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プロローグ
私は、死ぬのだろうか。
この喉元に冷たく触れている、
切っ先が私に"死"をもたらすのだろうか。
死をもたらす人物の表情はわからない。
雨の一粒一粒がやけに重みを増して肌に触れる。
だがその雨を振り払う手はなく、
起き上がるための足も、ない。
ただ、目の前に私を見下ろすしている者の目を捉えるだけ。
死ぬ間際
とは、こんなに無様なのだろうか。
こんなに狂気に満ちたりえているのだろうか。
所詮は私も人の域をでなかったわけか。
お互いにかける言葉もなく
ただひたすら沈黙のみがこの場を支配している。
奴は私に何かを言い、
勢いよく刃は降り下ろされた。