京・安芸・周防
「クククククッ~♪」
ここは京の都の、ある屋敷の地下の祭壇。陰陽師らしき男と、歴史に名を残す者の足利尊氏がいる。陰陽師らしき男は、何がおかしいのかは分からないないが、馬鹿笑いをしている。
「結局、誰の差し金か、口は割らなかったが、従わないのであれば、壁に埋め込んでしまえばいいだけのこと。」
「・・・。」
壁には、歴史に名を残す者のヤマトタケルがめり込んでいる。顔と首回りが壁から出ているだけである。
「三種の神器も再び揃ったし、また過去の英雄の魂でも、甦らせてみるか。ハハハハハッ!」
「・・・。」
布瑠の言とは、死者蘇生の言霊といわれる。
八尺瓊勾玉は八咫鏡・天叢雲剣と共に三種の神器。(この3つが十種神宝である。)
「な、ない!? 天叢雲剣の剣がない!? どうしてだ!? 持ち主のヤマトタケルは、壁に封印したはずなのに!? なぜだ!? 」
「クスクス。」
「尊氏! 笑うな!」
陰陽師らしき男が、三種の神器を見ると、天叢雲剣だけが無くなっていた。男は狂喜乱舞した。
「まあいい、生贄の琉球の姫もここにいるのだから。ハハハハハッ!」
琉球王国の姫、首里姫も壁に封印されていたのだった。
つづく。
「ここが、安芸。本当の天才、毛利元就の治める国です~♪」
忍者の睦月ちゃんが得意げに説明をする。
「逃げ足忍者、おまえ、戦わなければ出番は最初の説明しか回って来ないぞ?」
「俺は、義久、直茂の自称天才対決には参戦してないからな。」
「元就を倒して、唯一の天才になればいいのに? それも青春だぞ~♪」
「そろそろ、なんだか嫌な予感がしてきました。」
ライたち5人は、なぜか、毛利の兵士から迫られることなく、安芸の城に着きました。3人の武将が出迎えてくれました。元就の息子、毛利輝元。毛利の軍師、小早川隆景。毛利の猛将、吉川元春である。
「いらっしゃいませ。」
「何もない城ですが、ゆっくりして行って下さい。」
「え!? いいんですか?」
「殿もいなくてバタバタしていますが、どうぞ。」
「元就さんは、どこにいったんですか?」
「周防の謀反人、陶晴賢を討伐に行きました。」
「ええ!?」
ライたち5人に衝撃が走る。周防の謀反人の陶晴賢は、九州制覇軍が打ち取ったのだ。今、周防にいるのは、守備を固めている、島津義弘と鍋島直茂である。
「ちょっと待った! 陶晴賢は、もう俺たち九州制覇隊が打ち取ってるぞ!?」
「なに!? おまえたちが九州を制覇したというのか、生かしては返さんぞ!」
「うわぁ!? さっきまでのフレンド感はどこに行ったんだ!?」
「だまし討ちも戦国の世の常よ。」
「図ったな!?」
その時だった。どこからか声がする。声がする空を見上げると空に竜がいた。
「やめろ! 馬鹿者ども!」
「竜がしゃべったでござる!?」
「あれは安芸の国を守っているという、伝説の竜!?」
「火ちゃん、まさか・・・。」
「はい~♪ 安芸には空の景色が日本で一番きれいということで、世界から評価されているので、3竜目、空竜さまがいらっしゃいます。」
「双方に言うぞ! 毛利元就が突然、好戦的になったのは、洗脳ちょんまげが原因だ!」
「歴史に名を残す者!」
「歴史に名を残す者!?」
「元就は操られているだけだ! 化け物に変身してしまう前に、元就のちょんまげを斬り落とすのだ! 元就が助かる可能性があるとしたら、それしかない! 急げ! 急ぐのじゃ!」
「父上!?」
「何がなんだか分からないが、殿を助けねば!」
「一時休戦だ! 九州制覇隊!」
「わかった!」
その時だった、空から着物をパラシュート代わりに落下してくる娘がいた。
「キャアアア~♪ どいて、どいて~♪」
「嫌な予感が当たった・・・。」
「あれは、空竜さまの使い、空ちゃんです~♪」
そしてバサッと軽やかに、空ちゃんは着地した。
「空ちゃんです。」
「空ちゃん久しぶり~♪」
「火ちゃん、新年会以来だね。元気してた?」
「元気だよ~♪ いつでも青春一直線~♪」
「ハハハハハ!」
空ちゃんは、竜の使いの中では、大人しい方なのである。
「火ちゃん、空ちゃん、もういいかな?」
「あ!? ごめん、ライ。ついつい、盛り上がっちゃった~♪」
「この子がライ? 意外と子供・・・恋愛対象外・・・ショック。」
