ちい戦記2 伊豆七島 制覇編
世間の流行から、幼女キャラな、ライの妹ちい。わざと外して、ちい物語としたが、時代の流れ的に、ちい戦記に改名して、製作委員会ではなく、ストーリー物として書いてみよう。アナザーストーリーではあるが、1と2と奇跡的にストーリー作品である。もう七万0000字。素人作家には、怖い字数である。
場所は、ライの故郷、西之島。そこで事件が起こった。幼女誘拐事件。被害者は、ライの妹の、ちい。(まだ幼女である。さらに、名前の由来も、小さいから、ちいである。)
西之島は、小さな女の子が消えたということで、騒然としていなかった。なぜなら、ライとちいの母親は、誰かに娘を探してくださいと、島長のナギにも、捜索依頼は出さなかったからだ。
「あれ? ちいがいないわね。ティアマトお姉さん。」
「なんですか?」
「ちいを探してきてくれますか?」
「は~い~♪」
ティアマトお姉さんは、両手を合わせて、祈ってみた。ライの母親と妹のちいには、護身用にティアマトお姉さんの涙で出来た、ティアマトお姉さんのネックレスを身に着けてもらっている。西之島は、流刑地でもあり、治安が悪いからだ。ネックレスをしていれば、ティアマトお姉さんの11匹の愉快な仲間たちを召喚することができるのだ。さらに、迷子防止のGPS機能も付いている。
「いました~♪ んん!?」
「どうしたの?」
「いません!? 西之島に!? 伊豆大島にいますよ!?」
「なんですって!?」
「直ぐに迎えに行ってきます!」
「ティアマトお姉さん、よろしくね~♪」
「はい!」
こうして、ティアマトお姉さんは、何者かに誘拐された? ライの妹、ちいを探しに行くのだった。危険があれば、ティアマトお姉さんの11匹の愉快な仲間たちが助けると思っているので、母親もティアマトお姉さんも安心はしている。
「誰かを呼んで、島を飛び立つのもありなんだけど、最初の掴みは大切だから、ティアマト竜さまの使い、ティアマトお姉さん自ら竜になって、飛んでいこう!」
今回から、明確にティアマト竜の使い、従来なら、ティアちゃんになるのだが、ティアマトお姉さんと、ちいに呼ばせてあるので、ティアちゃんではなく、ティアマトお姉さんのままにしておこう。
「ティアマト竜化!」
人間の姿をしていた、ティアマトお姉さんの体が、見る見る巨大なドラゴン化していく。そして、巨大なティアマト竜になった。これが最終兵器、竜の使いのドラゴン化である。ティアマトお姉さんは、女神竜ティアマトになった。
「ちいちゃんは、どこに連れていかれたのかな?」
圧倒的な破壊力を誇る、ティアマトお姉さんも、少しはちいのことを、生身の人間の女の子なので、心配している。ティアマトお姉さんは、翼を広げてパタパタっと空に羽ばたいた。その姿は、バハムートみたいなものである。
「ちいちゃん、待っててね! ティアマトお姉さんが助けに行くよ!」
こうして、ティアマトお姉さんは、西之島から、ちいを探しに旅立ったのだ。
これがアナザーストーリーの良い点で、本編みたいにテンポを考える必要がないので、ゆっくりとストーリーを描くことができる。またキャラクターも数がいないので、1人1人のキャラクターをピックアップして、字数を割くことができる。
回想。ちい編。
「お兄ちゃんに、会いたい。」
ちいは、兄のライに会いたかった。ちいは、ライに小さいから、ちいと呼ばれていた。それでも、ちいは、兄、ライのことが大好きだった。
「私のせい・・・。」
ちいは、小さい体で、ずっと自分を責めていた。私が海で溺れて、それを助けるためにお兄ちゃんが海に飛び込んで、海竜に出会ってしまった。そして、ちいの前から姿を消してしまった。
「海竜、殺す!」
ちいの自己嫌悪の心は、逆恨みで海竜のことも嫌いになった。大好きなお兄ちゃんを奪われたのだ。
「うっししし~♪」
