フォーリンラブは魔弾と共に‐‐ミン・ヤオ 2
ネッシー料理専門店などという怪しげな料理店の一角にてヤオは唐突に箸を止めた。
「……む」
「どうしました? ご主人? 食べないならわたしにください」
「やらん」
自分の皿へと手を伸ばすメイレイの右手を叩き落としながら、「ふむ」と顎に手を当てた。
たった今ヤオが放ったキョンシー達が全て消滅した。推測するにヤオ達以外の全知の書を求める何者かの仕業に違いない。
眼前で「むー」っと頬を膨らませているメイレイ程の出来では無いにしても、先ほどのキョンシー達を普通の人間が破壊できるとは思わない。
ならば、すなわち複数体のキョンシーを瞬時に破壊できるだけの者が今この町に居ると言う事だ。その者が全知の書を負っているかは分からない。だが、全知の書を追っているキョンシー達が一様に破壊されたのだから、無関係とも考え難かった。
「……メイメイ。食べ終えたら行くぞ」
「何処にですか?」
「全知の書の元へ。我ら自ら相手する必要があるかもしれん」
「なるほど、じゃあ追加注文良いですよね! まずは何よりカロリーです! 適当に注文してください!」
ズイッと突き出されたメニューへヤオはため息を吐いた。
「では、このネッシーストロガノフというので良いか?」
「はい!」