備前・阿波・登場人物
備前の連中は、三好義賢の悪魔ベリアルにビビって、身動きが取れなくなっていた。忍者の睦月ちゃんを情報収集に行かせて、帰りを待っている。
「火ちゃん、俺と付き合ってくれ!」
「立花・・・。」
ついに立花と火ちゃんが、いい雰囲気に。
「火ちゃん、私と付き合って!」
「火ちゃん、俺と付き合って!」
小早川と吉川まで、火ちゃんにお付き合いを申し込む。
「どけ! 火ちゃん、赤いバラの花束を受け取ってください!」
宇喜多まで、火ちゃんに言い寄る。
「人生初のモテ期到来だ! 青春がやってきたよ!」
火ちゃんが鼻息が荒くなるほど、興奮していた。
「どいつもこいつも、目が腐ってる。」
「火竜の鎧が目当ての汚い連中ばかりだ。」
海ちゃんと義久は、呆れている。
「よっぽど、海竜の鎧を見て、竜の使いと仲良くしている方がいいと感じたんだろうな。火ちゃんがモテてるように見えるのがムカつく!」
「海ちゃんには、私がいるではないか。」
「はい、義久さま。」
海ちゃんと義久は、ラブラブであった。
「ただいま、でござる。」
そこに、忍者の睦月ちゃんが戻ってきた。
「やや!? 暑苦しい、火ちゃんがモテている!? 変でござる。」
睦月ちゃんの目にも、怪奇な現象に見える。
「そなたが、睦月ちゃんか?」
「あなた誰?」
睦月ちゃんは、初めて義久と海ちゃんに会う。
「私は、薩摩の大名、島津義久だ!」
「海ちゃんだ!」
「大名!?」
へっぽこ忍者の睦月ちゃんは、大名という言葉に心を射抜かれた。
「殿! どこまでも、ついていきます!」
「忍者として、頑張ってくれ。」
「はは! ありがたきお言葉です。」
「で、周辺国の状況は、どうだったの?」
形式的な話を、海ちゃんがカットインする。
「はい。京周辺は、全て三好の領土になっています。」
「なんと!? 全てか!?」
三好長慶が、天下統一に1番近い大名であった。
「はい。あと京周辺には、鬼という化け物が大量に暴れていて、三好軍が鬼の鎮圧に手間取っているようです。」
「歴史に名を残す者たちか・・・。」
どうやら、三好悪魔軍と歴史に名を残す者たちは、繋がってはいないようだ。
「あと、備前の周辺国には、三好軍は撤退していませんが、播磨、因幡、但馬、丹後、丹波には、三好悪魔がお城で待機している模様です。」
「義賢みたいのが、5体も・・・。」
三好悪魔と5連戦が控えている。これを倒さなければ、京には、たどり着けない。
「睦月ちゃん、ご苦労であった。」
「殿、ご褒美は、ご飯をいっぱい食べさせてくださいね。」
睦月ちゃんは、相変わらず、食い意地が張っている。
「私と海ちゃんだけで、5体もの悪魔と戦うのは厳しいな・・・。」
「義久さまの負担が大きすぎます!」
義久は、考えた。
「火ちゃん!」
「なんですか?」
「さっさと、誰と一心同体して、火竜の鎧をまとう者を決めてくれ!」
「え!? そんな、いきなり!?」
火ちゃんは、もっと男に言い寄られていたかった。
「火ちゃん!」
「火ちゃん!」
「火ちゃん!」
「火ちゃん!」
立花、小早川、吉川、宇喜多と優秀な武将から求められて、悪い気はしないのだ。
「選べません!?」
火ちゃんが選べないので、九州中国制覇隊の本州侵攻部隊は、中国四国編では、ここまでしか、動けなかった。
ライたちは、阿波にやって来た。「三好領の民は、平和に暮らしている。」という、長逸の言葉を確かめるために。
「え!?」
ライは、耳を疑った。