しかし、前回。ちいはティアマトお姉さんと運命の出会いを果たす。そして、護身用にティアマトお姉さんのネックレスを貰った。このネックレスは、ティアマトお姉さんの11匹の愉快な仲間たちを呼び出すことができるのだ。
「いでよ! 牛さん!」
有翼の牡牛を呼び出した。本名は、クサリクらしいのだが、幼女のちいの前では、名前など意味は無い。牛さんは牛さんなのだ。まだ牛さんが言葉をしゃべれるようにするか、しないかは検討中である。
「牛さん、エサをあげよう。おいしい干し草だよ~♪」
ちいは、家畜など飼ったことは無い。それでも、自分がお腹が空いたら、お母さんに、ご飯をもらうように、ちいは、有翼の牡牛をエサで手懐けるようとした。
「モ~♪ モ~♪」
牛さんは、ちいの策略などとは知らずに、おいしい干し草を食べる。エサを食べた時点で主導権をちいに握られる。ちいは、ニヤッと笑う。
「牛さん、私の干し草を食べたわね?」
「モ?」
「牛さん、私をお兄ちゃんのいる本土まで連れて行って!」
「モ!?」
「断るんなら、干し草を返して!」
「モ!? モ!?」
ちいは、牛さんを脅した。ちいの策略に気づいた牛は、時すでに遅し。もらった干し草を全部食べてしまっていた。有翼の牡牛は観念した。
「契約成立ね! わ~い~♪」
「モ・・・。」
「さあ! 牛さん! 私を本土まで連れて行って!」
「モ・・・。」
ちいは、牛さんの背中にまたがり、指示を送る。牛は、渋々、翼を広げて、パタパタパタっと羽を羽ばたかせ、地面から離陸した。
「わ~い~♪ 空を飛んでる~♪」
初めて空を飛んだ、ちいには、感動の瞬間であった。いつも地面が近くに見えたのに、まるで身長が伸びたみたいに、地面が遠くに見えるのだ。それだけの子供の心には、ドキドキ感があり、感情が高揚してきた。
「いけ! 牛さん! お兄ちゃんの元へ!」
「モ!」
ちいの大冒険が始まった。初めて西之島の外に出るのだ。しかも、1人きりで。小さなちいの心は、ワクワク感で満ち溢れていた。大好きなお兄ちゃんに会いに行くのだと。牛も牛で、エサをもらったこともあり、抵抗するのは諦めて、小さなご主人さまのために、がんばろうと気持ちを入れ替えた。ちいと牛さんは、一蓮托生の仲になったのだ。
こうして、ちいは、誰かに誘拐されたのではなく、自分の意志で島から脱出したのであった。大好きなお兄ちゃんに会うために。
「わ~い~♪ 本土に着いた~♪」
ちいは、有翼の牡牛の背中に乗って、西之島を脱走し、新しい島に着いた。本土は、意外に近かった。しかし、子供のちいには、ここが兄のいる本土だと思った。
「牛さん、ありがとう~♪」
「モ~♪」
ちいは、ここまで運んでくれた、有翼の牡牛にお礼を言った。牛さんも、お役に立ててうれしそうだった。
「よし! お兄ちゃんを探しに行くぞ!」
「モ~♪」
ちいと牛さんの大冒険が始まった。当てもないので、道なりに道を進んでいく。
「お兄ちゃん?」
ある時は、森の中を突っ走る。
「お兄ちゃん?」
ある時は、滝の裏を見てみた。
「お兄ちゃん?」
竹藪を覗いてみた。
「お兄ちゃん、なかなか、いないね。」
「モ~。」
ちいと牛さんは、いろんな所を調べてみるが、壺の蓋を開けてみても、兄のライはいなかった。子供のちいは疲れてきてしまった。
「疲れて来ちゃった・・・。」
「モ・・・。」
一緒につき合っている牛さんもバテ気味である。ついに、ちいは、その場に座り込んでしまった。小さな子供の体力で、人を探すというのは、しんどいのであった。
「お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
その時、第1島人のおじいさんに出会った。ヨボヨボの弱そうな容姿だった。
「お兄ちゃんに会えないの・・・。」
「お兄さんなら、火山の辺りにいたよ。」
「本当!?」
