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第二十四話 シルバーランク昇級試験(一次・二次)

 シルバーランク昇級試験の開催が決まったということでギルドで受験料を支払って受験票を受け取り説明を聞こうとしたのだが、詳しいことは二日後にギルドの会議室で全体説明すると言われた。

 二日間これといってする事も無かったので、ゴラウを観光したり、適当に依頼をこなしたりして過ごし時間をつぶした。

 ゴラウはダンジョンがあるせいなのか活気はあったのだがホラブに比べて冒険者が多く歩いていて、宿、酒場、武器屋、防具屋などが多く見られた。

 食に関してはホラブと違いこの世界の料理を出す店がほとんどで、ダンジョン以外にはこれといって見る所がなかった。


 そしてシルバーランク昇級試験説明会が開かれる。

 会議室に集まった受験者は全部で24人。どう見てもみんな俺(15歳)より年上ばっかりでいかにも冒険者と言った風に見える者たちばかりで、俺だけ浮いていて『なんでガキがここにいるんだ?』といった目で見られていて、居心地が悪かった。


「えー、私は当試験の担当官長のロムグです。それでは只今よりシルバーランク昇級試験の概要を説明させていただきます」


 ロムグは長身の冒険者然とした厳つい中年男だったが片足を引きずっていたので、冒険者を続けることができなくなってギルドの職員になったのだろうことが予測された。


「まず、試験は三次試験まであり、試験初日に一次試験をし、合格した者が二次試験に、さらに合格した者が後日三次試験に、そこを合格して晴れてシルバーランクへ昇格となります。

 試験内容ですが、一次試験は筆記試験を1時間、これは算術問題です。その後30分の休憩の後、合格者を発表します。合格者はそのまま二次試験の面接を行います。二次試験の合格発表は午後1時に発表の予定ですので、時間までに昼食をとるなどしておいてください。二次試験の合格者はそのまま会議室に残り、最終の三次試験はダンジョンでの実地試験の説明などを行います」


 え、算術? そんなのがあるとは……こっちの学習レベルが分からないけど、大学受験レベルとかだともう覚えてないぞ、正直いって高校受験程度でもちょっとあやしい。問題集とかないだろうしどうしたもんかな。

 二次の面接は大学入試やバイトとかで受けてたから、へまさえしなきゃ何とかなるかな?

 三次のダンジョンは敵の強さが分からないからな~、ポーションとか多めに作って用意しておいた方がいいかも知れないな。

 てか、昇級試験って、こうなんか試験官と戦って認めらて合格とか、指定された魔物を倒せばいいとかいうものだと思ってたのにな……こんながっつりした試験だとは……なんか一気に不安になってきたぞ。


 そんなことを思い驚いていたのだが、周りの人たちは普通にしていたので、これが普通のことなのだろう。

 最後に受験票にギルドの判と番号が書かれ、試験当日は忘れずに持ってくるように言われて、忘れた場合は試験を受けることができず、受験料の返却もないから気を付けるように注意された。


「試験は三日後の午前9時に、この会議室で一斉に行います。筆記用具は持参してください。それと、遅刻した場合は失格になるので注意してください」


 マジで受験っぽいな。なんか大学受験のときのことをを思い出しちゃったよ。


 途中、雑貨屋で筆記用具|(羽ペンとインク)を買ってから、宿に帰り宿泊料の残りを前払いしてカギを受け取り早速風呂に入ることにした。

 風呂はタイル張りの小部屋にあり、洗い場や排水口は無く、猫足の付いた陶器製の小さ目のバスタブとトイレが置いてあるだけのものだった。どうやって入るのかわからず受付で風呂の入り方を聞くと。

 まず、湯をバスタブに3分の1くらいため、服を全部脱ぎ裸になってバスタブに立つ。バスタブの中で石鹸などで髪や身体を洗う。洗い終わったらバスタブのお湯で泡を軽く落とし、立ち上がってバスタオルで体を拭いて出るのだと教えられ、シャワーとかないのか聞くと、シャワーを使うには魔道具が必要で高級品なので貴族や大金持ちくらいしか持っていないと言われた。

 それならと、バスタブの外で体を洗てからお湯につかったりはしないのか聞くと、何を言ってるんだと不思議な顔をされてしまった。どうやらお湯につかるという概念が存在しないようであった。


 う~ん、ちょっと期待外れだな。これなら『浄化』でいいや……。


 風呂に入れると期待していた分がっかり感が強かったが、トイレが洋式の水洗タイプだったのがちょっと嬉しかったので、気を取り直して寝る準備をしていた。

 準備をしていたときに『そういえばリュースにメールしようと思ていたんだよな』と思い出し、忘れてしまわないうちにメールをしておくことにした。

 

『前に貰った治癒魔法なんだけど、リアンナに使った所、初めは効果なかったんだけど時間経過とともに回復が見られるようになり会話ができるまで回復したよ。ありがとな』


 メールを打っていたときに『世界の事をレポートとしてまとめてメールして欲しいです』と以前メールに書かれていたことも思い出したのだが、シルバーランク昇級試験の勉強もしないといけないし面倒なのでレポートは今度にすることにした。


