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第四十話 シャルディア商隊壊滅

 ハイルの知り合いで回復魔法が使えると告げて診療所でハイルの治療を手伝ったのだが、ハイルは身体中傷だらけで左足に至っては太ももの半ばから先が無くなった状態だった。


「――とりあえず一通りの治療は終わりましたが、失った足は元には戻せません」

「……そうですか。ありがとうございました」

「いえいえ、あなたの魔法がなければ……我々だけではこんなに早く治療できませんでした。治療が終わったとはいえ、出血量が多かったことで体力が低下しているでしょうから今は休息が必要ですね」

「リ、リンくん、みなさん……ありがとう……ございました」

「ハイル、何があった聞いても? 無理そうなら寝ててもいいけど」 

「いや、大丈夫。それより、できればギルドマスターを呼んでもらえないかな? ドラゴンの事についての話だと言えば聞いて貰えると思うんだけど……」


 職員がギルドマスター連れてきてからハイルは何があったか話し始めた。ちなみにギルドマスターは剥げた筋骨隆々の中年のおっさんだった。

 ハイルの話では、数時間前ゴラウの北にある山を挟んで反対側の平原でシャルディア商隊が野営していたときに突如飛来したドラゴンに襲われ、ガイラルたち黒翼が囮となってる間に商隊は散り散りに逃げたのだが、戦闘中にハイルがドラゴンの起こした突風でゴラウの北の山の山頂付近まで吹き飛ばされてしまったそうだったが、幸い軽傷で済んだそうだった。

 ハイルはすぐに飛ばされた位置を確認してガイラルたちの元に戻ろうかと考えたのだが、戻った所で自分の力では邪魔にしかならないと判断してゴラウに救援要請しに行くことにし、危険を承知で無理に山越えをしてきたそうだ。そして、ケガはドラゴンにやられたのではなくその時の山越えのときに魔物に襲われて崖から落ちて負ったものだったそうだ。

 ちなみに、シャルディア商隊の野営地は馬での移動で街道を通るなら単騎で休まず移動しても一日はかかる距離だが、危険な山を馬で越えれるなら半日ほどの距離ということだった。


「バ、バカな! なぜドラゴンがこんなところに……」

「本当です! すぐに救援隊をお願いします!」

「……ドラゴンともなると俺の一存では決められない、領主の意見も必要だ。すぐに使いを出し、ギルド会議を開く」

「ハイルはまだ体を動かせる状況じゃないので、代わりに俺が参加します」

「許可しよう」


その後、ハイルは診療所で休ませることにし、すぐに領主の館に使いが出され、俺はギルドマスターに連れられて会議室に入り対策会議に参加する事となった。

 会議ではハイルの知らせを受けてドラゴンに対する方針を決めかねているようで『ドラゴンなど何かの見間違いではないのか?』とか『ドラゴンが出たのなら国に応援要請を出すべきだ』という声が多く、領主からの書状にはドラゴンの襲撃に備えてゴラウの防衛に全力を傾けるようにギルドへの要請が書かれていて、それに賛同する者が大半でだった。それでも、最低限状況確認のため誰かが現地を見に行くことも必要だという意見も上がったが、最後までハイルが求めていたシャルディア商隊の救出の話などは全く上がってこなかった。


 これはシャルディア達は見捨てられるって事か……ドラゴンがどれほどのものか分からないけど、周りの様子を見る限り絶望的な存在なんだろうな……なんとかしたいとこだが……依頼ならどうだ?


「すみません、発言宜しいですか?」

「おお、いいぞ」


 発言許可が出たので、シャルディア商隊を『ドラゴンから救出』だと、危険だからと許可が出そうになかったので、『状況確認と生存者がいた場合は可能なら救出』として依頼を出せないかと提案した。