「行ってみるといいよ。」
「うん! おじいさん、ありがとう!」
ちいは、やっとお兄ちゃんの情報を手に入れた。大好きなお兄ちゃんに会えるのだ。今までの疲れが吹き飛んだ。ちいは、親切なおじいさんにお礼を言うと、島の中心にある火山に向かう。
「いくよ! 牛さん!」
「モ!」
ちいたちの後姿を見送るおじいさんは、ニヤッと笑っていた。
「ふう~、やっと島まで着いた。」
ティアマトお姉さんは、ちいのいる島まで着いた。そして、ティアマト竜化を解き、人間に見える竜の使いの姿になった。さすがのティアマトお姉さんも、ずっとドラゴンの姿でいるのは、体力を著しく消費するのだ。
「ちいちゃんは、どこにいるのかな?」
ティアマトお姉さんは、両手を合わせて、ちいの位置を探る。ちいの姿が目に浮かんでくる。山を登っている感じであった。有翼の牡牛の姿も映る。
「火山に登っているの!? 危ないのにどおして!? 牛のヤツか!? ここまでちいちゃんを運んできたのは!? あとで丸焼きにしてやる!?」
やっと見つけた、ちいちゃんは、なぜか火山に向かっていた。ティアマトお姉さんは火山が危険なので心配する。おまけの有翼の牡牛は、やはり家畜扱いであった。
「しまった!?」
ティアマトお姉さんは思った。ネックレスで、11匹の愉快な仲間たちを召喚することができるが、ティアマトお姉さん自身を呼び出してもらうことができないのだ。
「仕方がない!? 走って向かうか!?」
ティアマトお姉さんは、疲れた体で火山に向かうことにした。
「お兄ちゃん~♪ お兄ちゃん~♪」
ちいは、火山を目指していた。大好きなお兄ちゃんが火山にいるからだ。今までの疲れは、お兄ちゃんの歌を歌うことで、あっという間に吹き飛んだ。
「モー♪ モ~♪」
有翼の牡牛も、ちいが楽しそうなのが、うれしかった。牛は、自分が丸焼きの刑にされるとは、夢にも思っていなかった。
「あ! 頂上だ!」
「モ!」
ちいと牛は、火山の頂上に着いた。
「お兄ちゃん! どこ! ちいだよ!」
ちいは、大声で叫んだ。やっとお兄ちゃんに会えるのだ。その想いが、ちいに感情のこもった声を出させる。
「お兄ちゃん! 出てきてよ! お兄ちゃんの大好きな、妹のちいだよ!」
しかし、兄のライは現れなかった。
「お兄ちゃん・・・留守かな?」
「モ?」
がんばって火山までやって来たが、会いたい兄に会えない妹は、悲しくなってきた。どうしても兄に会いたいのだ。今、会えないのは、また兄に会えないのは、自分が早く火山まで来なかったのが悪いのかな? と自分自身を不安にさせる。
「ほほほ。」
その時、火山の方から笑い声がする。ちいたちの前に人影が見えた。
「お兄ちゃん!?」
ちいの胸は兄に会えたかという、一瞬の期待があった。
「ほほほ、わしじゃよ。」
「おじいさん。」
現れたのは、兄のライは、火山にいると教えてくれた、おじいさんだった。不思議と、ちいよりも先に、おじいさんが火山に着いていたのだ。
「おじいさん、お兄ちゃんいないよ?」
「ほほほ、それはそうだろう。」
「え?」
「いないのだから。」
「おじいさん、ウソをついたの!? 嘘つきは泥棒の始まりなんだよ!?」
「そんなことは知らない。」
おじいさんは、ちいにウソをついていた。騙しやすい幼女のちいを、人気のない火山までおびき出したのだ。
「どうしてウソをついたの?」
「それは・・・おまえを食べるためだ!」
「ギャア!?」
おじいさんの体が、ドロドロっと溶けだした。中から人間ではない、異様なる姿の者が現れた。
「我は、イツラコリウキ。霜の神である。寒気と石を司る者である。そして・・・人間のカワイイ幼女が大好物なのだ!」
「キャア!?」
イツラコリウキは、曲がった黒曜石のナイフの意味らしい。硬度でいうと、黒曜石のレベルは、5である。
「ちいなんか食べても、おいしくないですよ!?」