『レポートことなんだけど、今度シルバーランク昇級試験を受けることにしたんで、その後に提出するから勘弁してくれ。それじゃ、帰ってきたら一度メールでもしてくれな』


 ま、こんなもんでいいかな? さて、そろそろ寝るか。


 翌日から受験当日までは食事は宿で済ませ、部屋で公式などを思い出しつつ勉強し、さらにバイトや大学入試の時の面接を思い出して面接のシミュレーションなどをして試験に備えた。


 そしていよいよ試験当日、早目に起きて必要なものをチェックしてから宿を出て試験の30分前にギルドに到着し、受付に受験票を見せて試験会場である昨日の会議室に移動し、机に張られていた番号と受験票の番号が同じな事を確認して座り、試験の開始を待った。


「おはようございます。それではこれよりシルバーランク昇級試験の一次試験を開始いたしますので、机の上の筆記用具以外のものはしまってください」


 シルバーランク昇級試験が開始された。


 一次試験は筆記の計算問題。


 ・ゴブリンが3体とアルミラージが2体、魔物は合計何体いますか。

 ・昼食で800ギリクのランチを食べ1000ギリクを払いました。お釣はいくらでしょう。

 ・1個100ギリクのリンゴを8個買いました合計は何ギリクでしょう。

 ・10,000ギリクを4人で分けると1人何ギリクになるでしょう。

 なんて問題が20問ほどあり、1問5点の100点満点中65点取れば合格というものだったのだが。

 こんな問題で落ちるやつとかいるのかとか思っていたら8人が不合格になり残り16人になった。


 おいおい、あんな簡単な四則演算すらできないやついるのかよ。


 二次試験試験は面接。

 これといった説明は無かったので、シミュレーションしていた通りにやってみることにした。


 「コン、コン、コン」と3回ノックし、中から「どうぞお入りください」と言われてから扉開き入室し、入室したら扉のほうに向き直り、扉を静かに閉め、閉め終わったら、面接の職員のほうに向き直り、扉の前で「失礼します」と一礼してからイスに向かった。面接の職員は30代後半のいかにも事務職と言った感じの男だった。

 イスの左側か後ろに立ち「冒険者ランクブロンズのリン・クスノキです。よろしくお願いいたします」と言って一礼した。「ど、どうぞおかけください」と何やら驚いた感じの面接の職員に言われ「はい、失礼いたします」と言って着席した。座る姿勢は、イスの半分くらいの位置に座り、て背筋を伸ばしたかっこだ。


「こんにちは、リンさん。私は面接担当のラステです」

「こんにちは、ラステさん。よろしくお願いします」

「それではいくつか質問させていただきます。まず――――」


 年齢や出身地、冒険者になった動機などを聞かれ無難に答えていたのだが何故かラステが変な顔したりどもったりしていたのが気になりつつも質問が終わった。


「本日は、ありがとうございました」と一礼し、起立してイスの横で再度「ありがとうございました」と一礼し、ドアの手前でラステのほうに向き直り、「失礼いたします」と挨拶すると、何故かラステは口を開けてポカーンとこちらを見ていたが、かまわずドアを開け退出し、ゆっくりドアを閉めた。


 なんかもう、魔物と戦うより緊張した! なんかラステの反応がちょいちょい変だったけど、俺……なんかへましちゃってたかな? 大学の面接のときよりうまくできてたと思うんだけど……この世界の作法とか勉強しとけばよかったな。


 何か良く分からないけど4人落ちて残り12人になった。俺? 俺は受かったよ? いやマジで。


 この試験って、バカを振り落とすだけの試験なんじゃないのか? って気がしてきたな。

 

 合格者12人が会議室に集められ、試験担当官長のロムグから三次試験の説明を聞くこととなった。


「えー、最終の三次試験なんだが四人一組のパーティーで試験官二名が同行の上ダンジョン地下5階層のボス攻略までを5時間以内に行ってもらう。ただし、一人がどんなに強くてもパーティーとして動けていなければ全員不合格、試験官が危険と判断し中断した場合も不合格『創意工夫をし仲間と共にどうダンジョンを攻略するかが大事』ということを忘れないように」


 ここにきて個人の資質ではなく集団行動を問われる試験が来るとは……集団行動ってあんまり得意じゃないんだよな~。


 何か質問はあるかと聞かれたので、この最終試験が何故パーティーを組んでダンジョンなのかと聞いてみると、シルバーになったばかりの冒険者がソロで潜って、注意もせずに無理に進んで罠にはまって死んでしまったり、パーティを組んでも勝手な事をする者が多いので、ダンジョンというものは慣れないうちはパーティを組んで各自の役割をこなすことを考えて動き、じっくりと進んでいくものだと教えるために試験に取り入れることが多くなったらしく、最近の試験では最終試験はほとんどダンジョンで行われているという事だった。


 冒険者って、猪突猛進の脳筋バカが多いのか……ダンジョンが危険だってのは立て看板見て少し考えればわかるだろうに。


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