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英知の玉座にて
私は何でも知っている。私は何でも書き記す。
私に知らない事は無く、私に答えられない事は無い。
もしも私を読むならば、望みの知識を与えよう。
けれど、ここで心せよ。私は禁書、全知の書。
全知であれど全てを答えるとは限らない。
許された問いは一度のみ。
挟める栞は一つだけ。
読めるページはただ一枚。
持てる知識は一欠けら。
それゆえ私は役立たず。
記録を為しても記述は為さない。
されど私は全知の書。
全てに答える英知の書物。
次なる問い掛けを待ちながら、英知の玉座で君を待つ。