表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
制覇! 2 中国四国編  作者: 渋谷かな
4/16

豊前・伊予・備後・豊後

ライたちは、3部隊に分かれた。ライたちは、九州の豊後に高橋に会いに行こうとしている。なにか嫌な予感がする。


「兄上! ライ!」


九州の豊前まで帰ってきたライと歳久。そこに島津の4男の家久が馬に乗って、慌てた様子で急いで、こちらにやって来る。


「あ!? 家久だ!?」

「一大事でござる!」

「なにか、あったんでしょうか?」


ライと歳久は、家久を見つける。家久は、ライと歳久の元に着き、馬から降りた。


「一大事でござる!」

「どうした? 家久?」

「なにか、あったんですか?」

「豊後が攻められました!」

「なに!?」


家久は、救援を求めるために、本州へ行くつもりだったと言う。


「伊予の河野が攻めてきたって、大したことはないだろう?」

「違います! 攻めてきたのは、京の三好長慶です!」

「なんと!?」


京の三好家が九州まで攻めてきたというのである。


「三好義興と軍師の松永久秀が、豊後のお城に総攻撃をかけてきて、紹運どのが、自分を逃がすために、1人で籠城されてます! 急いで、助けに行ってください!」

「わかった。」

「高橋さん・・・。」


ライは、尊敬する高橋の危機に表情が曇るが、直ぐに自分のすること、自分のできることをやろうとする。これも高橋に教えてもらった、生き方だった。


「竜、召喚!」


ライは、3竜雷剣を天にかざし、竜を呼び寄せる。ライは、竜の背に飛び乗る。


「先に行きます!」

「頼んだぞ! ライ!」

「はい!」


ライを乗せた竜は、豊後に向けて、すごいスピードで飛んでいく。


「高橋さん、無事でいてください!」


ライは、豊後の城を目指す。


つづく。


島津義弘、鍋島直茂、空ちゃんは、空ちゃんのスキル「空の道」を渡り、四国の伊予に着いた。なにやら様子がおかしい。


「おかしいな? 河野直道は、戦争を嫌う大人しい大名と聞いていたが?」


ところがどっこい、伊予の国は武装した兵士が山のようにいた。陰から様子を見ている3人は、近くの村人のおじいさんに話を聞いてみた。


「河野さまは、殺されました。」

「なに!?」

「あの兵士は、京の三好家の兵士たちです。」

「なんだって!?」


予想外の展開が続き、義弘と鍋島は驚くことしかできなかった。


「もう四国は、土佐の長宗我部以外は、全て三好家の領地です。」

「なんと!?」

「すでに先遣隊は、九州の豊後を攻めに行ったと聞いてます。」

「九州だと!?」


自分たちが中国地方を攻めている間に、四国をほぼ制覇し、そして、九州を三好家は攻めていたのだった。


「・・・九州は、高橋がいるから大丈夫だろう。」

「そうだな。信じよう。」

「三好家に九州を攻めさせないために、四国で反乱の火の手をあげなければ。」

