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魔性の瞳  作者: 冬泉
第三章「心の嵐」
101/192

魔性の瞳-100◆「変化」

■ヴェロンディ連合王国/王都/中央市場マーケット


「ご助言、感謝致します」


 エリアドの“凍気”にあてられたのか、商人はただ口をぱくぱくするだけの状態だった。

 若者の方は、少しホットした表情をエリアドに向けた。


「申し遅れました。私はフランツという者です。失礼ながら、貴方も外つとつくにのお方でしょうか?」


 温厚な物腰と礼儀正しい物言いからは、そこはかとない気品が感じられる。


「もしも、お時間がありましたら、ご助力頂いた御礼の代わりに、一献如何でしょうか?」


 私の泊まっている宿の酒場は非常に良い雰囲気ですよ、とフランツは続けた。


               ☆  ☆  ☆


「・・・残念ながら、エリアドはこの国の生まれだ。長いこと異国で過ごし、最近戻ってきたばかりだから、この国の無神経さに、いまだに慣れることができぬ。・・・ただ、それだけのことだ。」


 若者の問いに、私は冷やかな表情を崩すことなく、苦々しげに言葉を紡ぐ。


“・・・らしくない。なぜ、このようなことに関わったのだ?”


 実際レムリアと出会ってから、私は自分が少しづつ変わってきているように感じていた。

なぜ変わったと感じるのかは、自分でもよくわからなかったのだが・・・。


「・・・お誘いはありがたいが、今はそういう気分にはなれそうもない。もし“縁”があれば、どこかで会う機会もあるだろう。

 ・・・もっとも、この国で“私”のような者と一緒にいると、廻りからどのような目で見られるかは“推して知るべし”だがな。

 ・・・私とは、これ以上関わらぬ方がいい。」


 私は、その若者に興味を失ったかのように、馬首を返してその場から歩み去る。


 外見的には彼とさして変わらぬ二十歳そこそこにしか見えぬ私に、このような物の言い様をされた彼が、どのように感じていたかは私にはわからない。だが、外見的にはどうであれ、その時、私はこの国に疲れていた。この国の濁り、澱んだ雰囲気に。

 何時もお読み頂き、有り難うございます。おかげさまで、掲載百回となりました。今後とも面白くすべく精進して参りますので、宜しくお願い申し上げます。

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