「それは我が判断する。ほほほ~♪」
「気持ち悪い・・・。」
イツラコリウキの体は黒かった。しかし、体の周囲には冷気のオーラが溢れていた。あくまでも、ちいを食べる気である。
「まずは、冷気で氷漬けにしてくれる! ブリザード!」
「ギャア!?」
イツラコリウキが手から吹雪を出した。吹雪は、ちい目掛けて飛んでいく。このままでは、幼女の氷漬けになってしまう。
「モ!」
その時だった。ちいをかばうように、牛さんが、ちいの盾になって、吹雪を受け止める。牛さんは懸命に、ちいを守ろうとしている。
「牛さん!?」
「モ・・・。」
有翼の牡牛は、チラッとちいの方向を向いて笑った。そして、正面を向き、ガチガチに凍りついてしまう。イツラコリウキのブリザードは、それほど、強力なのだ。
「牛さん~!?」
吹雪が止み、氷漬けになってしまった牛さんに、ちいは涙を流しながら近寄る。牛さんは、自分をかばって氷漬けになったのだ。ちいの脳裏に、海で溺れた自分をかばって戦いに行くことになってしまった、兄のライのことがよぎる。
「牛さん!? 牛さん!? ダメだよ!? 凍っちゃあ!? 牛さん!? ちいなんかをかばっちゃあ、ダメだよ!? 牛さん!!!」
ちいの泣きながら叫ぶ声は、氷の中にいる牛さんに届いているのだろうか? ちいは氷を小さな手で手が赤くなり、血が出るまで叩き続ける。それでも、小さな、ちいの手では、牛さんを助けるどころか、氷を割ることすらできない。
「ほほほ~♪ これで邪魔するものはいない。おいしそうな幼女ちゃん、ゆっくりと遊んであげよう~♪」
変態! イツラコリウキの魔の手が、ちいに迫る。
「き、キモイ! 近寄るな! 変態! おまえなんか、お兄ちゃんがいれば、簡単に倒してくれるもん! ちいのお兄ちゃんは、強いんだからな!」
「どこにいるのかな? その強いお兄さんは? ほほほ~♪」
ちいは、強がりを言うが、ライのことを思うがライはいない。どこか遠くの所にいて、きっと助けには来てくれない。ちいは、イツラコリウキに好きなように遊ばれて、食べられてしまうと覚悟した。しかし、窮地に陥った、ちいの口が無意識に名前を叫んだ。
「助けて! ティアマトお姉さん!!!」
ちいの口から出た名前は、ティアマトお姉さんだった。ちいの深層心理の中に、「困った時には呼んでよね~♪」と言う、ティアマトお姉さんがいたのだ。
「は~い~♪ ティアマトお姉さんだよ~♪」
その時、颯爽とバビロン竜と言われる神々の聖獣、蠍尾竜のムシュフシュに乗り、ティアマトお姉さんが笑顔で登場する。途中から、走って火山を登るより、竜の背中に乗っていく方が早いと気づいたのだ。
「ティアマトお姉さん!? うえええん!」
「ちいちゃん、怖かったね。よしよし。」
「ちいのせいなの! ちいがいけない子だから! 牛さんが! お兄ちゃんが!」
「ちいちゃんのせいじゃないよ。私が来るのが遅かったのが悪いんだよ。ごめんねちいちゃん・・・。」
「うえええん! うえええん!」
「こんなに小さな手を真っ赤にして・・・。」
ちいは、ティアマトお姉さんに泣きながら駆け寄り、抱き着いた。ティアマトお姉さんは、ちいをしっかりと受け止め抱きしめる。そして、ちいを慰めるように、頭をナデナデしてあげる。ちいは、ティアマトお姉さんに自分の罪は、許されたような感じがした。それだけでも、ちいの心の闇は塞がれていく。こんなにも小さな震えながら泣き続けている、ちいの傷ついた手を見て、ティアマトお姉さんの竜としての本能が燃えてくる。
「う、牛さんが氷漬けにされちゃったの・・・。」
「大丈夫だよ。ムシュフシュ、炎で氷を溶かして、クサリクを助けてあげて。」
「ガオ!」
蠍尾竜が炎を口から吐いて、氷を溶かしていく。氷が解けていき、水滴が地面に落ちていく。
