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第二十六話 三次試験・初ダンジョン

 シルバーランク昇級試験、三次試験当日。今日はいよいよ我らがBチームが試験を受けるべくダンジョンへ入る番だ。と、集合場所であるギルドの会議室へ向かった。

 俺が会議室に入ると集合時間の30分前なのにも関わらず、すでにみんな集まっていた。とりあえず朝の挨拶をし、談笑していると試験官と思われる二人が会議室に入ってきた。


「今回、三次試験の担当官するスガムです」

「同じく、ホ-キスです」


 そして何やら用紙を渡され「よく読んで、問題なければサインを」と言われたので読んでみると、ダンジョンで死んでも文句言うなっていうような事がやたら丁寧な言い回しで書かれた承諾書だった。

 いまさらここで『やっぱやめときます』なんてやつもおらず、全員すぐにサインをして担当官に渡し、各々使う武器を選んで借りてから、いよいよダンジョンへと向かった。

 ちなみに、ライルはロングソードとスモールシールド、ガウラはバトルアックス、ディアは弓と矢x100、さらに短剣を一振り、俺は短剣を二振りと投げナイフを5本を選び借りることにした。(矢と投げナイフは使ったら返せないけどね)


 ダンジョンの入り口にいた衛兵にギルドカードを提示して試験開始となった。

 地下1階層は石造りの整備された通路が枝分かれしているフロア。時間は有限ではあるが、まず初めに魔物相手に実際パーティとしての連携した動きをいくつか試してみることにした。

 ゴブリン3体相手にまずは『ウィンドショット』で足止めの意味も込めての先制攻撃(威力を少し落として撃った)、怯んだ所に前衛のライルとガウラが攻撃を加える。それを遠方からディアが弓で援護射撃、俺は後方を警戒しつつ魔法で攻撃ということであっさりと倒せた。


「うまくいったね。それにしてもリンが無詠唱で魔法使えるとは思ってなかったよ」

「リン! おまえ凄いじゃないか!」

「ほんと、けっこうやるわね。ちょっと見直したわ」

「え、ええ、まぁ、それほどでも……」


 あれ~? 確殺しないように少し威力を殺して魔法使ったんだけどな~? っていうか、なんかみんなたいしたことない気がするんだが、てっきり昨日の練習の時は流した感じでやってるんだと思ってたんだけど、あれで本気だったんだな。

 ん~、ブロンズランクの強さってこんなもんなのか? これだとデイジーの方が強かったぞ。こんな感じで5階のボスまで行けるんだろうか……ちょっと不安になってきた。『ショット』だけじゃなく『バレット』系も使って行かないと危険かもな。


 連携を一通り試し問題がないことを確認し(俺は不安いっぱいだったけど)そこからは階段を探し早く地下2階層へ降りることを優先し進む事にした。

 途中、ゴブリンやスライムとの戦闘を繰り返したがダンジョンにありがちな罠などは一切見当たらず、1時間ほどかけて地下3階層への階段を見つけることができた。

 ちなみに俺は『ロックショット』を壁に向けてはなって跳弾をゴブリンに当てれるか検証してみた結果、壁に当てた場合だいたい入射角と反射角が同じということが分かり、光の反射でもないのにほとんど同じとか不思議だなとみんなに聞いてみると入射角や反射角が何なのかを理解してもらえず、変な目で見られてしまった。


 あれ~? このくらいのことは確か中学くらいで習うことだったはずなんだけど、この世界ではこういうのは知らないのかな?


 結局俺は訳の分からないことを言う変な人『変人』認定されてしまった。泣きたくなったよ。


 地下2階層への階段を降りている途中で、このペースでは時間内に地下5階層を突破できなくなりそうだということを話し合い、ここから先は魔物との戦闘より先に進む事を優先する事にした。


 地下2階層も地下1階層と同じ洞窟のようなフロア。出てきた魔物は、またもスライムと、ジャイアントラット(大きくて何でも食べそうな獰猛なネズミさん)、サーペント(牙がすごいでっかい蛇)だった。

 どの魔物もそれほど強くは無かったので、見つけたらパブロフの犬……もとい、条件反射のように俺が魔法、ディアが弓で先制攻撃をし、止めはライルとガウラが刺す。ということを繰り返し、危なげなく魔物と戦闘できていたのだが、この階からたまに落とし穴や矢が飛んでくるような罠があることが分かり、急いで先に進みたい気持ちを押さえつつ、慎重に罠を警戒しつつ進み、1時間ほどかけてやっと次の階への階段発見した。


 1階層に1時間か……このペースじゃちょっとやばいかな?


 地下3階層はただの洞窟のような作りに床だけ石畳が敷かれたフロア。出てきた魔物は、スライム(またかよ)、コボルト(見た目は荷足歩行するワンコ、ただし武器を持ってたりする)、ロックリザード(前に戦ったことあるから割愛)

 これといって苦戦はしなかったのだが、コボルトがやたら数が出て来て時間を取られてしまった。


 関係ない話だけど、俺は犬派だ! コボルトを殺すのに人(盗賊)を殺したとき以上に葛藤があったよ……。ワンちゃんごめんね? あれ? そういえば、今までに『ハウンドドッグ』、『グレーウルフ』なんて言う犬型の魔物も殺してたっけな……そう考えればいまさらだな。うん、よし! 魔物犬は犬じゃない、あくまで魔物だ! さて、コボルト殺りまくるか。

 コボルトを狩りまくっていると、運よく30分ほどで下に向かう階段を発見できた。


 んー、残り2時間半か……ボスと戦う時間を多く取りたいからサクッと進みたいとこなんだけどな。ちょっとズルな気もするけどスマホの機能を使っちゃうか?


