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第七十八話 燻製始めました

 大工達やギルド職員が増えた事でギルドがログウルフの肉の買い取りをしたため村で貯蔵していたログウルフの肉が当初の予定より消費する事になったので、食料確保のため狩りを再開する事になった。これは別にギルドがどうしても売ってくれと言ったわけではなく、この機会に無理のない範囲で少しでも儲けようと言う村長の判断によるものだった。

 狩り再開に当たり、別に生肉のままや保存用の干し肉での貯蔵でもいいのだが、この機会に干し肉以外の保存も考え以前考えていた燻製器を作る事にした。主な理由は、はっきり言って干し肉があまりおいしくないためである。


 燻製を作るのはいいけど、実際どうやって燻製器を作るかだよな。前に段ボールで作ったやつ見た事あるけど、まさかこの世界に段ボールなんて無いだろうし……無いよな? 段ボール。


 他にもドラム缶、一斗缶、レンガなどと色々と考えてみたが、村で調達できる材料で作れる事を前提に考えた結果、大きさの調整も簡易であろうことから木製の物を作ってみる事に決めたところで、確認していなかっただけでもしかしたら燻製器があるのかもしれないと思い、それも含めてダイロに相談してみる事にした。

 正直、燻製器が無ければ『錬金アプリ』を使えば簡単に作る事はできるとは思うのだが、なかった場合一から使った方が面白そうだと言うのと俺がいなくなってもダイロなど村人たちで作れた方がいいだろうと思った結果からのダイロへの相談出会った。


「ダイロさん、ちょっと作って欲しいものあるんですけど」

「なんだ? こっちゃ家具作りや学校建設の仕事もあるから結構忙しいんだが」

「燻製を作る道具を作って貰いたいんですけど」

「くんせいってなんだ?」


 そうか、燻製を知らないのか……確かに肉とかの干物などの乾物系は見た事あったけど燻製した肉ってみた事無かったし、やっぱり燻製は無いのか……いや、もしかしたらダイロが知らないだけで他の国とかにはあるかも知れないな。


 ダイロに燻製とはどういう物かという事を説明したのだが、煙でいぶすという事が良く分からなかったようで。


「――で、なんで煙で料理できるんだ?」

「えーと、煙によって風味付けと、殺菌や防腐の効果を使った食材に与える感じです」

「あのよ、殺菌ってなんだ?」


 あー、菌というものの存在を知らないのか、何と言って説明すればいい物か……目には見えないほど小さな生物とか言っても理解してもらえそうも無いし。


「何と言うか、とにかく腐りにくくなると思ってくれればいいです」

「それ、干し肉と何が違うんだ?」


 何か説明が堂々巡りになってしまい時間がかかったが、その後何とか理解してもらい(と言っても半分も理解してない感じだったけど)制作協力して貰えることになった。

 ちなみに干し肉はどうやって作っているのか聞いてみた所、基本的には塩水に漬けて冷暗所で約三日放置し、その後塩抜きのために真水に漬けて半日放置してから約一週間天日干しするらしい。


 多分ダイロは理解できてないんだろうな。ま、実際食べて貰えば納得してくれるだろう……うまくできればだけどな。


 その後、以前何かで見た木製の燻製器を思いだしながら分かる範囲で伝えまずはミニサイズの模型を作ってみる事にした。


「――よし、こんなもんでどうだ?」 

「そうですね、箱型で前面が扉になっててと、あとは中に網棚を何段か設置できるようにして、上部を開閉できるようにして煙り抜けと温度調整ができるようにした方がいいかもですね」

「そんじゃ、中と上んとこを加工するとして、大きさはあのワードローブみたいな感じでいいのか?」


 ダイロはそう言って部屋にあったワードローブ指さしたが高さが2m程あって今回作ろうとしている燻製器にはちょっと大きすぎた。


 あんまり大きくしても煙を行きわたらせるために使うチップが多く必要になるから燃費悪くなっちゃうし、ある程度小さい方がいいな……カラーBOXくらいが適当かな?


「う~ん、もう少し小さい方がいいですね、例えばカラーBOXよりちょい小さいくらいですかね?」

「カラーBOXってなんだ? 聞いた事も無いんだが」


 あー、そりゃカラーBOXって言っても通じるわけないか……えっと確か大きさは大体、縦90cm、横40cm、奥行き30cmってとこだったかな?


