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第10話 オプティマイザ

 エレベータホールを使って階層を一気に降りた俺達は、マップで表示出来る限界。つまり日本自衛軍が使っていた頃の一番最下層まで降りてきていた。

 最下層の下りきったところには敵の二個中隊、計一八機が待ち構えていたがこちらとしても予想の範囲内である。<三機神>をすでに<アマテラス>モードに変形させていた俺は誠の<ラグナロク>に盾になってもらいながら降下し、<ECMキャノン>を使用して敵の主兵装を一気に破壊した。

 敵のほとんどが武器を近距離用に持ち替えるスキもなく、俺達の影から飛び出した結衣の<ブラックキャット>によって蹂躙されていく。一撃の威力が低い<ブラックキャット>でも、量産型の機体ならばメインカメラの破壊くらいは造作も無い事だった。

 視界と遠距離武器を失った敵機は闇雲に近距離武器を振り回すしかなく、もはや俺達の敵としてはまともに機能していない。エネルギーの消費を抑える意味でも、相手をしている余裕は無いので、俺達はそれらを無視して先を急ぐことにした。

 手元のマップを確認するとこの先には日本自衛軍が使用していた頃、開発用格納庫として使われていた大きな空間があるようだった。マップの情報はここで最後となっている。

 

「ここから先に新たな道とか作られてたら、そっからはマップ情報無しで先に進むしかないな」

「なんだか小学生の頃とかに遊んだダンジョン攻略系のゲームみたいだな! AI達にマッピングは任せようぜ!」

「誠ねぇ~……私達、今は敵のど真ん中なのよ? いくらなんでも油断しすぎ!」

 

 二人にはまだ言って無いが、俺の所にはカゲヤマ少佐から六階層で起きた戦闘の状況が文章で届いていた。アレフ部隊の壊滅と、スコット機の損傷大。かなりの数が戦死しているという悲惨な物だった。通信による報告では無く、文章で俺だけに送ってくれたことに深い感謝の念を覚えた。俺は開発ばかりに気を取られていて、技術開発部の人間との交流はあったが、パイロットとの交流はかなり少ない物に留まっていた。しかし実際に講師を務めていた結衣と誠には、戦死した人の中に仲良くしていた者もいただろう。少なくとも自分達が育てたパイロットが死んだという事実は、俺達には荷が重すぎる物だ。この事実を告げたとしたら『もっと色々教えてあげられれば……』『自分達の力が及んでいなかったから……』と深く自分自身を傷つけてしまう要因になってしまう。もちろん俺自身も『もっと高性能な機体を開発出来ていたら……』と考えてしまう部分が無いわけでは無い、でも戦死した人間が知り合いかどうかという部分では精神的なダメージも随分違ってくるだろう。

 そんなことを考えつつ結衣と誠の漫才に出来る限りの微笑みで応え、それを見た二人が完全に引くという”いつものやりとり”をしながら歩みを進めていると、大きな扉の前に辿り着いた。

 

「この扉の向こうが開発用格納庫って、大きな部屋ね」

「ゲーム的に言えばボスの部屋だよな」

「っよし! 行こう!」

 

 扉の向こうにはだだっ広い空間と、その中央にポツンと一人の科学者風の白衣を着た老人がやたら大きな机に腕を組んで座っていた。その顔には薄らと笑みを浮かべており、どこか無機物的な印象を持った冷たい微笑みだった。

 部屋を見回しても目立ってマップと違うところも無い。

 

「あんたがラスボスってことか? おっさん!」

 

 誠の問いかけに更に笑みを深くする老人は拡声器を使っているようには見えないが、部屋中から聞こえる落ち着いた声で話し始めた。

 

「ラスボスか……言いえて妙だが、まぁ~そういうことにしておこうか……異世界からの来訪者諸君」

「あんたが”あの方”ってわけか?」

 

 俺は日光市街地で戦闘したプレイヤ達の言葉を思い出していた。『良かったらボク達と一緒に行きませんか? ”あの方”に頼めば元の世界に返してくれるかもしれませんよ?』サラリーマン風の眼鏡の男はたしかにそう言ったのだ。俺達を『異世界からの来訪者』と言いきったということは、少なくとも何かしらの事情を知っている人物だと思えた。

 

「あぁ~……日光市内で君たちと戦闘した、使えない子達が言ってたことだね。そう、彼らが言う”あの方”というのは私のことだよ」

「俺達を元の世界に戻せ!」

「戻せとは、これまた人聞きの悪い……私が呼んだのでは無いかもしれないよ?」

「だが、あんたは”あいつら”に元の世界に戻すと話していたのだろう? 俺達を同じように戻してくれ!」

 