「三好さまは、コメや野菜を略奪したりしませんし、お金や女に手を出すこともしませんよ。元いた悪徳大名を退治していただき、ありがとうございます。三好さまならが天下を統一されたら、日本は平和な国になるでしょう。」
村人は、三好に感謝していたのだった。
「・・・長逸の話は、本当だったのか・・・。」
ライは、三好という存在が分からなくなっていた。
「俺たちが戦うのも、天下統一して、平和な日本を作るため、三好が戦うのも、平和な日本を作るため、同じ気持ちなのに、どうして戦うんだろう・・・。」
その言葉に、村人は反応した。
「あなた方、三好さまと戦っているんですか?」
「はい。九州中国制覇隊です。」
「あなたたちでしたか・・・クククククッ。」
村人は、気持ち悪く不気味に笑い出した。村人が闇に覆われていく。
「まさか!?」
ライたちは、ゾクッとした。
「我は、太陽神の悪神アドラメレク。地獄の上院議長であるぞ! ひれ伏せ!」
悪魔よりも上位の悪神に変わってしまった。
「俺がやります! 家久と元親さんは、下がっていて下さい。」
ライとアドラメレクの戦いが始まった。
「海竜破!」
ライが必殺技を放つ。海竜が、ガオーン! っとアドラメレクに向かっていく。
「無駄だ。」
アドラメレクは、指先から太陽光線を出し、海竜を真っ二つにする。海竜は、消えてしまった。
「太陽光線!? アマさんと同じタイプか!?」
ライは、直感的にアドラメレクもアマさん同様、太陽のスキル持ちだと認識した。
「火竜破!」
しかし、ライは諦めない。次の攻撃で火竜をぶっ放す。
「無駄だと言っているだろうに・・・。」
アドラメレクは、太陽光線で火竜を引き裂く。
「空竜破!」
ライは、3竜目の空竜も解き放つ。
「無駄! 無駄! 無駄! 無駄! 無駄!」
アドラメレクは、太陽光線で空竜もかき消してしまう。
「ライの竜が負けた!?」
「なんなんだ!? あの化け物は!?」
家久と長宗我部は、どうすることもできないのだ。
「人間は、無駄な抵抗をするものだな。私の太陽光線で焼き殺してくれるわ!」
アドラメレクが太陽光線を、ライに向けて放射する。
「人間のすることに、無駄なことがあるもんか!」
ライは、太陽光線に向かって駆けだす。
場面が変わり、回想。
「ないとは思うが、私と戦うことになった時の対処法を教えておいてやる。」
「アマさんとは戦いたくありませんよ・・・。」
ライとアマが会話をしている。
「うれしいことを言ってくれるな! よしよし!」
アマは、ライを抱きしめる。
「アマさんと戦ったら、確実に殺されます・・・。」
ライは、無表情でポツリとつぶやく。
「手段は、1つだ。太陽光線を剣で受けるしかない。」
「剣で受ける!?」
「そうだ、それしか太陽光線使いに勝つ方法は、それしか無い。反射させる鏡なんか都合よく持っているわけが無いからな。」
太陽光線は、鏡でもはじき返すことができるのだ。
「試しにやってみよう! ライ、剣を構えろ!」
「え!? 嫌です!?」
「いくぞ! ライ! 死ぬなよ!」
アマは、ライに向けて、太陽光線を連射する。
「ギャア!?」
こうして、ライは生死を彷徨った。
回想、終わる。
「太陽光線、破れたり!」
「なに!?」
ライは、アドラメレクの放った太陽光線を3竜雷剣で受け止める。アドラメレクは予想外の出来事に驚く。
「剣が光り輝く!?」
ライは、太陽光線を受け流そうとしたが、太陽光線が剣に吸収されたかのように、3竜雷剣が輝きだした。これも空を支配する空竜が、太陽も支配しているからだろうか?
