2.転校の天使
あとがきへどーぞ。
「ここは俺に任せて先に行け、絢人!」
「何言ってんだ遙!お前がいなきゃ僕は...っ!」
絢人の肩を強く叩く遙。
「痛っ...何すんだよ遙!」
「お前こそ何言ってんだ莫迦野郎ッ!!!」
後ろから迫る組織の連中を見据え、遙は絢人に怒鳴る。絢人はハッとなり、振り向く。その先には開いたシェルターが。
「俺達は【children】だろッ!!!神を救う神の子達だ!だから、多少の犠牲を払おうと、その目的を果たさなければならない!」
「遙...っ!」
「行けッ!!!そして、ノアを...✕✕✕を救えッ!!!」
そう言い残すと、遙は組織の追手に突っ込んで行った。
「来い...【satellite】ッ!!!」
─────────俺は俺の限界を超えるッ!!!
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始業式が行われて、僕と遙は教室へと向かった。廊下の窓は開いていて、桜の花弁がヒラヒラと舞い降りている。
「まあ、また同じクラスとはな...」
「びっくりしたよ...でも、違うクラスだったらめんどくさかったし...」
「そうだな」
階段を軽快に駆け上がり、遙を少し引き離して教室へと入る。
「遙、早くしr──────」
...目が悪くなったのだろうか、見たことが無いはずの女子生徒に見覚えがある。多分、高校2年デビューだろうか。メガネはコンタクトになり、右と左にユラユラと揺れていたお下げ髪は後頭部の高めの場所で1本にまとめられている。
「...何よ、その顔は」
「どうした絢t─────ッ!?」
「何なのあんたたち...いえ、此坂くんと一条くん、どうしたの?」
「「言い直したッ!?」」
目の前に立つのは、翡翠色の髪をもつポニーテール女子。中学の頃は毒舌会長として学校を震え上がらせた、災厄の化身。
「べ、べつにいいじゃない、高2デビューしたって。」
古神音夕香───通称【上中の雌獅子】。コン〇スのノ〇さんみたいに金属バットを振り回していた、要注意人物である。
...ちなみにノ〇さんはチェーンソーだ。
「ゆ、夕香...高1はまだお下げだったのに、どうしてポニテに変えたんだい?っていうかなぜ言い直したし。」
「細かいこと気にすると禿げるよ。」
「「なんだとッ!?」」
僕と遙、夕香の3人は上中では生徒会に所属しており、不登校児の1人を加えた4人で【上中四天王】と呼ばれていた。...由来は、委員会の中で最も権力を持っているのが生徒会で、それが4人だけだからである。決して、(1人を除いて)暴力的であった訳では無い。
「いつになったらふたりが来るのかと、見に行く所だったんだけど...」
鞄を肩にかけて並んでいる僕らを見て夕香は溜息をつき、
「その必要は無かったようね。」
と呟いた。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
「Σ( ̄ロ ̄lll)ゲッ!!」
「「予鈴じゃんッ!!!」」
僕達3人は、急いで2年B組の教室へ向かった。
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「はい、とりあえず以上になりまーす。みんな、今年もよろしくねー。」
担任は相変わらず20代前半教師の羽村唯だった。この緩やかな感じと、授業のわかりやすさで学校中の人気教師だ。
「気をつけー、れ」
「はいストップ」
出席番号1番の男子が号令をかけようとすると、唯がそれを止める。疑惑の視線を受け止めた唯は、教卓をバシーンっと叩いた。
「男子諸君、朗報だ!」
わけがわからないという顔をする男子の中に、色々と察しがついてしまったのがふたり。
────もちろん、我々である。
「なあなあ、確か前話でフラグ一つ立ててなかったか?」
「oh......」
顔を見合わせて天井を仰ぐアホ二人。もちろんそんなことでセリフは止まるはずもなく...
「今日から、うちのクラスで転校生が学ぶことになる!」
───────や、やめてくれ。
「では、入ってくれ───明日南。」
この世の終わり、という顔をする男子2人と色めき立つ他男子と、見とれてしまう女子。
そこには、天使がいた。
白髪は背中まで伸び、前髪は右側に流して赤いピンで止めてある。うちの制服は黒地に白のブレザーなのだが、彼女だけは真っ白のブレザーにチェックのプリーツスカート、季節外れの赤いマフラーを巻いている。
2年B組に舞い降りた天使は、頬を赤らめながら、気のせいか、僕の方を向いて口を開いた。
「明日南、未月樹です。よろしくお願いします。」
To be continued...
2話投稿となります!
遅くなりすぎて申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
ほんとにね、受験とか何とかあったんですよ!しかもあと2週間でまた定期テストですよぉ...(´・ω・`)
3話は1ヶ月以内に投稿します!
月イチ投稿で頑張っていきますので、これからも「はれはの」をよろしくお願いします!
以上、雨月和海でした!