俺は天才だ
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ハスタロウは、俗に言う天才だった。何がと聞かれれば、誰もが全てと答えるには、彼はあまりにも天才だった。
少し間抜けな幼稚園の先生が、彼が普通じゃないくらい賢すぎるので、思い切って自分がよく分からなかった二次関数のやり方を教えてもらうと…………どこがどうなったかは知らないが、陽が沈む頃にはフェルマーの最終定理を彼から教わっていた。次の日に彼は、リーマン予想を解決。その他多くの数学的な未解決問題を悉くぶった切る。
トントン拍子で彼はノーベル賞を受賞。
小学生になってからは、その容姿からどのテレビ局にも引っ張りだこ。
もちろん同学年の女の子には、髪に引っかかった柿ピーを取ってあげたりもしている。
その上、彼は完璧にも近く羨まし性格をしていた。彼の周りには常に、
献身的な彼の幼馴染と。
トラックに轢かれそうになって彼に助けてもらった鈴華ちゃんと。
実家に帰った近くの山で運命的出会いをしたライフデスちゃんと。
クラスにいて最悪的な出会いをしたが、1週間後に打ち解け合ったツンデレと。
ご近所のクーデレと。
血の繋がっていない妹がベッタリしている。
ーー彼の天才は地球規模に収まらず、異世界へと侵入して、当然の如く彼は魔法を完璧にも習得した。剣の腕前も、ちょー凄い。
地球に帰る頃は、ゴブリンにたべられそうになったが彼が助けた獣耳持ちのハーブティスちゃんと。
色々あってベタ惚れにさせてしまった貴族のご令嬢と。
きっちりしたハイエルフの王女と。
感情の乏しい暗殺美女クナイと。
よく分からない美人な擬人化少女が地球のハーレムメンバーに加わった。
彼は天才だから、みんなと結婚した。
みんなとラブラブした。
みんなとエッチエッチした。
みんなと自分の子供を育んだ。
そうして、天才的に生涯を終えましたとさ。
めでたし、めでたし。
◇◇◇◇◇
「って、俺は三日三晩考え続けて設定を作り上げたわけだが、どう思う!?」
「……まあ」
答えはただひとつ。
たった一つのシンプルな言葉で十分。
「馬鹿なお前が考えそうなことだ」