 白衣を着た老人が、ニヤリと口角を上げて笑みを深くする。まるでサーカスのピエロが付けている仮面の様な笑顔だ。

 

「それはそれは……そしたらこうしましょう、私を倒して下さい。私が乗るアサルト・コアを行動不能にして下さい。撃破して貰っても構いません。私を倒すことができたら元の世界に戻すシステムが起動するように設定しました」

「どういうことだ!?」

「あなたは頭の良い子ですから、分かっているでしょう? つまり、戦いましょうと言っています!」

 

 老人が立っていた地面が左右に分かれ、地獄の底から這い出るようなプレッシャーを放ちながら一機のアサルト・コアが姿を現す。紫と赤で彩られたトゲトゲしい印象を放つ機体だ。全長は俺の<三機神・スサノオ>を一.五倍にした程の大きさがある。一番小さい結衣の<ブラックキャット>と比較すると、二倍の差はあるように見えた。しかし、その見た目以上に放たれるプレッシャーによって、威圧感は見た目の一〇倍は感じられるようだった。

 

「ねぇ……あの機体って……」

「あぁ……なんだか、和哉の<三機神>に似てないか? でも、市街地で戦った渋谷のプレイヤー機体にもどことなく似てるような……」

「え?」

 

 俺は、二人の言葉を聞いて改めて老人が呼びよせた機体を見てみた。すると大きさや色こそ違うが、所々に残る意匠が<三機神・スサノオ>と酷似していたのだ。

 

「んふふ……気付いたかね? この機体は、この世界に呼びよせたプレイヤー機体の戦闘データを元に作成した私の機体だよ。まだ未完成だがね、名前は<カオスグランデ>というんだ。君達三人でもテストとして不足なくらいだよ」

「あれが、オレ達の機体の性能を元に作られた機体ってんなら……かなりヤバいんじゃないか!?」

「でも、関係ない! 同じ人間が使ってるんだもの!」

「あぁ! 俺たちなら勝てるさ!」

 

 俺はモニター越しに二人に頷く、二人も同じように頷いて返してきた。心は決まった。いつでも行ける!

 

「打合せは終わったかね? それじゃ……始めますよ!」

 

 <カオスグランデ>は両手それぞれ見た目の違う武器を所持している。右手には剣のようになハンドガンにも見えるような武器、左手にはやたら長い槍のような武器だ。

 誠は一気に部屋の端まで距離をとり重装甲高火力支援型(イェーガー)に取って一番戦いやすい距離を確保しに走る。

 結衣は一気に距離を詰めるべく走りだしていた。

 俺は結衣の支援をするため、結衣とは反対側へ回り込むように機体を走らせる。

 

「そうですね……戦いはポジション取りが重要です。でも、そう簡単にはやらせませんよ?」

 

 <カオスグランデ>が左手に持っていた長い銃のような武器をその巨体に似合わず、クルリと回転させると距離を取るべく走り出した<ラグナロク>に照準を合わせて撃ち放った。

 

「あの武器は!!」

 

 あの武器は忘れもしない。横須賀基地で初めて戦闘した時、プレイヤー機体が使っていた物だ。二種類の弾頭を搭載したライフル機能と近接武器を兼ねているであろう武器である。

 誠の<ラグナロク>に迫る強烈な弾丸。しかし実態弾である以上、俺の開発した指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスには通じない。筈だった。

 <ラグナロク>が展開した指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスを突き破り、<ラグナロク>の装甲を掠めて飛んで行く銃弾に俺は視線を奪われていた。

 

「そんなバカな!」

 

 驚愕の表情を浮かべ一瞬時が止まっていた俺を再起動させたのは、パネルに浮かぶ【CALL】の文字だった。俺は迷わず応えると、案の定先ほどよりも無機物的な笑みを深めている老人の姿が映しだされていた。

 

「君の考えた指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスだったかな? なかなか面白い機能だね。しかしだよ? 一発一発の銃弾に同じく指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスが搭載出来たらどうなると思うね?」

「っ!!!! お互いの干渉フィールドが相殺し合って、効果を無効化してしまう!」

「ご明察だ。やっぱり君は頭が良い。<オプティマイザ>候補だけのことはある」

「っく……誠! 結衣! やつの実弾兵器は指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスで防げないみたいだ。攻撃は可能な限り避けろ!」