「周防の義弘さんたちが心配なんです! 早く周防に移動しましょう!」
「それなら、破壊力の火の道より、移動力の空の道の方が早く周防に着ける。」
「空ちゃん、よろしくお願いします。」
空ちゃんは、ポンと空の道を作って見せた。
「空の道できました。」
「輝元殿たちも、さぁ、ご一緒に!」
「我々も、よいのか?」
「歴史に名を残す者たちの細かいことは、移動しながら説明します。今は、父上の元就さまのことを1番に考えましょう。まだ戦闘になっていなければ、我々も戦う理由がなくなりまする!」
「わかった、九州勢も悪い者たちには見えぬからな。」
「そうです、話せば、話し合えれば分かり合える。」
「いや~♪ 盛り上がって参りました~♪ 青春はこうでなくっちゃ~♪」
「青春、青春、毎回うるさいぞ。」
「いざ! 周防へ! 」
ライたち8人は、周防を目指した。
つづく。
「ワンワン!」
ライの死んだ元ペットの妖怪発犬のハチの霊が吠えた。
「遅かったか!?」
既に、島津義弘と鍋島直茂が吹き飛ばされていて、元、毛利元就と思われる化け物の鬼が暴れていた。鬼の肩には「3」の数字が入っていた。大きさが10メートルぐらいのビックサイズになっていた。鬼の肩に誰かが乗っている。
「なんだ!? あれは!?」
「あれが殿だというのか!?」
「し、信じられん!?」
鬼を始めて見る毛利の3武将は、変わり果てた毛利元就に絶句した。
「ああ!? 君がライだね~♪」
「な!? 歴史に名を残す者!?」
「大正解~♪ 僕は、源頼朝~♪ 以後、お見知りおきを~♪」
「キャア。イケメン。空ちゃんタイプ。」
「悪いけど、僕は女だよ~♪」
「ええ!? 空ちゃん、ショック。」
「竜の使いも、歴史に名を残す者も、変なのしかいないのか!?」
「仕方がない。コミカル作品だもの。」
そう、気軽に読める作品を目指す。
「無駄話は置いといて、うちのおもちゃ大好き子が作った、鬼の3作目だよ。ちょっと大きくてパワーフルだから、気を付けて戦ってね~♪」
「ふざけた大きさだ。」
「火ちゃんと空ちゃんは、義弘さんと鍋島さんの手当てを、お願いします。」
「OK~♪ 回復も青春だ~♪」
「私、男前の方がいいな~♪」
「・・・。」
「そういえば、逃げ足忍者が、もういないぞ!?」
「さすが忍者、逃げ足の速さは天下一だな・・・。」
その時、空から空竜の声が、ライにだけ聞こえてきた。
「ライ、海竜と火竜が認めた、おまえの力を我にも示せ! 我を認めさすことができれば、我の力を授けよう!」
「空竜、わかりました。」
こうして、鬼3こちら~♪ と九州制覇隊と毛利の連合軍の戦いが始まった。号令役は、島津歳久がする。
「いいか! 敵は大きいとはいえ、たったの一体だけ! みんなの力を振り絞って、鬼の弱点である、ちょんまげを斬ろう!」
「おお!」
「ライ殿、皆で鬼の注意を引き付けるから、ちょんまげを頼む。」
「わかりました。」
歳久、道雪、輝元、小早川、吉川の5人が鬼3に斬りかかる。飛びかかり、斬りかかるが鬼3はビクともしない。隙をついて、ライがちょんまげを狙う。
「必殺! 火竜覇!」
しかし、ライの放った火竜覇は、突然、かき消されて消えてしまった。源頼朝のなぜか!? 紙芝居スキルで、攻撃のシーンを飛ばして、何事も無かったようにしてしまう。
「なに!?」
「残念~♪ 僕の前では無意味だね~♪」
「源頼朝・・・。」
「僕に1話くれるなら、ちゃんと攻撃もするけど、僕まで、攻撃すると1話で終らないからね~♪ 攻撃はしないから、安心してね~♪ 」
「2竜雷覇!」
「はい~♪ 消えた~♪ ちょんまげを斬るなら、早く切らないと、下の人間たちが鬼3に踏みつぶされちゃうよ~♪」
「攻撃が消されてしまう!? どうすればいいんだ!? みんなを助けなくっちゃいけないのに!?」
その時だった、ライに上空から風が吹き荒れる。その空には、空竜の竜玉を風がライに届ける。
「これは、竜玉!?」
「ライ、我の力を使うがいい。」
「空竜・・・。」
「そやつの人を馬鹿にしたような態度を見ているとムカついてきた。」
「ええ!? 僕の態度が悪かったの!? 困ったな~♪。」
「空竜、ありがとう。」
ライの竜雷剣の柄に3つ目の竜玉が入った。空竜の竜玉を手に入れた。
「これならいけるかもしれない!」