「なにかいい方法はないものか?」

「空ちゃんに任せて。村人とお茶でも飲んでいて。」

「どうぞ、お茶とお餅をご馳走します。」


テンション低めの竜の使いの空ちゃんが、やる気をみせた。空ちゃんは、風になり姿を消した。村人のおじいさんはいい人だった。


「横風。」


まず、港にやって来た空ちゃんは、九州に出港する三好の軍船を横風を吹かせて、ドボン! っと、一回転させ、沈没させていく。


「かまいたち。」


次に、三好の陣にやって来て、キレキレの突風を吹かせ、陣中の兵士たちは、風に切り刻まれていく。


「風よ! 舞え!」


最後に、山に現れ、コツンコツンと石と石を打ち付け火をおこし、風を吹かせて、山火事を発生させる。


「ギャア!?」

「河野の祟りだ!?」


三好兵は、パニックに陥っていた。



「ただいま。」


空ちゃんは、おじいさんのお家でお茶とお餅を食べている、義弘と鍋島の元に帰ってきた。


「あれ、みんな、空ちゃんがやったの?」

「はい。」

「ガンガンやらないと、盛り上がらない。」

「ハハハハハ・・・。」

「・・・。」


義弘と鍋島は、竜の使いの空ちゃんのすごさに戸惑っていた。


「我々だけでは、先に進むこともできないので、ここでお茶とお餅でもいただいて、ライたちが来るのを待つか。」

「お餅、きなこがいい。」

「お茶もどうぞ。」

「おじいさん、ありがとう。」

「・・・。」


伊予部隊は、独特な雰囲気で待機しているのだった。無口な義弘と基本やる気のない空ちゃん。気を遣って、話をするのは鍋島だけなのだ。おじいさんの優しさに救われる。


つづく。


立花、火ちゃん、睦月ちゃん、小早川、吉川は、備後にやって来た。ここは毛利領なので安心して通過できると思っていたのだが・・・。


「みなさん、お待ちしておりました。」


一行の前に女の子が現れる。


「おまえは、何者だ!?」

「私の名前は、ぬらり子。この度、妖怪の長になりました。」


現れたのは、ぬらり子だった。


「妖怪の長だと!?」

「今までは、私のお父さんの四十九日だったので大人しくしていましたが、これからは妖怪が目立たせてもらいます!」


ぬらり子からの宣戦布告であった。


「この女、頭がおかしいんじゃないか?」

「海ちゃん以上に、やさぐれているかも?」


立花と火ちゃんは、ぬらり子に呆れている。


「私をバカにしたな! 鵺先生! やっちゃってください!」

「ヌエ!」


巨大な雷獣、鵺が現れた。


「なんだ!?」

「デカイ!?」


立花たちは、鵺に恐怖した。


「ヤマタノオロチ先生、敵は鵺先生が取ってくれます。クスン。」


ぬらり子は、空に誓って涙を流した。


「ヌエ!」


鵺は、カミナリを周囲に降り注ぎ攻撃してくる。圧倒的な電力で、カミナリは鳴り止むことは無い。攻撃は、立花たちに反撃する時間、策を考える時間を与えてくれない。火ちゃんの火の玉や炎ごときでは、鵺先生のカミナリ攻撃には、対抗できない。