 

 <三機神・スサノオ>を更に接近させると<HCMソード>を最大長に伸ばして斬り付ける。すでにネタは割れているのだ。不意打ちで剣を伸ばして攻撃することは読まれているだろう。ならば、最大攻撃力で相手の主兵装を破壊することを考えた方が建設的だ。

 しかし俺の思惑は思わぬ形で叶わないことになる。

 <カオスグランデ>が右手に持っていたハンドガンのような武器から光を纏った刀身が伸びて、俺の攻撃を防いでいるのだ。その見た目はまるで……

 

「俺の<HCMソード>!!!」

「これもなかなかユニークな武器だ。通常であれば霧散してしまう荷電粒子を、慣性除去装置で使用している干渉フィールドを応用して形成したエネルギー力場で固定し、刀身として利用する。威力も申し分ないし、指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスでも回避不可能。近接攻撃に見えて、中距離近くまで攻撃範囲を延長できる。すばらしいコンセプトだよ、和哉くん」

 

 <カオスグランデ>がその巨躯とは想像もつかない敏捷性で、右足を振り上げると俺の<三機神・スサノオ>が凄まじい衝撃と共に蹴り飛ばされた。直接攻撃が届くということは、相手にも指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスが搭載されているということだ。俺は通常の慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスを使って衝撃を緩和させる。

 その間に接近した結衣が<カオスグランデ>の左膝裏に無数の攻撃を繰り出していた。攻撃を重ねるごとに威力を増していく攻撃は、凄まじい嵐の様な攻撃となって<カオスグランデ>を襲っている。しかし攻撃が通じているようには見えない。

 

「どうやら、パワーは私の機体が完全に上回っているようですね。私の機体が発生させている指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスの干渉フィールドを貫通できないようだ。君はここで退場ですね。結衣くん」

「やめろ!」

 俺の<三機神・スサノオ>を蹴り飛ばしたように敏捷な動きで後ろ回し蹴りを放つ<カオスグランデ>によって、凄まじい勢いで吹き飛ばされる結衣の<ブラックキャット>。

 なんどもバウンドするボールのように格納庫内を跳ねて転がった<ブラックキャット>が壁に激つ突してやっと停止する。その姿は元々の装甲の薄さもあって、一撃でボロ雑巾のようになってしまった。

 

「結衣!」

「へへ……ダメだなぁ~……。私の<ブラックキャット>ちゃん、もう動けないみたい……」

 

 生きていることに安堵したが、込み上げてくる一つの感情が一瞬にして塗り替えていく。

 

「きさまぁあああああ! <イザナミ>! モード<ツクヨミ>だ!」

『了解です。マスター! でも、無理はしないで下さいね!』

 

 <三機神>が空中に飛び上がり、その姿を三つに分けると、再度一つに交わる。

 複雑な素体構成が、外側の装甲板と連動して新たな形を作る。

 真っ黒な機体から、漆黒の夜空に浮かぶ真っ白い月のような、幻想的で神秘的な中に微かに感じさせる鋭さを持った輝きを放つ機体へと変化していく。

 

 俺は主兵装を<実体剣・単分子カッター>に持ち替えると、慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスを全開にして<カオスグランデ>へと肉薄する。この技は、横須賀でプレイヤー機体を倒した時に使った<三機神・ツクヨミ>が持つ最大のスピードを攻撃力に変換する<ツクヨミ>最高の攻撃だ。

 相手に接触すると同時に指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスの干渉フィールドを突き破り、相手の装甲へ直接ダメージを与えた手ごたえを感じた。

 

「ほぉ……見事な物だ。圧倒的なスピードを攻撃力へ変換することで、私の<カオスグランデ>の指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスの干渉フィールドを上回る攻撃力を発揮するとはな。しかし、浅いな和哉くん」

 

 刀身を伸ばしていた<カオスグランデ>の<HCMソード>が刀身を消すと、そのままハンドガンの銃口を<ツクヨミ>へと向けてきた。

 

「君も、もう眠りたまえ……」

 

 俺の<三機神・ツクヨミ>は攻撃直後に発生する慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイス全力運転による反動で、自由に動くことが出来なかった。

 やられる! そう思った瞬間……俺の目の前に翠の機体が立ちはだかっていた。

 

「和哉さんはやらせません!」

「ふん、ノンプレイヤーキャラクターか。貴様に様は無い」

「スコット!!!」

 