「マズイかもしれないね~♪」
「3竜雷覇!」
「おお~♪ すごいのがキタ~♪」
海竜の青、火竜の赤、空竜の白、3つのビビッドカラーの竜がCGのような、源頼朝を襲う。
「残念~♪ 消してあげる~♪ あれ?」
「狙いは、おまえじゃない!」
3竜が、鬼3の洗脳ちょんまげを食い千切った。
「狙いは、鬼3だ!!!」
「し、しまった!?」
「やった! ライがちょんまげを切ったぞ!」
「さすが、ライだ!」
「なんなんだ!? あの竜は!?」
「化け物が苦しんでいるぞ!? ああ!? 化け物が小さくなっていく!?」
「あれは・・・殿!? 殿だぞ!?」
鬼3は、毛利元就の姿になり、砂の様に風に吹かれて消えて行った。
「殿!? 殿!!!」
「なんということだ・・・殿が・・・。」
「クソ! 許さんぞ!」
「・・・。」
しかし、もう歴史に名を残す者の姿はなかった。戦いに勝ったライたちには焦燥感しか残らなかった。
つづく。
毛利元就は、歴史に名を残す者たちに鬼にされて死んだ。悲しむ暇もなく武将たちを戦いが呼んでいる。
「父上・・・。」
「殿・・・。」
「許さんぞ! 歴史に名を残す者!」
毛利元就を失った、息子の毛利輝元と小早川隆景、吉川元春は悲しみと復讐の気持ちが入り混じっていた。
「九州制覇隊のみなさん、我々も歴史に名を残す者を倒します! 一緒に倒させて下さい!」
「こちらこそ、よろしくです。」
こうして、ライたち九州制覇隊は、安芸の毛利家を加え、九州だけでなく、中国地方も制覇することができた。
「それでは、軍議を行う。」
周防で今後の方針を決めるための軍議が行われた。出席者は、島津義弘・歳久、鍋島直茂、立花道雪、ライ、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の武将8人。竜の使いの火ちゃんと空ちゃん、忍者の睦月ちゃんの11人である。
「まず安芸は、毛利輝元どのにお守りいただきたい。」
「分かり申した。」
「周防から安芸を防衛線にします。」
「隆景と元春を、ご自由にお使いください。」
周防は空にし、これからは安芸が本州の要になった。
「次に、周防を空にするためには、四国の伊予を制覇しなければいけない。」
「ついに、四国にも進出だな。」
「四国を制覇できれば、西日本制覇隊に、部隊名をできるぞ。」
「がんばろう!」
「おお!」
西日本制覇隊になる日も近い?
「そのためには、本州の安芸の隣、備後を攻める部隊と、海を渡り伊予に攻め込む部隊に分けなければいけない。」
「どうしよう。」
その時、ライが手を挙げる。
「すいません、一度、九州に様子を見に帰りたいんですが?」
「ダメだ! ライには、歴史に名を残す者と戦ってもらわなければいけない。」
司会の鍋島は、ライの九州行きを反対する。
「まあ、いいではないか。」
「そうだな、紹運のことが気になっているのだろう。」
「はい。」
ライは、九州を守っている高橋紹運を心配している。何事も無ければいいのだが・・・。
「私がライと一緒に、九州に帰ります。」
「歳久。」
「これからの激しい戦いに、私の武力では、役に立ちませんから。」
歳久の普通切りは、強い相手には通用しない。
「歳久は、紹運と交代だな。仕方ない・・・ライ、おまえも行け。」
「ありがとうございます。」
鍋島は、ライの九州行きを承認した。
「本州は、アマさんとギュウさんがいるので、大丈夫ですよ。」
「尼さん? 牛さん?」
鍋島には、何のことかわからない。
「確かに、強いな・・・。」
「青春を感じるね・・・。」
「できれば、会いたくないでござる・・・。」
立花、火ちゃん、睦月ちゃんは、アマさん、ギュウさんの規格外の強さを知っているので、テンションが上がらなかった。1撃でお城を破壊する強さである。
「おまえたち知り合いか? それなら、おまえたち備後行きな。」
「ええ!?」
「殿!? そんなご無体な!?」
「小早川と吉川も一緒に行ってくれ。」
「わかった。」
備後部隊が編成された。
「俺と義弘と空ちゃんは四国へ行くぞ。ライと紹運と家久は、後から合流。」
「うむ。」
こうして、周防軍議は、終わったのである。
「高橋さん、どうしてるかな?」
ライは、大好きな高橋紹運に会えることを楽しみにしていた。
つづく。