「ギャア!?」

「こんな妖怪と、どうやって戦えばいいんだ!?」


立花たちは、逃げ惑う。もちろん、逃げ足の早い忍者は姿を消している。


「それにしても、弱いな? やっぱり人間に妖怪を倒すのは無理だろう? おまえたち、本当にヤマタノオロチ先生を倒したのか?」


ぬらり子は、素朴な疑問をぶつけてみた。


「違う! 確かに、その場にはいたが、倒したのは俺たちじゃない!」


立花は、機転を利かせたのか、生き残りたいからか、頭の回転が速かった。


「なに!? 人違いだと!?」


ぬらり子は、勘違いに驚いた。


「そうです。ヤマタノオロチを倒したのは、ギュウという牛頭野郎です!」


確かにそうだった。


「そうか、すまなかった。こちらの不手際のようだ。鵺先生、牛頭野郎を探しに行こう。」

「ヌエ!」

「さようなら・・・。」


去っていく、ぬらり子と鵺に、立花たちは無表情で手を振って、お別れをする。


「なんとか生き残ったな・・・。」

「もう少しで、青春が終わるところだった・・・。」

「おまえたち、あんなのばっかりと戦っているのか・・・。」

「人間には、負ける気はないが、鬼とか妖怪に勝てる気がしない・・・。」


立花、火ちゃん、小早川、吉川は、戦意を喪失した。


「ハハハ! 睦月ちゃんに恐れをなして逃げて行ったわ!」


安全を確認してから、忍者が帰ってきた。


「逃げ足忍者!」

「はい!?」


立花は、睦月ちゃんを呼ぶ。睦月ちゃんは、逃げたことを怒られると思った。


「索的に集中しろ! 今度、あんな化け物に出会ったら、全滅だ!」

「殿! 分かったでござる!」


忍者をいじめるより、自分たちが生きることが優先であった。それでも、立花たちは、次の備中に進む。


こうして、備後は制覇された。


つづく。


ライは、竜に乗り豊後の城を目指す。京の三好軍が九州まで攻めてきた。憧れの高橋さんが籠城しているので、早く助けたいと竜を走らせる。


「見えた!」


ライは、空を竜に乗って飛びながら、豊後の城が見えたきた。お城は、炎と煙があがって、ほぼ落城していた。それでも、三好軍の大砲が、ドカン! ドカン! ドカン! っと撃ち込まれている。


「必殺! 3龍雷覇!」


ライは、上空から海竜、火竜、空竜を三好軍に撃ち込む。


「ギャア!?」


黒い鎧を着た三好軍の兵士は、なにが起こったのか分からないで戸惑っている。とりあえず、三好の大砲部隊は倒した。


「何事だ!? 竜だと!?」

「殿! 敵の援軍かもしれませんぞ!?」


総大将の三好義興と軍師の松永久秀である。松永は、軍師らしく微動だにしない。


「やめろ! これ以上戦うなら、俺が相手だ。」


ライは、竜に乗りながら、三好軍に叫ぶ。


「なんだ!? あの子供は!?」

「もののけかもしれませんぞ!?」


得体のしれない竜の登場に、三好軍も交戦するか、判断に悩む。


(なんだ!? あの禍々しい2人は!? 人間ではないのか!?)


ライも、三好義興と松永の異様なオーラに気がつく。


「九州から去れ! 竜の怒りを買うことになるぞ!」


ライは、竜の神のようにも見える。


「大変です! 伊予で村人が反乱を起こしました!」

「なに!? 空っぽにしたのが悪かったか!?」

「義興さま、伊予に戻りましょう。我々が孤立してしまいます。」

「わかった。」

「退却だ! 全軍、伊予へ退くぞ!」


三好軍は、退却し始めた。



「高橋さん!」


ライは、竜から飛び降り、ボロボロになったお城に入って行った。


「高橋さん! どこですか!」


お城は、火の手が上がり、煙も出ている。至る所で柱や瓦が崩れている。


「高橋さん!? 高橋さん!」


ライは、高橋紹運を見つけた。三好の大砲が命中したのか、高橋は、全身血まみれで倒れこんでいた。ライは、高橋に駆け寄る。


「ライか・・・。」

「はい! 高橋さん!」


高橋は、辛うじて意識があった。


「敵は・・・どうなった?」

「退却しましたよ! 城は! 九州は、守られましたよ!」

「そうか・・・命にかえても・・・守るって言っただろ・・・グフッ!」

「高橋さん!」


高橋は、手をライに伸ばす。ライは、両手で高橋の手を握る。


「ライ・・・おまえとは・・・もっと一緒に・・・いたかったな。」

「何を言っているんですか!? 僕には、高橋さんが必要なんです! いろいろ教えてください! もっと叱ってください!」


ライも高橋の弱気を感じ取った。必死に高橋に呼びかけている。自然と目から涙が溢れてくる。体は震えが止まらなかった。


「ライ・・・おまえは生きろ!」


そういうと高橋は、バタッと体から力をなくし、息絶えた。


「い、嫌だ!? こんなの嫌だ!? 高橋さん!!!!!」


ライの悲しい悲鳴は、どこまでも響いた。



「許さないぞ! 三好長慶!」


後日、聞いた話では、三好軍は、もう抵抗する力もない豊後の城に、大砲の弾を一方的に打ち込みまくったという。それを聞いたライは、怒りがこみ上げてくる。


豊後は、九州は、高橋紹運の命を懸けた働きにより、守られた。


つづく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