異世界からの訪問者2
頼りなさそうな少年が俺に気づいた。
何だか遠慮気味にいろいろ喋りかけてきているが何を言ってるか分からない
恐らく言語が違うのだろう
髪は黒く目にかかるぐらいの長さ。月明かりだけなのでよく分からんが女の子のようにツヤのあるサラサラヘアー
この辺じゃ見かけない服装
ちなみに俺は薄茶色の短髪で前髪は逆立っている。というより逆立ている、その方がかっこいいと幼馴染に言われたから
そんなことはどうでもいい話が分からないじゃどうしようもない。勉学の得意な薬屋のジョンでも頼るか?
いやいやこんな突然歪みから出て来た奴の言葉なんか知ってるわけがない。第一鎖国中のこの国で他国の言語を知っている奴なんて見たことがない。
すると目の前の少年がズボンに手を突っ込みなにかを探していると思ったらなんだか手のひら大の板?みたいな物を取り出した
「うおっ」
俺は思わず声を出した
少年が板を触ると板の片面が光だしたからだ
何故板が光る?さすが異世界人
この世界では光は貴重だ
昼間は太陽があるからいいが夜は太陽光を溜め込む石を使うしかない。
だがこの石はなかなか高価な為各家庭リビングに一つ設置するのがやっとだ。俺は読書したいときはこの石をリビングからわざわざ部屋に運ぶ。クソ重い。
ちなみに石の名前はソーラーストーン。まんまだ
少年は俺にその板を向けてきた。
なんか口の前で手を開きなんかのジェスチャーをしてくる
なんか喋れってことか?
「あーーー」
俺が喋ると少年は激しく頷いた
もっともっとというジェスチャーをされた
小一時間程特に意味のない話を延々と板に向けて話した
毎日の出来事や本の内容など様々な事を話した。どうせ理解できないのでいやらしいことや幼馴染の着替えを覗いた話などもした。
「ブンセキカンリョウシマシタ、ゲンゴヲカイドクシマシタ」
俺は心底びびった
板が喋ったのである。わけがわからない。それも俺に分かる言葉で喋りやがった
この小一時間の俺のしょうもない雑談で言語を認識したとか言ってるし。これはあれか?トンデモ文明から来ました的なあれか?
板の反応を見て少年が板に話しかけた
話し終えたかと思うと少年は板を俺に向けた
「ハジメマシテ!ボクハオテアライヒカルトモウシマス」
※以下読みにくいのでカタカナ表記は省略
すごい。少年が喋った言葉を板が翻訳してる。
「ここはどこでしょうか?気づいたらここにいまして。言葉が通じないようなのでスマホの翻訳機能で会話しましょう」
スマホ?この板の名前だろうか
「初めまして!俺はレト・ウォッシュ!レトって呼んでくれ!俺もお前がいきなり俺の部屋に現れてわけがわからん。ここはプーン王国の南に位置するサイクー村だ!」
板が少年に向かい俺の言葉を翻訳する。
少年の顔が青ざめたのが分かった
「そうですか。ははは。プーン王国ですか。聞いたこともないですね。スマホも圏外だし。。。」
圏外ってのはよく分からないがやっぱりこいつは異世界から来たっぽいと俺は直感した。
何故なら鎖国はしているがプーン王国はかなりの大国
他国とて知らないわけがないのである。
「まあ気を落とすなよ!きっとお前違う世界から来たんだよ!大丈夫だ俺が世話してやるよ!よろしくなオテアライ!冒険とか言っちゃう?」
俺はそういうとスマホ?の翻訳に合わせて肩をポンポン叩いた
オテアライはハハッと笑ったが目が笑ってない
こいつは今激しい不安に押し潰されそうになってる。異世界に行きたい俺には全くもって理解できないことだが。だがオテアライの存在は俺をワクワクさせた。というのもこいつが異世界から来たなら俺も行ける可能性が飛躍的に上がったということ。
後はこいつのこれから辿るこの世界での出来事はまさに俺が味わいたいそれだ。異世界に行ける日までは俺はオテアライの異世界での仲間第一号として見守ろうと思った。もとい近くで楽しみたいと思った。
その日は布団をもう一式用意しオテアライを寝かせてやった。
寝る前はいろいろ話をした
この世界のこと
オテアライの世界のこと
レトと呼ぶからオテアライじゃなくヒカルと呼んでほしいと言うこと
などなど
ヒカルの話は目から鱗だった
ヒカルの世界はあらゆる所に機械が存在し機械が無ければ生きていけないレベルらしい
この世界では機械なんて王国の一部や大規模な研究施設ぐらいにしかない。心底憧れた
だがヒカルも俺の世界の話を聞いてまるでおとぎ話の世界だと言って笑った
そうこうしてるうちに俺は眠りについていた