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魔性の瞳  作者: 冬泉
第三章「心の嵐」
103/192

魔性の瞳-102◆「平常」

■ヴェロンディ連合王国/王都/王宮正門


 王宮。シェンドルの中心部にあって、王宮広場の北側に面している。円形のその広場からは放射状に大通りが市内へと伸びていく。そして、丁度真北に王宮への正門があった。


 王宮の正門は、常に近衛歩兵一個小隊が守っている。もっとも、かって王宮の正門が攻められたことが無かった為、その警護は形骸化しつつあるのだったが。


「万事異常はありません」


 型通りの報告。恐らく、近衛兵達にはそれ以外の言葉など思いつかないのだろう。表情こそ変えない乍らも、正門警護の騎士たるシュテファン・ラダノワは心の中で嘆息していた。


「了解。警護を続けよ」

「はっ!」


 同様に、型通りの指示を返してやる。それ以外の指示を受ければ、近衛兵達は混乱するだけだ。


“斯様な状態で、何か起こった時にどうするのか?”


 幾度と無く繰り返した疑問である。だが、自分なりに解決策を図ろうにも、誰も“革新”には無関心だ。


“これまで続いたように、これからも続く、か…”


 今の乱世にあって、その様な硬直した考え方が如何に危険か──この国の大部分の者には、その事実が全く見えないようだ。


“考えても仕方がない、いや、斯様なことを考えるのは間違っている──何度言われたことか”


 そして、疎んじられた挙げ句、騎士団から転属となり、正門の近衛兵の隊長という訳だ。自嘲気味の笑いを抑えると、引き続き警護の任にあたった。

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