 ダイロにカラーBOXについては忘れてもらい(別に魔法で記憶を消したわけじゃない)実際に使う燻製器のサイズを80x30x20と伝えて作ってみる事にした。


「――とりあえずできたな。で、煙はどうすんだ?」

「電熱コンロを使って鉄のトレーの上にスモークチップを載せて熱すれば」

「何言ってんのか良く分かんねぇんだが」


 魔道コンロだとちょっと費用が高くなっちゃうか、かと言って薪を中で燃やしたら燻製器ごと燃えちゃいそうだし、

 燻製用の熱源とスモークチップをどうしようかと考えた結果、燻製器の中で直接火を使ってチップを加熱するよりブリケットを作る要領でスモークウッドを作って使った方が火事になる率が低くなると思いスモークウッドを作って使う事に決めた。


 まさかブリケットを作る道具がこんなとこで役に立つとは思わなかったな。

 さて、使う木次第で風味なんか違うはずだからいろんな木をを使ってスモークウッド作っていくか。


 試作した燻製器やスモークウッドにはまだまだ改良の余地はあったがとりあえず何とか完成した燻製をダイロに試食してもらい感想を聞いてみると、味はいいけど臭いがちょっと気になると言われた。


 獣人だから嗅覚が優れているのか、臭いが気になる様だな。そこら辺を考えて試作を繰り返してみるか。


 ちなみに、燻製器の作製が終わるとダイロは思い出したようにカラーBOXが何なの気にしだし、しつこく聞かれたので『錬金アプリ』で作って『倉庫アプリ』から出して実際に見せ、いろんなことに使える事を説明すると、カラーBOXを気に入ったらしく自分も作りたいから作り方を教えてくれと言われ、詳しい作り方なんて知らないし『錬金アプリ』で作ったとも言えなかったのでカラーBOXをダイロに渡し分解するなりして自分で作り方を見つけて貰う事にした。


 まさか燻製器じゃなくカラーBOXの方に食いついてくるとは思わなかったな。


 しおぬき天日干し始めて2~3日くらいの干し肉を買い取り何度も試作を繰り返し、できた物は孤児院で食べて貰っていたのだが、子供たちにいい加減飽きたと言われてしまうという事もあったがラウは飽きることなく食べていたので燻製肉の大半はラウの食事となっていた。正直、朝昼晩と全部燻製肉ははどうかと思ったが、本人が喜んでいたので気にしない事にした。


 ラウの奴はもう肉なら何でもいいんじゃないかとさえ思えるな。もしかしたら生肉出しても普通に喜んで食べるんじゃ……いや、さすがにそれは無いな。

 それにしても干し肉と比較するために肉の燻製ばっかり作ってきたけど、さすがに肉ばっかりと言うのは確かに飽きてきたし、魚も試してみるか。できれば野菜なんかも試してみたいけど、野菜の燻製ってあまり聞いた事無いからちょっと怖いんだよな……と、とりあえず、野菜は肉の方がうまく行ってから試そう。


 そうして試作を繰り返し何とか満足が行く燻製肉ができ上ったので、次回の行商の商品として売れないか肉以外の他の食材で作った燻製も持って村長に相談しに行った。


「ふむ、ちょっと癖があるが干し肉より柔らかいし味もよく感じるな……」

「そうですか、よかった。問題無いようなのでこれを次回の行商品に新しく入れてもいいですか?」

「ふむ、これだけの物なら売れるじゃろうからかまわんが……ん、まてよ。そうじゃ、これならもしかしたら」

「なんかあるんですか?」


 村長が言うには、これからこの村は人が来ることも増える事が期待できるからここで一気に攻勢に出て何か目玉となる商品やこの村ならではの特産品、特に名物料理など無いかと考えていた所だったらしい。


「それでの、この燻製と言うのは村の名物料理になりそうじゃからその候補にしたい、そして他の村や町で作られると名物にならんから燻製器の作り方は秘密にしてもらいたい」


 確かに燻製器さえあれば別にこの村だけの特産品とはならなくなっちゃうだろうし当然だな。 


 とりあえず村長の家の近くに仮設小屋を建ててそこで燻製を試作してみてから次のライアスへの行商で試験販売して評判がよければ工場の建設をすると言う事になった。


 今回ライアスへは燻製を試験的に持って行ったのだが、燻製に興味は持ってはくれるのだが買ってくれる人はほとんどいなかった。


 見てはくれるんだけど……購入にまで至る人がほとんどいない……良く分からない者に金を出すのに抵抗あるのかな? ん~、ちょっと小さく切って試食分として出してみるか。


 ただし試食を出してもどういう物か分かって貰えないだろうと考え、簡単な商品説明を行いつつ試食を勧めていき、今後の参考にするべく試食してくれた人に食べた感想なども聞いた。