 <カオスグランデ>が向けていたハンドガンから放たれた攻撃は、最大出力で放たれた<ラグナロク>の<グングニール>の荷電粒子砲だった。スコットの<ホーリーホック>が左手に装備した小さな盾で<グングニール>の攻撃を防御する。

 しかし、<グングニール>の攻撃力は明らかに誠の<ラグナロク>が全力照射で撃った時と同程度か、むしろ超えているようにすら感じる。<ホーリーホック>の盾じゃ堪え切れる訳が無い。

 <ホーリーホック>の盾がみるみる内に形を失っていく、もはやダメかと思われたその時、<カオスグランデ>の横っ面に<ラグナロク>の<グングニール>の光の槍がたしかな熱量と速度を持って突き刺さる。その攻撃は指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスを突き破り、たしかに<カオスグランデ>へとダメージを与える攻撃足り得ていた。

 

「むぐっ! 邪魔をしてくれましたね。まぁ~良いでしょう。もはや、そのノンプレイヤーキャラクターも動けないでしょうし……和哉くんは最後の楽しみにして、まずは誠君から行きますか!」

 

 スコットの<ホーリーホック>が崩れるように前のめりに倒れる。鮮やかだった翠の装甲は見る影も無く、真っ黒に焼け焦げてしまっている。

 

「スコット!」

「<ホーリーホック>は、ここに来るまでの間で手痛いダメージを受けていたのです。私は、貴方達の盾になるべく、ここまで来たんです。熱はコクピットまで届いていません。私は大丈夫ですから! あとはお願いします! 和哉さん!」

 

 俺は頷いてスコットに応えると、視線を<カオスグランデ>と<ラグナロク>の戦いに戻した。

 お互いに<グングニール>の最大出力で撃ちあい、その攻撃は一進一退を繰り返している。しかし、誠の<グングニール>は既に砲身が限界に近く、悲鳴を上げていることが見るだけで分かった。

 機体を<アマテラス>モードに変形させると、最大級の攻撃を放つべくチャージを開始する。気持ちが焦る。暑くも無いのに汗が噴き出る。充填率五〇%。早く、速く!! 充填率一〇〇%!!! 敵の<カオスグランデ>の関節という関節全てをロックオンする。

 

八咫鏡エイト・サーキュラ・ミラーキャノン! ファイヤぁああああ!」

 

 <三機神・アマテラス>の<ECMキャノン>が火を吹き、<カオスグランデ>の背中を照射する。

 

「ぐっ!!! 和哉くん、少し気が早いですねぇ~、もう少しすれば誠君もスコットくんみたく真っ黒にして上げられるのにね!」

 

 俺の<ECMキャノン>の照射を無視して、<ラグナロク>への攻撃を継続する<カオスグランデ>。<ラグナロク>の<グングニール>が押し切られて、光の中に消える。

 

「誠!!!!」

「うあああああ!!!」

 

 さすが重装甲高火力支援型(イェーガー)だ。表面の装甲は焼け焦げているが、コクピットへのダメージは見受けられない。しかし、受けたダメージの量も少なくは無い、重装甲高火力支援型(イェーガー)はその場に座り込むように沈黙した。

 

「和哉! 頼む、もうまともに動けるのはお前だけだ!」

「あぁ!! 誠も結衣もスコットも俺が守る!!!」

 

 俺は再度<三機神>を<スサノオ>モードへ変形させる。最大攻撃力を誇る<HCMソード>で無ければ有効な攻撃を与えられないからだ。

 

「ふふふ、そうですね。私の<カオスグランデ>にまともなダメージを与えられるのは、その<HCMソード>だけでしょうね。しかし良いのですか? 先ほども試した通り、あなたの腕では私を斬り付けることは出来ませんよ?」

 

 そう、俺の操縦技術は今倒れている三人の誰よりも劣っている。いくら攻撃力の高い<HCMソード>も当たらなければ意味がない。

 

「あぁそうだな! でもな、俺は負ける訳にはいかないんだ!」

 

 俺は<三機神・スサノオ>を全速力で走らせる。それは、なんのひねりも無い直進だ。これだけの体格差があると、こちらの小細工も含めてすべて力で押し切られてしまう。それなら小細工抜きで全力攻撃が一番だと判断した結果だ。

 しかし、それも<カオスグランデ>の<HCMソード>で攻撃は防がれ、先ほどと同じように蹴り飛ばされてしまうだけだった。

 俺の<三機神・スサノオ>が転がる様に格納庫の壁に激突する。目の前には、俺を庇って黒こげになったスコットの<ホーリーホック>の姿があった。

 そうか……その手があった。

 