「光の剣! これなら悪神にも通用する!」
ライは、光の3竜雷剣が完成したのである。アドラメレクの間合いに入いる。
「光空竜斬!」
「ギャア!?」
光の剣が、悪神をぶった切る。ライは、確かに手応えを感じた。アドラメレクは、悲鳴を上げ、苦しむ。破の破壊力だけでやってきたが、ここにきて、初めて斬を実装する。
「やったか!?」
ライは、片膝をついている、アドラメレクを見つめる。
「クッ!? 信じられん!? 私が人間ごときにダメージを受けるとは!?」
アドラメレクは、油断があったとはいえ、人間に傷つけられるとは、想像もしていなかった。自己嫌悪から体が震えている。
「おまえの名前は何という?」
「ライ。」
「ライか、おまえの名前は、この傷と共に忘れんぞ!」
アドラメレクは、ライという名前を記憶した。自己の未熟さに腹が立っているのだ。そして、悪魔が子供に負けたということも、許せなかった。
「今日の所は、私の負けを認めよう。だが、悪魔は死なんぞ! この傷が癒えた時に、おまえの魂を奪い取ってやるからな!」
そう言うと、アドラメレクは、闇の中に去っていった。
「アドラメレク、なんて恐ろしいヤツなんだ・・・。」
ライは、また戦うことになると感じていた。
「ライ! 勝ったぞ! 悪神にも勝ったぞ!」
「ライどの! 大丈夫ですか?」
家久と長宗我部が、駆け寄ってくる。
「大丈夫です。これで阿波も制覇ですね。」
「義弘兄上が、土佐や阿波に来ていないということは、讃岐に向かったかも? 兄上は強いから、讃岐も制覇していると思うから、これで四国も制覇だな。」
「四国制覇!?」
長宗我部の悲願の言葉であった。
「四国は、長宗我部さんにお願いします。」
「いいんですか!? まだ入ったばかりの新参者なのに!?」
「土佐の民の声を聞いていると、優しい大名さんなので。」
「分かりました。でも、私も引き継ぎが終わったら、加勢しますね。」
「はい。お待ちしています。」
「俺たちは、人で不足ですから!」
「ハハハハハ!」
3人は、楽しく談笑した。
こうして、阿波を制覇した。これで、四国を制覇した。九州、中国、四国を制覇し、西日本制覇隊になったのだった。しかし、戦国時代にスマホなどの携帯電話がないので通信手段はなかったのであった。
「待ってろ! 三好! 必ず京にたどり着いて、首里姫様を助けるぞ!」
ライは、決意を新たにする。
「いくぞ! 本州!」
「おお!」
第2部 中国四国編 終わり。
第3部 京、蹂躙編 つづく。
第2部 中国四国編 完結により、第3部のために整理。
西日本制覇隊。
阿波・・・ライ、島津家久。
讃岐・・・鍋島直茂、島津義弘、空ちゃん。
備前・・・島津義久、海ちゃん、立花道雪、小早川隆景、吉川元春、宇喜多直家、火ちゃん。
九州・・・島津歳久。
中国・・・毛利輝元。
四国・・・長宗我部元親。
戦死・・・高橋紹運。
歴史に名を残す者。
1、卑弥呼(おもちゃ大好きっ子)
2、藤原道長
3、ヤマトタケル
4、源頼朝
5、平清盛
6、足利尊氏
7、聖徳太子
8、清少納言
9、紫式部
陰陽師。
巨大鬼3。
三好悪魔軍。
三好長慶。
三好義興。
三好義賢(ベリアル。火。)
三好義継。
三好長逸(アガリアレプト。水。精霊エレーロギャップ。)
三好政康。
松永久秀。
悪魔。
ヨナルデパズトーリ(ヨナちゃん。闇。)
アスモデウス(うどん屋さん。)
アドラメレク(太陽。)
サタン(魔王。堕天使ルシファー。)
西之島・・・アマさん、ギュウさん。
妖怪・・・ぬらり子、鵺、ヤマタノオロチ、正長石じいや、滑石ちゃん、石膏兵。
つづく。