「……その依頼、出すとすればかなり高額の報酬を設定しなきゃいけねぇぞ? 誰が報酬を出すんだ?」

「大金貨8枚では足りませんか?」


 俺が言うと『大金貨8枚だと』と、会議室の全員が驚いていた。どうやら俺がそんな大金をポンと出せるようには見えなかったみたいだ。


「確かに大金だが……しかし、ドラゴン相手となるとな……」


 ドラゴン関する事だとこれでもまだ足りないのかと思いつつ、依頼書の条件を絞って提示してみることにした。

 街道の移動でドラゴンがいた場合は近づかずに撤退し、その場合の報酬は実費と大銀貨1枚の報酬として、ドラゴンがいなかった場合は生き残りや死体、荷物を回収することで成功報酬を支払うという条件で話しが決まり、すぐに職員が依頼書の作成に入ることになった。

 そして、先発として俺が一人で馬で山越えで状況を見に行くことを半ば強引に承認してもらい、馬はギルドで用意してくれることになり、出発の準備のために会議室を出てまずは宿に向かった。


「――というわけで、俺は今から北へ向かう。正直言って戻ってこれないかも知れないから金貨6枚を渡す」

「あ、兄貴! 俺も連れてってくれ!」

「ダメだ! ルカはどうする気だ!」

「私の事はいいですからお兄ちゃんを連れて行ってください」

「ダメだ……もし俺が戻らなかったらその金でレオロイデ共和国かガウリィオ大陸へ行け……命令だ!」


 それでもまだ納得しない二人を「頼む」と言って抱きしめると、二人とも「こんなのはずるい」と一言言ってたが最後は「分かりました(ったぜ)」と、俺を見送ってくれた。

 そして、準備とはいっても必要なものは大体『倉庫アプリ』に入っていたので、そのままギルドへ行き馬の用意が整うまで依頼書のチェックとサインをして大金貨8枚を渡した。そしていよいよ出発。


「おい、言っても無駄かもしれねぇが……あまり無茶はするなよ。ドラゴン相手なんだから逃げても誰も文句は言わねぇ」

「ご忠告ありがとうございます。まぁ死なない程度には頑張りますよ」


 一気に北門を抜けて山を目指し、馬が怯えないように索敵系の機能をフルに使って魔物を見つけ次第遠距離から『ウィンドバレット』で倒し、馬に『回復』も忘れずにかけつつ急いで山道を進み頂上まで来たところで遥か前方でかすかに煙がのぼっているのが見えた。


 お、あそこが野営していてドラゴンに襲われた場所かな? ん~、『望遠』にしてもドラゴンが見当たらないな……すでに飛び去った後か? まぁいい、とにかく急いで行ってみよう。


 一気に山を駆け下り煙の上がっていた場所を目指し駆けて行くと、突然馬が暴れ出したので馬から飛び降り魔物でも出たのかと辺りを警戒したが何の反応も無かったので『望遠』を使って広範囲を見渡すと、林の方で横たわっている体長10mほどある赤いドラゴンが見えた。


 あれがドラゴンだと思うけど、……もしかして倒したのか? ガイラルたちはどこにいるんだろ? 無事だといいんだが……あ、馬どっか行っちゃったな、帰りどうすっかな。とりあえず誰かいないか見てみるか。


 倒れてるドラゴンを中心に誰かいないか『望遠』で探してみると、ドラゴンの近くに血を流し地面に倒れている人が何人か見えたので注意して見てみたが、どれも身体が引き裂かれていてとても生きているようには見えなかった。

 生存者はいないのかとさらにその周りを見ていると、ローブを着て首から上を布巻いて覆ったどこか不気味な感じのする人影を発見した。そして、その姿を捕らえた途端シューティングゴーグルの警報が鳴り響いた。


 敵なのか? てか、あれは人間……なのか? 何故か分からないけど手が震える……。


 注意してその人影が向いている方へ視線を向けてみると、散り散りに逃げたと聞いていたシャルディアたちの姿があり『散り散りに逃げてたはずなのになんで?』と、不思議には思ったが無事でいてくれたことにちょっと安心したのだが……人影……いや、人の形をした化け物が突如商隊を襲い始めた。

 化け物を止めようと立ち向かう黒翼のメンバーを素手? で引き裂き貫き倒していく化け物、レイが魔法で攻撃したが弾かれ、逆に無数の石槍のような物(多分魔法)に身体を貫かれて後方にある木に磔にされてしまった。化け物が今度はシャルディアの方へ向いた。