「くくく、おっさんよ。俺にはまだ切り札が残ってたみたいだ」

「ふふふ、和哉さん。往生際が悪いですよ? もう、アナタの攻撃は私には届かない。それを今、身を持って体感したばかりじゃありませんか?」

 

 俺は、目の前のコントロールパネルから、使いこまれたゲーム機を手に取り、それをモニターの向こうにいる無機質な笑みを浮かべた気持ち悪いおっさんい見せつけた。

 

「ここはな、元々日本自衛軍が開発用格納庫として使ってたとこなんだぜ?」

「ふふふ、そんなこと知っています。私が占領したのですからね」

 

 俺は不敵な笑みを浮かべた。いつも幼馴染の二人がドン引きする笑みだ。それをみたおっさんは、ついに気でも狂ってしまったのかと、残念そうな顔をしている。

 

「もう良いですかね? どうも私が思っていたような人では無かったようだ。結局、君もアイツらと同じ二流だったということですね」

 

 目の前にゆっくりと迫っていた<カオスグランデ>が<グングニール>の銃口を俺に向ける。だが、俺は未だに笑みを浮かべたままだった。

 

「まだ分かってないみたいだな。ここは日本自衛軍の格納庫なんだよ!」

 

 手元のデバイスから【カスタマイズ】を起動する。開発者として、中途半端が出来ない性分なんだ。俺は。

 素早い操作で全ての入力を終えた俺は光の柱に包まれた。

 

「ふふふ、本当に往生際が悪い。あなたの機体をどれだけ改造しようと、あなたの操縦技術に変わりはないでしょうに……まぁ~その着眼点には驚かされましたがね。本来であれば、格納庫以外でのカスタマイズ行為は支払う時間があまりに多すぎる。しかし、この場所が格納庫ということを逆手に取って、戦闘中にカスタマイズを行い。相手に合わせて装備を換装する。やはり、アナタは面白い人だ。それだけに残念ですよ。その光が静まった時、アナタの最後です」

 

 俺を包んでいた光の柱が徐々に弱くなっていく。最終最後に仕掛けた奇策が無事に終わったことの証しだ。

 モニターの向こうでは、俺の機体を見て驚愕の表情を浮かべているおっさんの姿があった。

 

「そんなバカな! その機体は……!!」

 

 そう、俺が戦闘中にカスタマイズして完成させた機体は――

 

「劣化版汎用中距離特化型(スカーミッシュ)<バガン>だと!! 血迷ったか!?」

「おいおい、アンタ俺のことなんか見てて良いのかよ? あんたの後ろですげぇ怖いことが起きてるってのによ!」

「なんだと?」

 

 俺の開発した<三機神>これは本来、俺が使うことを目指して作った物じゃない。俺が使う上で<ツクヨミ>や<アマテラス>はコンセプト上、相性が良くないからだ。しかし、何故わざわざ変形機体にしてまで機体を構成したのか。それはAIの成熟度が理由だ。AIは実際に戦闘を繰り返すことによって、学習し性能を高めていくことが出来る。俺が成熟させたAIを引き継ぐのは、アイツらだ。

 

「さっきまでボロボロだった奴らの機体が!」

 

 結衣の<ブラックキャット>が光から出てくる。その姿は、白と黒のゼブラカラーに彩られ、鋭利な刃物を思わせる。<ブラックキャット>の外装に<ツクヨミ>を纏った姿は、さながら真夜中に現れる死神の様だ。

 誠の<ラグナロク>を包んでいた光が徐々に弱まる。大きな砲身を二本担いでいたその容貌は今では見る影も無く、背中に背負った天輪の輝きからは八本の砲身が覗いている。両手にも二本の<グングニール>を装備し、より重火力になった<ラグナロク>の姿がそこにあった。

 スコットの<ホーリーホック>が光の中から現れる。翠の竜騎士を思わせるその姿は形を変え、黒い鎧をまとい各所に竜の頭の意匠をほどこした竜騎士の姿がそこにあった。

 

「どういうことだ!?」

「アレが開発者の俺が今作れる最高傑作達だ。お陰で部品全部無くなっちまって、俺は異次元倉庫で大量に余ってた日本自衛軍の<バガン>になっちまったし、AIも初期設定になったけどな」

 

