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制覇! 2 中国四国編  作者: 渋谷かな
6/16

美作・伊予・備前

立花たちは、宇喜多直家を仲間に加え、三村を討伐するために、美作に進軍した。首尾は上々のようだったが・・・。



「三村家親、討ち取ったり!」


宇喜多直家の鉄砲隊の弾が、備中の大名、三村の暗殺に成功した。


「やった! これで備中と美作は、我が領土だ!」


宇喜多は、喜んだ。


「私は、備前を攻める準備をしてくるので、後はよろしく。」

「自分勝手なヤツだな・・・。」


立花たちは、宇喜多の頭脳と行動力についていけなかった。



しかし、待機中に事件は起きた。


「おう、おまえら久しぶり。」


伯耆で別れたギュウさんが現れた。


「お久しぶりです。」

「ライはいないのか?」

「九州に帰っています。」

「そうか。それは残念だな。」


立花たちは、久々の再会を喜んだ。


「それはそうと、妖怪の長という女が、ヤマタノオロチの敵討ちにやってきましよ。鵺という巨大な雷獣と一緒に。」

「妖怪の長? 鵺? 知らないな?」

「とにかく気を付けてくださいよ。」


噂をしていると、妖怪の長と鵺が現れた。


「見つけたわよ! 牛頭野郎!」


妖怪の長こと、ぬらり子と巨大な雷獣の鵺が現れた。


「出た! 妖怪娘と雷獣!」


4人は、ゲッソリした。また、イナズマ地獄を味わうと思ったからだ。


「ああ!? 備後で出会った人間ども!? おまえらグルだったんだな!? よくも妖怪の私を騙してくれたな!? 許さないぞ!」


ぬらり子の怒りは最高潮に達した。


「鵺先生、よろしくお願いします。」

「ヌエ!」


鵺は、カミナリ雲を発生し始めた。ギュウさんが、天叢雲剣を持っているので、雨雲はすぐに雷鳴を響かせることになった。


「こんな面白化け物、一振りで倒してやる。」


ギュウさんは、剣を振り上げ振り下ろした。恐ろしい破壊力の一撃が鵺を襲う。


「甘い。」


鵺の前に、ぬらり子が割り込んでくる。ギュウの放った、天叢雲剣レーザーは、ぬらり子に、ドカン! 命中する。衝撃で煙幕ができる。


「勝ったぞ!」

「さすが、ギュウさん!」

「破壊力が青春だね!」

「・・・。」


ギュウは、勝利宣言を。立花と火ちゃんは、ギュウの強さを知っているので、喜ぶ。小早川と吉川は、戦というより、現代の宇宙戦争を見ているようだった。


「誰が勝ったって?」


煙が晴れると、中から金色に輝く、ぬらり子が現れた。もちろん鵺も無事である。


「な、なに!?」


立花は驚いた。ヤマタノオロチすら倒す、強力な破壊力の1撃をくらったはずなのに、ぬらり子と鵺は健在なのである。


「さすが神剣、とてつもない攻撃だ。だが、効かないのだよ。そんなものは。」

「なんだと!?」

「私が身にまとっている金は、ハイパーダイヤモンドだ!」

「ハイパーダイヤモンド!?」

「硬さは、ダイヤモンドの3倍以上だ! 誰も私を傷つけることはできない!」


なんと、ぬらり子は、ハイパーダイヤモンドなるものを身にまとっている。


「私は、妖怪の長になるに辺り、自身と貴重な鉱物のハイパーダイヤモンドを錬成したのだ! これが私の妖怪の長になる覚悟だ!」


