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「ちゅっ……。んむぅ、くぷ。む……ぅん……」
少女同士、白い指を絡ませながら、唇を吸い合う。
月界の社にて今宵も睦むは、女神と巫女。
銀の髪に紅の瞳、童女姿の月の女神ツクミと、長い黒髪に夕陽色の眼の巫女、ヒミコであった。
「む……ちゅむぅ。ずぷ、るちゅぅ……、ふ、ぅぅぅ……!」
ヒミコは、あどけなさを残した顔立ちに似ぬ豊かな胸で、半ば女神ツクミを押し潰すほど強く抱いて、唾液を吸う。
(あ……やっぱり私、接吻、好きかも)
生々しい熱を帯びた銀の蜜を、吸い尽くすべく、女神の口腔内を子犬のように舐め回していると、
「ふぅ……っ、んむぅ! こ、この……、そなた、いい加減にせぬか!」
ちゅばぁ、と銀糸が垂れる。
幼子の姿の女神は、顔を真っ赤にして、巫女の胸を押しのけた。
「接吻は、予にとってはただの食事だと、言うたであろうが! 精気を吸う為であって、そ、それを……」
八重歯を覗かせながら、わなわなと震え、睨んでくる。
「そ、そなたばかり吸って、どうするのじゃ!」
「だ、だって。しかたないでしょ」
ツクミの唇。美味しいんだもの。
唇をなぞりながら、そう伝えると、
「……色狂いめが」
「だ、誰がよ!? 言っとくけど、巫女の務めでやってるだけなんだからね! それを、ちょっとでも楽しもうって私の努力、分からないわけ?」
がばっと、お社の木床に、女神ツクミを押し倒した。
「ちゅっ……♪ な、生意気なこと言ったら、吸わせて、あげないんだから。ちゅぷ、むちゅぷぅ」
「ちゅぱ、ふぁぁ♪ だ、だから、これでは、んっ♪ 予が吸われるばかりでは、ないかぁっ。ちゅっ、くぱぁ♪」
人界を高きより見下ろす、雲の果て。
月のお社では今日も、桜色の唇と舌が、女神への奉納神楽を舞うのであった。
※ ※ ※
「ふぁ……♪ はぁ、っ、あ……♪」
着乱れた胸元……白く平らかな胸が、上下する。
先に倒れたのは、いつも通り、女神ツクミの方だった。
瞳を蕩かした女神の、愛らしい唇から垂れる涎……を、ぺろりと舐め掬いながら、ヒミコは言う。
「ご、ごちそうさまでした」
「……ふにゃ♪ だ、だから、そなたが言うなと……」
神酒より甘い少女蜜の余韻に、しばし浸っていると、ヒミコの胸にふとした疑問が。
「ねえ、ツクミ。他の女神さまも、こ、こんな風に……するの?」