第1話 入部
キーンコーンカーンコーン
6時限終了のチャイムがなった。ここは俺が
通っている私立清良高校附属清良中学校の
1年C組教室。授業が終わったせいかみんな
ガヤガヤ騒いでいる。おっと、自己紹介を
忘れていたな。俺の名前は篠原歩。色々な
スポーツは出来るけど、好きなスポーツが
ない。嫌いな食べ物はあるけど好きな食べ物
は特に無い。まあ、そういう何の面白みも
無いごくごく平凡な凡人だ。今日は中学校
生活が始まり早4日。自分を試すため、国内
最難関の「帝国中学校」の1ランク下である
「清良中学校」に頑張って受験して入ったの
だが、俺が1番興味を持ったのは部活の
多さだ。自分で数えただけでも15はある。
そのせいかみんな悩んでいた。俺もその一人
だった。そもそも興味があるものなどほぼ
無い。本当困ったもんだ。そうこう考えて
いるうちに連絡会が終了。今日は3回目の
部活動体験があったが、何かのめんどくさい
ので、今日は休んで帰ろうとした。そして
第2会議室の前を通り過ぎたその瞬間
「ねえー、そこの1年生くんー。」
と後ろから声をかけられた。振り返って見る
と黒縁眼鏡をかけた青年が立っていた。上靴
の色からして3年生だろう。中学校で上級生
に話しかけられのが初めてだった俺は、
「ひゃっひゃい!!にゃ、にゃんですか。」
と噛みまくった。うわー、恥ずかしいわー、
田中に見られなくてよかったと思っていると
その青年は衝撃な事を言ったのだ。
「僕、将棋部の部長だけど将棋部に入らないかい?」
まさかスカウトされるとは夢にも思って
いなかった俺はおもわず
「はいっ」
と言ってしまった。俺はすぐに我に返り、
慌てて断ろうとした。が、その青年は笑顔に
俺の手をがっちりと握って、無理やり引っ張
ってどこかに連れていかれたのだった。
*
そこは俺が一度も来たことが無い
「第三会議室」 というところだった。
青年に促されるままドアを開けると、そこに
は廃部寸前である4人で将棋盤に向かって
考えていた。そこには1年D組の村松も2年生
の先輩と指していた。村松健。俺が小学校
4年の時同じクラスになって マイクラフト
や パズル龍王 の話なので仲良くなった
友人だ。だが、それ以来一度も同じクラスに
ならなかったので、話すのは3年ぶりだ。
「よう、村松。」
「お!!篠原じゃねーか!!お前も将棋部に
入部するのか?」
俺は未定だと伝えようとした。しかし俺が
いうよりも先に
「この子は今日から将棋部入部生でーす。」
と言ってしまった。その途端、村松を除く
全ての部員が俺に大きな拍手を送ってきた。
その拍手の中に 入れ入れプレッシャーが
漏れていたので、仕方なく俺は将棋部に入る
ことにした。そして1週間後
*
部活動体験が終わり、入部届の用紙が配布
された。僕は第一希望に 「将棋部」と
ハッキリした字で書いた。担任の津田先生が
回収した後、後ろの田中が
「なあなあ篠原、お前どこに入ったーー 。」
と先生に聞こえない声で聞いてきた。
田中は何故この中学に受かったか不思議な位
頭が悪い。それにいつも俺の事を馬鹿にして
くる。お前の方が馬鹿なのに。なので田中に
は黙っといた。そうして俺の将棋部?での
何かが始まった。
【続く】