ぬらり子は、自身の体にハイパーダイヤモンドを錬金したのだった。


「なんと恐ろしい!?」

「我々は、いったい何と戦っているんだ!?」


途中参戦の小早川と吉川は、戦いのレベルについてこれない。


「ヤマタノオロチ先生の敵を討たしてもらうぞ! 鵺先生、お願いします!」

「ヌエ!」


ゴロゴロ、ピッシャーン! 雷が立花たちを襲う。


「ギャア!?」


立花たちは、カミナリ攻撃から逃げ惑う。


「ハハハ! 人間ごとき、死んでしまえばいいんだ!」


ぬらり子が勝利を確信した時だった。


「キャア!? 何者!?」


一筋の太陽光線が油断していた、ぬらり子を直撃した。


「雷がうるさくて、昼寝もできない。」


そこにアマさんが現れた。


「アマさん!?」

「牛頭、役に立たないな。」

「すいません。」


ギュウは、姉のアマには頭が上がらない。


「アマさんだ! やった!」

「生き残ってこそ、青春だよ!」

「ハハハハハ!」


アマの強さを知っているので、立花と火ちゃんは喜ぶ。


「どこから太陽光線が!?」

「あの人たちは、神か!?」


小早川と吉川は、戸惑うばかりだ。


「ヌエ。」

「大丈夫ですよ、これくらい・・・イタイ!」

「ヌエ。」

「分かりました。」


鵺は、傷ついたぬらり子を心配し、退却を促した。


「さすがに多勢に無勢。今日の所は見逃してあげるわ! 覚えておきなさい!」

「ヌエ!」

「キャア!?」


鵺が雷を乱れ打ちした。辺りは、目を閉じなければいけないぐらい、カミナリが稲光が溢れた。


「ぬらり子と鵺がいない!?」


ぬらり子たちは、立花たちが雷に注意を取られている間に撤退した。


「助かったのか!?」

「私の青春は、まだ終わらないんだね!?」

「わ~い! わ~い!」


立花と火ちゃんは、意気投合した。


「あれ? ライは?」

「いませんよ。」

「ええ~!? 助けにくるんじゃなかった・・・。」

「・・・。」


アマさんは、ライが大好きな人で、他はどうでもいい人であった。


こうして、立花たちは、美作を制覇した。


つづく。


ライと家久は、竜に乗って海を渡り、伊予に着いた。鍋島たちの元に、悪魔のヨナちゃんがいるとも知らずに・・・。



「三好兵を吹っ飛ばすぞ!」


ライは、高橋の敵討ちもあり、戦う気持ちが強かった。


「ライ、見ろ! 兵士がいないぞ!?」


家久は、周辺を見渡しても、兵士がいないことに気づく。


「どうしたんだろう!?」

「義弘さんたちが、三好兵を倒したのかな?」

「それにしては、九州制覇隊の旗が立ってない?」


ライと家久は、不思議に思った。



これは、一時前のことである。


「全軍退却だ! 讃岐まで退くぞ!」


九州から三好義興と軍師の松永久秀が伊予に帰ってきた。


「敵が攻めてくるぞ!」


軍師の松永の判断であった。奪い取った占領地で戦うより、慣れた自国領で戦う方が良いと。それに敵は敵討ちで気力に満ち溢れているだろうから、直接対決してしまうと、分が悪いという考えである。


「久秀、本当に伊予を捨てるのか?」

「兵士たちの話によれば、風は荒れ、妖怪が大量に発生し、伊予の我が軍は、河野に勝った後よりも悪い状態です。負けるより、一度、態勢を立て直すために退いたとの方が、聞こえはいいですぞ。」