 やはり獣人族は嗅覚の優れているせいか、燻製の匂いがきつすぎると言う意見が多かった。なので、スモークチップは自分が思う以上に臭いを押さえた物を使って作って行かなければいけないと忘れないようにスマホにこっそりメモをしておいた。

 販売結果なのだが、やっぱり肉、その中でも特にベーコンが一番人気だったが、意外にも豆腐の燻製も結構人気が高かった。

 ちなみに、豆腐燻製は淡白な味ながらチーズのような食感で我ながら結構美味しかった。


 それにしても、まさか豆腐の燻製が人気とは、物珍しかっただけかもしれないけど意外だったな。他にもなんか面白そうな食材があったら試しに燻製してみてもいいかもしれないな。


 何か燻製にできそうな食材は無いか厳密には違うが似たような物だろうと乾物をヒントにするため探して見てみると、魚や果物をを干物しにしていたので野菜やキノコも干物しにしないのか聞くと「そんなもの干物にできるのか?」と聞かれてしまった。

 ドライフルーツはあるのになぜ野菜とかは干物にしないのかと思いつつ、村に帰ったら野菜燻製を作ってみようかと思ったが、水分の多い食材の燻製には向かず美味しくないと言うのをどこかで見た事があるのを思いだし、諦めて他に燻製に向きそうな食材は無いかライアスの市場で探してみる事にした。



 う~ん、結構見て周ったけどこれってのが無いんだよな。やっぱり肉と魚なんかの無難な物を燻製にするしかないのかな?


 自分で考えてもどうしようもないので魚を売ってる威勢のいい店員に何か面白い食材を知らないか聞いてみる事にした。

 

「ん~、おまぁここら辺のもんじゃねぇっか?」

「えーと……雪が降る頃に遠くから来ました」

「そだか~、んじゃばこれなっかどうだ?」


 そう言って独特の訛りのある店員が見せてきたのは今まで見たこともない丸い海藻を出して来た。何なのか良く分からなかったので反応に困っていると試食してみるかと聞いてきたので、お言葉に甘え試食させてもらうと結構美味しかったので多めに買う事にした。何と言う名前なのか聞くと海ぶどうならぬ海リンゴと言うらしい。

 何故海リンゴなのか気になったので聞いてみると、生でも食べられるのだが軽くゆでると青リンゴの様な見た目と風味になる事からそう呼ばれているらしい。


 そう言われると確かに甘さはそれほどなかったけどリンゴっぽかったかもしれないな。それにしても、元の世界では見たことも聞いた事も無い食べ物で異世界の食べ物って感じだ。ここまで異世界間を感じた食べ物は初かも知れない。でも、これって燻製にできるかな? ま、ダメ元でやってみるか。

 ……さっきの店員すっごい訛ってたけど、翻訳がおかしくなったわけじゃなさそうだし、あれくらいなら翻訳の許容範囲という事なのかな?



 村に帰った後、村長に今回の売り上げと燻製の評判を報告し、嗅覚の優れている村人に協力してもらい食材に合うチップを探すべく試作を重ねていき、正式に村の名物料理として売り出すことが決まった。

 ちなみに、試しに作った海リンゴの燻製はそのまま燻製したものは食べれたものでは無かったのだが、一度天日干しをしてから燻製にしたら思いの外美味しくできた。


「ふむ、これなら臭いも気にならんし万人受けしそうじゃの。しかし、海リンゴの燻製……これはこの村で獲れる物では無いからちょっと『この村の』とは言い難いのではないかの?」

「そう言われると確かにそうですが、この製造法が村独自という事でこの村名産と言っても問題ないかと思いますよ?」


 比べていいのか微妙だけど、元の世界でも明太子なんかは別の地域のたらこを使って加工したものが多かったし、食べ物以外でも別の国で作ってるのに名物として土産物屋で売ってたりすることあったんだから今回も似たような感じであくまでも燻製がこの村独自の名産品と言ってもいいんじゃないだろうか? 海ぶどうが採れる場所と同じ国内なんだしそのくらいいいだろう。


 結局ライアスでの燻製の評価もよかったようだから小さい事は気にしないとして、もう少し改良すれば十分村の名物となるだろうとの村長の判断から学校建設が終わり次第燻製工場を作る事が決まった。




用事があるため次の更新は二週間後になります。

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