 さっきまで無機質な笑みを浮かべていたおっさんの顔は、今では真っ赤になり口も笑ってはいない。

 

「自分を犠牲にして仲間を守ろうというわけですか! なら、望み通り葬ってさしあげましょう!!!」

 

 <カオスグランデ>が<HCMソード>を振りかぶり、俺の機体目掛けて振り下ろす。俺の機体はもはや、ただの<バガン>だ。あんなの喰らったら一溜まりも無い。しかし振り下ろされた剣は、俺の機体を切り裂くことは無かった。俺の視界が一瞬にしてブレる。気付くとさっきまでいた位置から遠く離れていた。結衣が駆る機体が俺を抱えていた。

 

「あんたバカじゃないの!? 私が助けなかったら死んでたわよ!? コレは貸しだからね!! 今のあんたはこの基地にいる、どの機体より貧弱なんだから隅っこで小さくなってなさい!」

「あははは~……この借りは高く付きそうだな。結衣、あとは頼んだぞ。<イザナミ>もな」

「バカ……」

『マスター、了解です!』

 

 機体に随伴させた<イザナミ>が敬礼する向こう側で、恨めしそうに上目遣いで睨む結衣が俺の機体をゆっくり下ろすと、反重力物質を巻き散らしながら光の尾を引いて飛び去っていった。

 俺が開発者としてできるのはここまでだ。あとは、幼馴染二人と頼れるエースに任せるしかない。

 

「きさまら。どんな改修を受けたのか知らんが、付け焼き刃の機体で私の<カオスグランデ>に敵うと思っているのか? たとえ奴が<オプティマイザ>候補であろうと、私が開発した機体に敵うわけが無いのだ!!」

「何言ってやがる。おっさんが開発したとか言ってるその機体は、和哉や他のプレイヤーが作った機体の良いとこ取りしただけで、継ぎ接ぎだらけのパクリ機体じゃねぇか。だいたいオプティマスだかオぺラ歌手だか知らないが、わけ分からんことぬかすんじゃねぇ!」

 

 誠の言葉にスコットが同調する。

 

「そうですね。和哉さんが設計した機体と比較するまでも無く、美学がありません」

 

 結衣が追随するように同意の言葉を発した。

 

「うわぁ~。人のパクって我物顔ってサイテー。信じられなぁ~い」

「きさまら……言わせておけば! えぇい! まずはその減らず口から黙らせてくれるわ!」

 

 <カオスグランデ>の照準が俺の<バガン>から三人が駆る機体へと移った。つまり三人は俺を助けるために、おっさんを挑発して注意を引いてくれたのだ。

 <カオスグランデ>の<グングニール>から高出力の荷電粒子が亜光速で放たれる。しかし、それを誠が駆る<ラグナロク>、名前を改めて<ラグナロク・サーガ>が同様に<グングニール>で迎え撃つ。結果はさっきとは別の物になっていた。接触した直後、<カオスグランデ>の攻撃を飲み込み<ラグナロク・サーガ>の攻撃が<カオスグランデ>に迫る。その攻撃をなんとか避けるも、モニターに映るおっさんの顔には驚愕の表情が張りついていた。

 

「どういうことだ!? 奴の<グングニール>よりこちらの方が出力は高かったはずだ!」

「おっさんの目は節穴かよ、オレの<ラグナロク>を見てみろよ」

 

 誠はモニター上で親指を立てた拳を見せて、クイクイっと自身の後方を指差していた。つまり背中を見てみろよ。そう言っているのだ。<ラグナロク・サーガ>の背中には俺の<アマテラス>が使っていた<ECMキャノン>が追加装備されている。砲門が全部で一〇個もあるのだ。エネルギー消費量を考えると、すべてを同時に運用することは難しいが、先ほどのような撃ち合いになった時、手数の多い方が断然有利なのは言うまでも無い。

 誠の視線誘導と<ラグナロク>との撃ち合いで硬直していた時間を利用して<カオスグランデ>の後方に素早く回り込んだ結衣の機体が<単分子カッター>を両手に装備し、素早く斬りつける。さきほどは掠り傷も負わせることができなかった攻撃も、追加装備によって更に速力を向上させた<ブラックキャット>改め<ブラックキャット・ルナ>なら指向性(ダイレクト)慣性除去装置イナーシャル・リムーバ・デバイスを貫通して攻撃を通すことができた。

 

「ぬぐっ! 小娘が!!」

「私なんかに気を取られてて良いわけ!?」

 