「わかった。久秀の言うことに間違いはない。全軍、退くのじゃ!」


こうして、三好兵は、伊予から撤退したのであった。



「どうしよう?」


ライと家久が悩んでいると、村人たちが声をかけてきた。


「土佐の長宗我部元親さまが、三好に攻められて困っています。助けてもらえませんか?」


土佐も三好に攻められているというのだ。


「分かりました。」

「ありがとうございます。」


ライたちは、村人たちの願いを聞いた。


「きっと兄上たちのことだ。困っている人々を助けるに違いない!」

「行こう! 土佐へ!」

「おお!」


ライたちは、土佐を目指すことになった。



その頃、山奥に隠れている鍋島たち。


「あんたたち、本当にライのお友達なの?」


悪魔のヨナちゃんは、鍋島たちを疑いの目で見る。


「ほ、本当です!? 遅いな、ライは!? ハハハハハ!?」


鍋島は、誤魔化すのに、必死だった。


「ライが来れば、竜の1匹や2匹が空を舞うから、直ぐに分かるはず・・・。」

「・・・。」

「あなたたち、ウソだったら、魂抜くわよ。」


ヨナちゃんが、怖い顔をしている。


「ライが伊予に来た。」


空ちゃんが発言した。


「どうして、分かるのよ?」


ヨナちゃんは、空ちゃんに突っかかる。


「ライは、空竜さまの竜玉を持っている。」

「竜玉?」

「空竜の使いの私にはライの居場所が分かる。」


空ちゃんは、ライGPSで居場所が分かるのだ。


「ライに会いに行きましょう!」


ヨナちゃんは、態度を180度軟化させ、笑顔でスキップする。


「無理、ライは伊予から、土佐に行ってしまった。」


空ちゃんは、ライの行動を把握している。


「なんですって!?」


ヨナちゃんは、怒りで悪魔の本性を現す。影が悪魔悪魔している。


「おい、悪魔。」

「な!?」

「鍋島は殺してもいいが、もしも私と義弘に手を出したら、私が空竜に変化し、おまえを確実に空の藻屑にしてやる。好きな方を選べ。」

「な!?」


大人しい空ちゃんが、悪魔を脅迫した。さすがのヨナちゃんも舐めていた大人しい女の子が感情の乱れもなく言うので、悪魔が恐怖を感じた。


「わかったわ。今回は見逃してあげる。」


さすがのヨナちゃんも命懸けの戦いは望んでいない。


「死ね! 鍋島!」

「なに!?」


ヨナちゃんは、闇の渦を作り出し鍋島の魂を闇に落とそうと追いかける。


「待て! 魂を抜かせろ!」

「誰が待つか!?」


逃げる鍋島を、ヨナちゃんは追いかける。


「伊予の城に、九州制覇隊の旗を立てに行こうか?」

「うん。おんぶ。」


空ちゃんは、義弘の静かな背中が大好きなのでした。


こうして、伊予を制覇した。


つづく。


美作を制覇した立花たちは、宇喜多との約束通り備前の浦上を攻撃するために出陣したのであった。アマとギュウは、ライがいないので、カーの捜索に行ってしまった。



「浦上村宗 討ち取ったり!」


備前を治めていた大名の浦上家を滅ぼした。


「やった! これで備中、美作、そして備前は、私のモノだ!」

「殿、下剋上の完成ですね!」

「その通り! 睦月ちゃんは、カワイイ忍者だな! ハハハ!」


宇喜多は、大いに喜んだ。睦月ちゃんは、強い者を殿と呼ぶ、自己防衛能力の高い忍者である。


「あの忍者、調子がいいな。」

「浮気するのも、青春だよ。」


立花と火ちゃんは、呆れていた。


「一足、遅かったか!?」


そこに三好の黒い鎧を着た武将1人と黒い鎧を着た兵士たちが現れた。


「黒い鎧!?」


立花たちは、驚いた。どこの兵士だろう?


「私は、京の三好家の武将、三好義賢である!」


立花は、まだ知らない。三好軍に攻められて、九州で高橋紹運が戦死したことを。


「一足遅かったか・・・まあいい。畿内全域は、我らが領土になった。」


なんと三好は、畿内全域を制覇していた。


「備前を治めしものよ! 三好の軍門に下るがいい!」


義賢は、立花たちに降伏を進めてきた。


「ちょっと待て、話し合う。」


立花は、時間をくれと話し合った。


「どうする?」

「話し合いをするのも、青春だよ?」

「天皇は、足利将軍はどうなったのだ!?」

「京も、あいつらの手に落ちたというのか?」


弱気な立花、火ちゃん、小早川と吉川は、悩んでいた。もちろん、この頃には、九州で三好との開戦が行われているので、和議を結ぶなどという選択肢は許されないのだが、立花たち、三好義賢たちには、まだ連絡は着ていない。戦国時代に携帯電話は無いのである。