「ちいちゃん、少し待っててね。ティアマトお姉さんが、あんな邪神、すぐに倒してくるからね。」
「ティアマトお姉さん、変態なんか、やっつけて!」
「OK~♪」
ティアマトお姉さんは、イツラコリウキの方を睨む。
「なんか変なのが来ましたね。我は幼女に興味があって、おばさんには要は無いんですけどね。」
「プチ! 誰がおばさんだ!? 竜の使いは、永遠の16才だ!!!」
変態のイツラコリウキに、おばさん扱いされて、ティアマトお姉さんは、完全にキレた。ちいに、この変態がしたことも許せないのだ。体の周囲にオーラのようなものが吹き荒れる。イツラコリウキの冷気のオーラなど、吹き飛ばしてしまう。
「ティアマト竜化!」
ティアマトお姉さんの体が、どんどん大きくなり、ティアマト竜の姿に変わっていった。怒りに身を任せ、加減ができる状態ではなかった。
「ゲゲ!? ティアマト!?」
変態イツラコリウキは、目を疑った。目の前のおばさんが、ティアマト竜になったのだ。大きさだけでも、自身の10倍も100倍もあるのだ。
「殺す! 殺す! 殺す!」
ティアマトは、目玉が縦に細長く、真っ赤に充血していた。幼気な子供に手を出そうとする、変態イツラコリウキに怒り心頭である。
「死ね! 化け物! ブリザード!」
変態イツラコリウキは、手からブリザードを放つが、巨大な竜の一部分しか凍らすことはできない。ティアマト竜の前では、変態など虫けらでしかないのだ。
「そんなもん、効かないわよ! 私のカワイイ、ちいちゃんを泣かせるなんて、許さない! ボコボコにしてやる!」
「!?」
ティアマトお姉さんの前足の怒りの一撃が、変態に炸裂する。破壊力は、顔を半分に圧縮するほどだった。あまりの速さに、一瞬の出来事で変態は避けることができなかった。地面にまで吹き飛ばされる。
「ちいちゃんの受けた恐怖を、お返ししてやる!」
ティアマトお姉さんは、怒り心頭だった。さらに変態イツラコリウキの言葉が、油に水を注ぐ。自分は弱い者いじめをするくせに、自分が困ったら親分の名前を出して、脅し始める。
「く、くそ!? わ、我は邪神テスカトリポカの化身であるぞ!? 我に手を出すということは、冥界を敵に回すことになるぞ!? 今なら、許してやるぞ!?」
プチ。ティアマトお姉さんは、変態の自分勝手な言い分に、ブチ切れた。完全に変態をこの世から消し去る決心をした。
「おまえみたいな、変態。存在ごと全て、焼き尽くしてくれるわ!」
ティアマトお姉さんは、口を開けて、炎のエネルギーチャージを始める。変態は、身の危険、命の危険を感じて、ジタバタする。
「ヒイイイ!? このままでは殺される!? 誰か助けに来てくれ!? 我は、テスカトリポカの化身であるぞ!?」
変態は、救いを求めるが、時すでに遅し。ティアマトお姉さんの怒りの炎の準備が完了した。その炎は、島1つぐらいなら一撃で消滅させそうな大きさだった。
「消えてなくなれ! 幼女の敵! ティアマト・ファイヤー!!!」
ティアマトお姉さんの口から炎が放たれる。強烈な炎が変態目掛けて飛んでいく。
「ヒイイイ!?」
さすがの変態も、自身の消滅を覚悟した。
「闇落ち。」
闇の渦が現れ、炎の先からブラックホールのように、強大な炎を吸い込んでいく。ティアマトお姉さんは、何が起こったのかが分からなかった。
「なに!?」
渾身の一撃が闇の渦に吸い込まれてしまった。すると闇の渦があるところに、一人の女の子がいた。
「情けないわね。イツラコリウキ。」
「おまえは!? ヨナルデパズトーリ!?」
現れたのは、ヨナルデパズトーリのヨナちゃんだった。ヨナちゃんもイツラコリウキと同様、邪神テスカトリポカの化身である。ヨナちゃんは、大隅の山で、ちいの兄のライと一夜を過ごし、伊予で鍋島・義弘・空ちゃんと出会う。現在は、讃岐の悪魔アスモデウスのうどん屋さんで、うどんを食べているという。ヨナちゃんは、日本の天狗をリスペクトしている。
