プロローグ 開幕
う藤司は着信音から腕時計端末を確認する
そこにはルール違反により、死亡と確かに表示されていた
司は自分が異常な事態の中にいることを改めて痛感する
だがここで冷静さを欠くな 冷静さをかいたら人は終わりなのだ
「そうだ...まず充を探そう」
司はコテージを出て山から降り始める
降りている最中にポツンと小さな影が見える
「どうして....どうしてこうなっちまったんだよう....お父さん....」
小さな男が木にもたれかかっている、しめた!ここで共に行動する人がいれば情報交換ができる
「なあ、お前ちょっといいか?」
「う、うわ 人....いたんだ」
「お前は今どうしてこの無人島にいるのか、わかるか?」
「わ、分かんないよう.....」
「だろうな、オレも何が何やらさっぱりだ、よかったら一緒に行動しないか?
こんな訳の分からん島で一人で行動するより二人で一緒に行動した方が心強いだろう」
「う、うん、いいけどさでもその代りひとつお願いがあるんだ....」
「なんだ?」
「僕と...友達になって」
同じ頃青い髪の少女は窮地を逃れきった
斉藤の端末の爆発から逃れることができたのだ
「危なかったわね...16歳の嫁入り前の美しい肌のあたしが傷ついたらどう責任とるっつうんだ、実行委員会の野郎.....」
しかし、美肌の少女とは対照的に目の前の斉藤倫太郎はすっかり黒こげになってしまい、最早原型すら留めていない 少女はそこで当然の疑問に辿り着く
「謎なのはルール違反ね.....暗殺者ってくらいだから人一人殺そうとしたからって違反になるとも思えないし......」
少女が思考にふけっている最中突如端末が鳴り始める
「ゲームのルール説明を致します」
少女の腕時計端末が起動する5分前海辺では少年伊藤充が木で火を起こそうと躍起になっていた
「くそ、くそ....!何でだ!?何で火がつかないんだ!?」
当然だがマンガみたいにきれいに火がつくわけがない
だが少年は助かるためにsosを求めようと躍起になっていたのだ。
まあ、はたから見ればバカな猿にしか見えないが、少年はきづいたら無人島にいる異常事態に冷静さを全く保てずにいるのだ
そして木はぽっきり折れてしまい、充は感情が爆発してしまう
「なんでだよ!なんでつかないんだよ!?ええ!?俺はこのままここで死ぬってのか!?
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!」
少年はやり場のない怒りを空に向け吠えた
しかしどんなに吠えても所詮は人間、いつまでも続く訳がない。
やがて声は掠れ、少年はうずくまるしかなかった。
そこに一人の声が聞こえた
「すみません、良かったら私たちと一緒に行動しませんか?」
そこには男と女がいる 女は大和撫子を思わせる着物を着て、男は全身黒スーツにつつんでいる
「誰だよ、お前ら」
「申し遅れました、わたくし水野可憐と申します、よろしくお願いします。
こちらの殿方は....」
「僕の名前は加藤大介、皆で共に協力してこの島から脱出しようではないか」
「誰も協力するなんて言ってないけどね」
「君は何を言っているんだ?異常な時は団体で行動するのが世のルールというものだ
倫理から君はずれているのだ!」
「集団の倫理ね、ボクは君が死のうがしったこっちゃないし、興味もない
悪いけど赤の他人だから」
「何を....君のような人間を自己中心的と言って自己中と呼ぶのだ」
「ふん、自分の考えが全て正しいと思うような君がいうかね」
一人の世界に意地でもこもろうとする充とあわや取っ組み合いになりそうな所を可憐が間に入る
「大介さん、確かに異常事態で集団行動をするのが得策ですが、この殿方の言う通り強制するものではありませんわ」
充は正論に押し黙った大介とこんな異常事態の最中でも倫理的に冷静な判断を下した可憐を見て、この少女は出来ると思った、勿論大介は論外だが
「分かったよ、一緒に行動しよう
その、さっきは怒鳴って悪かったな」
「い、いやこっちこそ強引に誘って悪かった」
「フフ、一件落着ですね」
勿論充に謝る気など更々無かったが、これから行動する相手といがみ合っていては行動に支障が出てしまう ある程度の信頼関係は必要だ
いい雰囲気になっていた所を見計らったように3人の腕時計端末が鳴り出す
「これよりルール説明をいたします ご清聴お願いいたします」
「皆さん、本日は大津高校入学前研修旅行にお越し頂き誠にありがとうございます
これよりこの研修旅行の意義と研修旅行の目的を説明いたします
なお、質問は一切受け付けませんのでご注意くださいませ
昨今、この日本の少年少女は平和ボケにより、世界問題となっているテロ、無差別殺人、誘拐などとは程遠い生活を送っています
大変痛ましい事です
その上、大津高校は特に犯罪への危機感が薄い
そこで我々はこの研修旅行を立ち上げました
皆さんにはこれからリアルな殺し合いを送って頂き、犯罪の臨時体験をしてもらいます
この経験を通すことで犯罪の怖さ、生きている事への感謝を深め犯罪への興味を持ってもらうことを目的としています
さて、この研修に当たってのルールを説明いたします
20人、いや一人ルール違反で死んだので普通の高校生が10人、暗殺者が10名潜んでいます
高校生は暗殺者を全て見破り、暗殺者を全て抹殺すれば勝ち
暗殺者は全ての高校生を殺害すれば勝ちとさせて頂きます
なお、暗殺者には行動に大きな制限を設けさせて頂きますので各自腕時計端末をご覧ください
なお、腕時計端末を他人に見せた場合は問答無用でルール違反で失格となるのでご注意ください
なお、一人一人にはゲームを有利に進めるため個別に一つづつミッションを用意してあります
後程メールを各々送るのでご確認ください
最後に時間制限を設けさせて頂いております
24時間置きに無作為に一人ずつ爆破いたします
時間は夕方6時です
なお、後5分で夕方6時となります
爆破される人は運命を呪ってくださいませ
以上です」
3人はただただ茫然と立ち尽くすしか無かった
何でこんな事になってしまったのであろうか
どうして対象が自分たちなのか
何が目的で殺し合いをさせるのか
分かる訳が無かった
6時まで後1分になった所で可憐がおずおずと切り出した
「あの...これからどうしましょう?」
「こんな状況になっても周りと行動しろってのか?
」
充は切り出した もうこんな状況だ
初対面で信用できない中、誰が暗殺者すらかもわからない こんな状況で人を信用するなどどうかしている
可憐は何も言い返せなかったが、大介は可憐をキズ付けた事を許せずつかみかかってしまう
そこで充の運命を思い知らせる音が鳴り響いた
「定時刻により、端末を爆破いたします」
「危ない!離れて!!」
可憐は大介の手を引っ張り走り出す
それから爆発音が聞こえたのは遠い事ではなかった
充は運命を呪いながら15年の短い人生に幕を閉じたのであった
定時刻爆破により、一人死亡
生存者高校生9名、暗殺者9名
合計18名