門→王宮


 セイの言葉に苦笑しつつ、エリアドは王宮に向かって馬を進めた。自然、セイと馬を並べる形になる。


「・・・人には、それぞれ“為すべき役割”とでも言うようなものがある。・・・国に仕えることもまたしかりということなのだろうな。・・・この国に戻ってきて、やっと、少しづつわかってきたことだが」


 呟くようにエリアドは言う。その口調には、何処か老成した響きがあった。


「・・・あるいは、おのれは、そうした行為を正当に評価できる人間でありたいと思ってしまうのは、己の行為が正当に評価されていないと感じていることの裏返しだったのかもしれぬな」


 冷厳とも思える程の表情の口端に、自嘲気味の笑みが浮かぶ。


「・・・この国に戻ってきて、よかったのかもしれぬ。・・・この国を出る前にはよく見えていなかったいろいろなことを、十年以上の“時”を隔ててあらためて見直してみると、これまでとはまた別の理解が生まれてくる。・・・そのことだけをとっても、陛下や・・・(やや躊躇いがちに)・・・レムリア殿には、感謝しなくてはなるまいな」


“・・・そして、星々と運命の女神イスタスの導きに・・・”


 エリアドは夕闇が迫りつつある空を見上げると、心の中で運命の紋様を織りなす女神に短い祈りを捧げた。そんな下界の祈りの声に応えるかのように、黄昏の空に輝く一番星が煌めいて見えた。

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