「何者だ!?」
「私はヨナルデパズトーリ。私もテスカトリポカさまの化身よ!」
そう、ヨナちゃんも邪神テスカトリポカの化身である。ティアマトお姉さんは、邪神だのなんだの、後ろ盾の名前をなのる奴が、大っ嫌いになっていた。
「おまえも、そこの変態の仲間だな!?」
「変態!? イツラコリウキ。」
「はい?」
「あなた何をしたの?」
「そこのカワイイ幼女を食べようしました~♪」
「バカ野郎!」
さすがのヨナちゃんも話を聞いて、呆れた。しかし、邪神テスカトリポカの化身と知っても、ひれ伏さない、生意気な竜ごときに、負ける訳にもいかなかった。
「テスカトリポカさまの名前を知ったからには、生かして返す訳にはいかない!」
「こい! 変態2号!」
ティアマトお姉さんと、ヨナちゃんの女のプライドをかけた戦いが始まろうとしていた。その時、ヨナちゃんは、クンクンと懐かしい臭い嗅ぎつける。
「あれ? ライの臭いがする?」
「あなたライを知っているの?」
「え?」
「あの小さな女の子のちいちゃんは、ライの妹よ。」
「なに!?」
ヨナちゃんに稲妻が走る衝撃が落ちる。なんと、あそこにいるのは、愛しいライの妹さんだというのだ。そう言われると、ライに似ているような、似ていないような。ヨナちゃんの頭はパニック状態に陥り、動かなくなった。
「こら!? ヨナルデパズトーリ!? 早く、竜を倒さないか!?」
「黙れ! 変態!」
「え?」
「あんな小さい子供に手を出そうとは、児童ポルノ法違反だ! よくも、テスカトリポカさまの名前を汚してくれたな!」
「ええ!?」
ヨナちゃんの混乱していた頭の中が整理された。変態の肩を持つより、大好きなライの妹さんの方が大切だと、結論が出たのだ。
「テスカトリポカさまの化身として、恥を知れ! 闇落ち!」
「ギャア!?」
ヨナちゃんの闇の渦が、変態イツラコリウキを呑み込んだ。ついに変態イツラコリウキは、この場から、いなくなった。それを見ていたティアマトお姉さんには、何が起こっているのか、理解できなかった。
「仲間割れ!?」
ヨナちゃんは、闇の渦を消し、両手をあげて、戦う意思はないとアピールする。それでも緊張感はあった。次に何をするか、分からないからである。そして、ちいの方に近づいていき、ちいに声をかけた。
「ヨナおねえさんと呼びなさい。」
唐突な、ヨナちゃんの一言に、ちい、ティアマトお姉さん、愉快な仲間たちの蠍尾竜、氷から出てきた有翼の牡牛も目が点になって、絶句した。
「お姉ちゃんとライは、結婚するのよ~♪ そうすると、ちいちゃんは、私の妹になるのよ~♪ 仲良くしましょうね~♪」
ヨナちゃんは、さっきまでの悪魔ぶりは消え去り、笑顔の優しいお姉さんだと、ちいにアピールした。恐ろしいギャップに、まだ誰も動くことができなかった。
「え・・・。」
「な・・・。」
「モ・・・。」
「ガ・・・。」
変態とはいえ、霜の神として、冷気で牛さんを氷漬けにするぐらい強かった、イツラコリウキを一瞬で闇に葬り去る、恐怖の邪神の化身が、兄のお嫁さんになるからといって、受け入れろと言われて、受け入れられるものではない。
「お兄ちゃん・・・。」
「ライは、変わった趣味をしてるんだな・・・。」
未だに、ちいたちは、体を動かすことができなかった。その中でヨナちゃんだけは、ライの親族に会えて、うれしかった。
「これで、ライの兄弟には会えたから、次は、ご両親に挨拶しに行かなくっちゃ~♪ キャア~♪」
「ははははは・・・。」
絶好調のヨナちゃんは、上機嫌で笑い続けた。ちいもティアマトお姉さんも、ただ立ち尽くし、笑うしかなかった。
「結婚の障害を1つ制覇! おまけに伊豆大島! 制覇! 」
ラストの決めゼリフも、ちいではなく、ヨナちゃんがコールして、幕を閉じた。
つづく。