 あ、レイが! くそっ! もしかしたらドラゴンを倒してシャルディアたちを助けてくれたのかもとも思ってたんだけど……とにかく急いでシャルディアたちを助けないと。


 化け物がシャルディア方に手を伸ばし攻撃しようといている所へ『アンチマテリアルライフル(XM109ペイロード)』を具現化してすぐに狙撃したがわずかに間に合わず、ガイラルがシャルディアの盾となって攻撃を受け切り裂かれ、シャルディアは衝撃で吹き飛ばされて木に激突し倒れてしまった。

 化け物はシャルディアに止めを刺そうとしていたので、すぐに射撃すると銃弾は伸ばしていた化け物の右腕を吹き飛ばし、シャルディアへの追撃を防ぐことはできた。そして化け物は自分の腕が吹き飛ばされて何が起こったのか分からないのか固まっていたので、その隙に二発目を頭を狙って狙撃、しかしかわされてしまった。


 嘘だろ! ペイロードでの狙撃をかわすとか、マジで化け物だな。大体なんで腕吹っ飛ばされてるのに痛がりもしなければ血も出てないんだよ!


 今度は『重機関銃|(ブローニングM2)』を具現化し、スマホの魔力を補充しつつ『望遠』で化け物の動きに注視していたのだが、かなり離れていたにもかかわらず迷いなくこちらへ向かって近づいて来ていた。

 狙いを定めて射撃し化け物に向かって銃弾が飛んで行ったのだが、目に見えない壁に銃弾がことごとく弾かれてしまっていてダメージを与えることができなかった。しかし、化け物は動きを止めこちらの銃撃に動くことができないようで足止め程度の効果はあったようだった。

 向こうの目に見えない壁が消えるよりこちらが弾切れになる方が早そうだったので、すぐに『スモークグレネード』を具現化し、弾切れになるのと同時に投げつけてスモークグレネードの煙に隠れつつ自らは後方に退避しつつスマホの魔力を補充、そしてすぐに威力強め、範囲狭めに設定して『ウィンドキャノン』を放つと、見えない壁を貫き化け物の身体に穴が開きこれで倒せたと思ったのだが、化け物は気にした様子もなくこちらに向かって歩いてきていた。


 なんであれで動けるんだよ! 身体に大穴空いてるんだぞ! 不死身なのか? ん~、たとえ不死身でもバラバラにしてしまえば無力化できるかもしれない……他にいい手が浮かばないし、試してみるか。


 先程と同じように『スモークグレネード』を具現化して少し手前へ投げて煙に隠れて今回は『手榴弾x5』を具現化して、近づいてきていた化け物の足元へ3つ転がし、2つは頭があるはずの場所へ投げつけて近くにあった岩の陰に飛びのき爆発から身を守りつつ魔力を充填してから岩陰から様子を見てみると、化け物はボロボロになりつつもその場に立っていた。


「いやはや、面白いことをしてくれる人間がいたもんだ」


 頭が半分吹き飛んでいて喋れないはずの化け物が言葉を発し、それと同時に映像を逆再生しているかのように化け物の身体が元に戻っていき、服以外は元に戻ってしまった。頭に巻いていた布が無くなりあらわになったその顔は端正な顔つきで浅黒い肌、目は黒目に光など全く感じない闇そのものといった感じの金の瞳で穏やかな表情をたたえた20歳くらいの中世的な男だった。そして、俺の目の前まで歩いてきて質問してきた。俺は質問されるまで蛇に睨まれた蛙のように動くことができないでいたのだが。


「確認なんだけど、攻撃してきたのはきみで間違いないかな?」

「……あ、ああ、俺だ」

「ふむ、きみからは魔力を欠片も感じないのにこれほどの魔法を使い、見たこともない変な武器を使う……これはちょっと興味深いね」

「おまえはいったい……」

「ん、ああ、ぼくかい? ぼくは『魔人』だよ……よし! ここは引いてやってもいいよ? ただし、条件がある。それは――」



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