第1話
それは平和なある男子校でのことだった
「柚~! 今日いっしょに帰ろ~!」
僕のクラスの入り口で僕を呼んでるのは
僕の恋人の雨水梓だ
でも………
「梓、僕は別にいいけど…… でも今日は朔くんとデートじゃなかった の?」
「あ、そういえb… って!なんでそんなこと知ってんだよ!」
ふふふ、驚いてる
全くそんなこともわかってないのかな?
「やだなぁ!
梓ったらそんなこともわからないの?
僕が梓のことで知らないことがあるわけないでしょう?
僕は梓のことだったら何でも知ってるよ?
例えばね……
昨日梓がお風呂で歌ってた曲や寝る前に読んでた本
そ れ に 浮気相手、のことなんかもね!」
僕がにっこり笑って言うと梓の顔色が悪く なった
「……どうやって知ったんだ?」
「盗聴機とカメラのお陰だよ。」
「なっ!何でそんなこと !! 俺のこと信用してなかったのかよ!」
あぁ、怒らせてしまったかな?
「もちろん信じてたよ。
だって付き合うときに絶対浮気しないって約束したからね。
でも好きな人のことは何でも知りたいものでしょう?」
「だからって盗聴機とカメラはやり過ぎだ ろ!」
やれやれ、自分が浮気したってこと忘れてる のかな?
「でも浮気してたよね?
あぁ、そんな顔しなくていいよ!
大丈夫、梓に怒ってる訳じゃないから。」
僕が怒ったと思ったのか青ざめていたけど
怒っていないことを伝えると怪訝そうに見つ めてきた
「後悔はしているけどね……」
「は?」
「全くこれなら最初から鎖に繋いで
僕以外の誰にも会えないように部屋に閉じ込めておけばよかったよ!
僕は少し梓に甘すぎたみたいだね。」
本当に後悔しているよ
もっと早くそうしていればよかったな
まあ………
今からでも遅くないかな?
「おい!柚 !?」
僕が一歩梓の方に近づくと梓が少し身を引い た
「ふふふ、
なんで後ろに下がってるの?
さあ、いっしょに帰るんでしょう
皆に挨拶しないとね!
今日が “最後” だからね……」
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