 漆黒の竜騎士<ヤマタノオロチ>が右手に装備した大剣を振りかざす。その大剣には一見すると刃がついているようには見えない。だが、それは俺が使っていた<三機神・スサノオ>の<HCMソード>を改修した剣――

 

「これで一刀両断です! <クサナギの剣>!!」

 

 裂ぱくの気合と共に振り下ろされた<クサナギの剣>が巨大なエネルギー刃を出力する。右腕を切断される<カオスグランデ>。もちろんモニター上のおっさんは驚愕の表情を貼り付けたままだ。

 

「おのれ! おのれ!! おのれぇえええ!!! もう出し惜しみはせんぞ! 貴様たちの命運も今尽きたぞ!! 変形だ! <ジェノサイド>モード!!」

 

 おっさんの叫びに反応するように人型だった<カオスグランデ>が形を変えて行く。その姿は禍々しく刺々しい印象を持った鳥のような機体だった。斬り落とされた右腕は本来、尾羽の役割だったらしく全体の機能的にも問題がない状態になっていた。

 

「この状態になったからには私には死角が無い。死んで貰うぞ!」

 

 <カオスグランデ・ジェノサイド>が両翼を大きく広げる。その全長は、俺達の機体を遥かに凌駕する大きさだ。しかし――

 

「パーツ数が変わらねぇのに、デカくなるってことはよぉ~そんだけ装甲も薄くなったってことだろ!! これで終わりだ!!! <グングニール>! <ECMキャノン>! 最大出力!!!」

 

 誠の言葉に反応して<ラグナロク・サーガ>の背面に装着された後光を形作る一六枚の翼が、高速で円運動を開始する。

 

『誠様。エネルギー充填率一〇〇%です。いつでも撃てます』

『マスターからのプレゼントです。誠さん、決めて下さい!』

 

 新武装の制御のために随伴させた<イザナギ>の声が聞こえる。モニター上の誠は、AI達に大きく頷くとお約束と言わんばかりに声を張り上げた。

 

「狙い撃つゼェーーーー!!!」

 

 <ラグナロク・サーガ>が持つ砲身一〇門が巨大な熱量を持った光の塊を吐き出す。

 凄まじい熱量が格納庫の床を溶かし、床を抉りながら<カオスグランデ・ジェノサイド>に迫る。

 しかし、その攻撃は<カオスグランデ>に当たることは無かった。<カオスグランデ>の目の前に光の盾の様な物が発生していたからだ。

 

「なんだそりゃ!」

「驚いたかね? 羽根一枚一枚を自立行動させて操る物でね。一枚一枚にはビーム出力機構が備わっている。<HCMソード>の特徴を盾に応用した物だよ、誠くん。さっきの攻撃は素晴らしい威力だった。羽根がだいぶ破壊されてしまった」

 

 自立行動、ビーム出力機構……俺は、おっさんの説明から次の展開が見えていた。

 

「マズイ! 三人とも避け――」

「<ジェノサイド・タイム>!!!」

 

 おっさんの叫びと共に一枚一枚の羽根が飛び立つ。それらはすべて殺傷能力を持った羽だ。一枚一枚に敵機せん滅命令が行き届いた高速行動する自立攻撃兵器。

 三人の機体はおっさんの放った羽根を避けながら、それらを一つ一つ斬り壊し、狙撃していく。しかし、その数はあまりにも膨大だ。さっきの<ラグナロク・サーガ>の攻撃によって、その約半数が壊れているとは言え、残りはまだまだ無数にある。

 

「ちょっと! こんなの聞いて無い!!」

「これは少し厳しいですね!!」

「こっちとら全力攻撃のあとで、機体が息切れしてるってのに!!」

 

 三人の機体が徐々に傷ついていく。しかし、同様に<カオスグランデ>の羽根の数も減って来ている。

 俺はこのまま見ていることしか出来ないのか!? 開発者としての俺の仕事は終わったとは言え、パイロットとしての俺の仕事がまだ残っているんじゃないのか!?

 俺が悔しさで歯を食いしばっている視線の先で、攻撃を捌ききれなくなった<ラグナロク・サーガ>が<ECMキャノン>を斬り落とされていく。<ブラックキャット・ルナ>の外装が破壊されていく。<ヤマタノオロチ>が左腕を失う。

 何か無いのか!