 サーモや魔力探知なんかを組み合わせれば魔物を避けて階段を探すのも楽かな~とも思ったが、最後の手段に取っておくことにした。使ったとしてもバレないとは思うが、正々堂々と試験を受けた方がいい。


 地下4階層は部屋の数が多く、部屋の扉に罠が多く設置されているフロア。出てきた魔物は、スライム(もういいよ!)、ジャイアントバット(でっかいコウモリ)、クレイゴーレム(土でできた厳ついお人形さん)

 ジャイアントバットの超音波攻撃を受けると音波で頭が痛くなり身動きがとりずらくなったりして結構厄介で、さらに近接攻撃がよく避けられてしまい中々倒せなかったが、超音波の範囲外から弓と魔法で攻撃すれば割と楽に対処できることが分かった後はさっくり倒すことができた。

 クレイゴーレムは身体に穴をあけようが腕や足を切ろうがすぐに回復して襲ってきた。どうしたものかと観察してみると、弱点はここですって感じで額の中央部に魔石が埋っていたので砕いてみたらあっさり倒せた。なんか魔石を砕いてしまうのは勿体ないな~とか思ったけどね。


 地下五階層は地面は土で壁や天井は岩と言う洞窟のようなフロア。出てきた魔物は……スライム、見た時に全員がハモって『スライム迷宮か!』とつっこんだよ。と、それはいいとして、他にはキラービー(大きい蜂って、前と同じなので割愛)とキラーアント(体長1mほどの大きすぎる蟻)

 ジャイアントアントはその大きさのくせに天井や壁を歩いても落ちてこない。外殻が硬く攻撃が通りにくく魔法、特に火に弱いことが分かった。 


 てか、結局全階層に見た目は同じスライムがいたな……しばらくスライムは見たくないかもしれない。


「以上、ボス部屋までのダイジェストでした~。スライムは思い出したくもないので全割愛です」

「リン? 何やってんの?」

「あ、気にしないでください。さ、時間もあまりないことですし、ボスを倒しちゃいましょう」


 なんか『やっぱり、リンは変人』とか聞こえた気もするが気のせいだ。


 作戦を立てようにも中にどんな魔物がいるかも分からないということで、戦いながら考えていくということに決まった。

 ボス部屋は広く、中にいたのは大量のキラーアント、そしてそのキラーアントよりひときわ大きい魔物クィーントアント(体長3mほどの女王蟻)がいた。


 まずはキラーアントの駆除をすることにし、部屋は十分な広さもある事から日の魔法を使うことになった。

「いきます! 『ファイヤーアロー』」

 『ファイヤーアロー』を数発撃って焼き殺していったのだが……。

 「おお、やったか?」ガウラ、止めて! それフラグになるから止めて。

 案の定、キラーアントがどこからとなく涌いてきて、初めの数まで戻っていた。


「ねぇ、きりないんだけど。どうするのリーダー」


 なにげにライルが今日リーダーと呼ばれたのはこれが初めてだったりする。どうでもいいけどね。あ、ライルがどうでもいいって意味じゃないよ?


「たしかにキラーアント相手にしててもらちがあかないから、何とかクィーンアントを倒したいね」

「もしクィーンを倒してもまた沸いてきたらどうすんだよ?」

「時間もあまりないですし、とりあえず倒してから考えませんか?」

「よし! それじゃ僕とガウラでキラーアントを足止めしとくからディアとリンでクィーンに攻撃してみてくれ」

「「「了解」」」


 ディが流行った矢は見事にクィーンアントの頭に命中したのだが、『カーン』と乾いた音がしてポトリと落ち、それに怒ったのか強酸を吐いて攻撃してきた。

 慌てて強酸を避けて、クィーンアントの硬さに魔法アプリに打ち込んでいた『ファイヤーアロー』じゃ駄目だと思い、キャンセルして『ファイアバレット』に切り替えて撃ち込んだのだが、『ガコン』とすごい音がしたが頭が少しへこんだだけで、またしても強酸で反撃された。ちなみにクィーンアントはキラーアントの事はお構いなしなようで強酸でキラーアントが結構な数溶けていてグロかった。


「硬すぎる! 首とか間接狙った方がいいかも知れません」

「じゃ、私が矢で牽制するからその隙に回り込んでさっきの魔法を撃ち込んで」

「それじゃ僕がディアの護衛をするよ」

「行けリン! 露払いは俺がしてやる」

「はい、お願いします」


 ん~、『ファイアバレット』程度じゃ首を狙っても倒せない気がするな……混合魔法で行くか。


 ディアの方に注意が向いてるうちに素早く回り込み、クィーンアントの身体を駆け上り風と火の混合魔法『ファイアスラッシャー』火と風で出来た巨大な刃をクィーンアントの上から首を目がけてはなった。

 見事に命中したのだが首を切断することはできず半ばほどで刃が止まり、暴れたクィーンアントに振り落とされてしまった。


「あれでもしとめきれないのか……なら」


 地面に着地し、こちらに向かってきたキラーアントに投げナイフを投げすぐに移動してクィーンアントの首の傷目がけて短剣を投げさらに短剣の柄に『ファイヤーボール』をぶつけてその爆発で短剣を加速させた。

 勢いがついた短剣は見事に首を貫通し、そこへライルとガウラが同時攻撃をして首を完全に切断してやっとクィーンアントを倒すことができ、キラーアントはクィーンを倒したからかいつの間にか消えていた。


 一応『やったか?』と言おうとしていたガウラを止めておき、ついでにクィーンアントは『倉庫アプリ』に回収させてもらった。


 よし! あんだけ強かったんだから何かいい能力持ってるかもしれない。


ちなみに、このダンジョンのスライムは何故かこちらが攻撃しない限り襲ってこなかった。



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