「撃て!」


宇喜多の合図で、鉄砲隊が三好軍に、バン! バン! っと、鉄砲を撃つ。


「宇喜多!? 勝手なことをするな!?」

「おまえたち、情けないぞ!? やっと浦上と三村の悪徳大名から村人を解放したのに、三好なんかに降伏するわけにはいかん!」


宇喜多は、1人でも戦うつもりだった。


「それが、おまえたちの答えか・・・なら、おまえたを消し去るまでだ!」


三好義賢の黒い鎧が黒い魔法陣を描き始まる。


「三好の体が変わっていく!?」


三好義賢の体が巨大化していき、人ではない姿になろうとしていた。


「我が名は、悪魔ベリアル。邪悪なる者だ。」


悪魔の異様な姿になってしまった。


「なんだ!? 化け物になった!?」

「強敵が出てくるのも青春だ!?」

「そうか!? 三好は悪魔になって、畿内を制覇したんだ!?」

「こんなものに戦って勝てって言うのか!?」


なんと三好家の快進撃は、悪魔と契約することによるものであった。


「闇の炎に焼かれるがいい!」


ベリアルの周囲を、黒い炎が湧き出してくる。闇は、ベリアルから生まれてくる。


「火ちゃん、また盾になってくれ!」

「バカ言うな!? あんな炎は規格外だ!? あんなの青春じゃない!?」

「今まで、何とかなっていたのが、不思議だったんだ・・・。」

「まさか、悪魔が出てくるとは・・・。」

「なにか策はないのか!? 策は!?」


立花たちは、歴史に名を残す者の操る化け物、鬼以上に恐怖を感じる。鬼は、作り物だが、人が魂を売って契約して、悪魔に自分の意志でなったのだ。人が人ではなくなる、その三好の覚悟に恐怖を感じるのだ。


「いけ! 悪魔の炎よ! 人間を焼き殺せ!」


ベリアルの指示で、黒い炎が襲い掛かってくる。


「ギャア!?」

「熱い!?」

「死ぬ!?」


立花たちは、黒い炎に焼かれ、もがき苦しんでいる。


「海竜破!」


その時、どこからか大量の水が降ってきた。ジュワ~っと、黒い炎を消していく。


「助かった!?」

「火竜の使いも焼け死ぬところだったぞ!?」

「青春は言わないんだ?」

「そんな余裕はない!」

「どこから、水が降って来たんだ!?」

「空を見ろ!?」


空を見上げると、一人の武将がいる。きれいな鎧を身にまといっていた。


「おまえは、何者だ!? 」


空にいる武将に、ベリアルが尋ねる。


「私は、島津義久!」


現れたのは、海ちゃんを探しに行っていた、島津の長男だった。


「義久!? てめえ、今までどこに行ってやがった!?」

「海ちゃんは、見つからなかったのか・・・実らないのも青春だな。」

「あれが薩摩の大名!?」

「そ、空を飛んでいる!?」


立花たちは、驚いた。


「ん? 海ちゃんなら、おるぞ?」

「どこに?」

「ここ、ここ。」


義久は、鎧を指さす。


「ええ!?」


立花たちは、驚く。


「私と海ちゃんは、気持ちが通じ合ったのだ。一心同体になったのだ。」


海ちゃんは、海竜の鎧になった。その鎧を着た義久は、海竜義久になったのだ。


「積もる話は後だ、先に、あいつを倒してしまおう。」

「私に勝てると思っているのか!?」


義久とベリアルが対峙する。そして、互いの遠距離の必殺技を放つ。


「海竜破!」

「悪魔の炎!」


放たれた海竜と黒い炎がぶつかり合う。激しい衝撃が周囲の空気を震わす。


「クッ!? 悪魔の力を借りているのに、押されるだと!?」


ベリアルは、少しだが後方に弾かれる。


「やった! 互角だ!」

「いや、義久どのが押しているでござる!」

「勝てるぞ!」

「逆転ホームランも青春だ!」


立花たちも盛り上がってきた。


「まだ、やるか?」


義久は、海竜の力を得て、ライ並みに強くなった。それ故の自信がある。


「こちらも、播磨を攻め滅ぼして、連戦でやってきたから疲れがあったのだろう。もう、この辺りは、三好悪魔がウヨウヨしているから気をつけるんだな。今日の所は退いてやる。島津義久! 貴様の名前は忘れんぞ!」


そう言うと、三好軍は退いて行った。


「助かった・・・。」

「これから、どうなっていくんだろう・・・。」


小早川と吉川は、勝つには勝ったが、三好が悪魔に魂を売ったとしり、今後に不安を覚えるのであった。


「義久、おまえ強くなったな。」

「これも海ちゃんのおかげだ。」

「戦いも終わったし、海ちゃんと分離することはできないのか?」

「分離の仕方が分からないんだ。」

「最初から、解除の仕方を知ってる方がおかしい。悩むのも青春だよ!」

「ハハハハハ!」


楽しく笑っているみんなを、宇喜多は眺めていた。


(私も、竜の鎧が欲しい!)


竜の使いに、モテ期が到来するのだった!?


こうして、備前も制覇した。


つづく。

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