 

「まだまだだぁあああ!」

「和哉の機体が負けるはずない!」

「まだ手はあるはずです!!」

 

 俺は無意識の内にデバイスを握り締めていた。この世界に来る前から【疾風機アサルト・コア】と出逢う前からの付き合いのゲーム機だ。そのゲーム機か微かに音が聞こえた気がした。

 いや、音じゃない。声だ。そうか……まだお前がいたんだな。

 

「あと一枚で羽根を突破して、おっさんを倒せるってのに!」

「こちらには、もう攻撃の手段がありません」

「もう諦めるしかないの!?」

 

「ははははっ! 最後の頼みの綱だった貴様たちがそのザマじゃ、和哉くんが最後に手を施した機体も大したことないのぉ。こちらも、よもや羽根が残り一枚になるとは思わなんだがな!」

 

 勝手なこと言ってやがる。だが、アレがおっさんの最後の攻撃手段か……

 俺は左腕に装着された盾を円盤投げの要領で、おっさんの最後の攻撃手段である羽根に向かって投げつける。

 

「くらえ!!!」

 

 投げつけた盾が羽根を破壊する。そう、俺の機体は最初からこういう戦い方をする機体だったのだから。

 

「あの攻撃は!」

「まさか!!」

「あの機体は一体!?」

 

 結衣が見覚えのある攻撃に目を丸くし、誠はすでに感づいたように視線を向ける。スコットは初めて見る機体に【?】を浮かべていた。

 

「いくぜ! <タケミカヅチ>! <アメノオハバリブレイド>全開! 貫けぇえええ!!!」

 

 <タケミカヅチ>が反重力物質を巻き散らしながら光の尾を引いて飛び立つ。その速度は<ブラックキャット・ルナ>にも<ヤマタノオロチ>にも遠く及ばない、その攻撃力は<ラグナロク・サーガ>にも<三機神・スサノオ>にも及ばないだろう。でも、この思いが詰まった一撃なら――!!!

 

「ば、ばかな―――!!!」

 

 <カオスグランデ・ジェノサイド>の薄い胴体が二つに分かれる。羽根を全て使い切った、その姿は最初の禍々しさが無くなり。どこか夢も希望も失ってしまった老人のように見えた。

 

「これが、これが……<オプティマイザ>の力!!! 私は真の<オプティマイザ>になれなかったということか!!!!」

 

 おっさんの叫びが爆発の中に消える。<カオスグランデ・ジェノサイド>がその貧相な身体からは思いもつかないような巨大な爆発を起こしたからだ。

 爆発の中心が黒いブラックホールのような物に変わる。そういえば、おっさんが『私を倒すことができたら元の世界に戻すシステムが起動するように設定しました』って言ってた。つまり、これがソレってことか。

 俺は幼馴染二人に笑い掛ける。すると、二人も同じことに気付いていたのか頷いて返してくれた。

 

「スコット、俺達行くよ」

「あんたはやっぱり最高のエースだったわよ!」

「オレ、スコットと一緒に戦えて良かったわ」

「和哉さん、結衣さん、誠さん!!!」

 

「アレに入れば、俺達……元の世界に帰れるみたいなんだ」

「スコットとはサヨナラってことね」

「カゲヤマ少佐には、これで美味い飯が食えるな!って言っといてくれ!」

「……寂しいですけど、分かりました。みなさん! ありがとうございました!」

 

「こっちこそ!」

「じゃあね!」

「ある意味、戻ってもスコットにはお世話になるからよ!」

「それは、ゲームの中でしょ!? 誠さん! それでは皆さん! さようなら!」

 

 俺達三人は、ブラックホールのような中心へと飛び込んで行った。

 

 ◆

 

 気がつくと、そこは【疾風機兵アサルト・コア】というゲーム筐体の中だった。頭につけたインカムの向こうでは、同じように眠りから覚めた誠と結衣が大きなあくびをしている声が聞こえる。

 俺は何の気無しに聞いてみることにした。

 

「夢じゃないよな?」

 

 俺の問いかけに中々応えない誠と結衣。質問の意味を考えているのか、それとも俺が見ていた夢だったのか。俺が『やっぱりなんでもない』と言おうと口を開いた瞬間。

 

「夢のわけないだろ?」

「夢だったらある意味、最高だったわね」

 

 誠と結衣の返答に俺は笑いを噴き出していた。

 

「ふは! そうだよな! 夢のわけねぇよな! 夢だったらリアルすぎ!」

『そうですよ、マスター。夢のわけないじゃないですか』

『ホントだぜ、マスター。しっかりしてくれよな!』

「あぁ~……悪い悪い、<イザナミ><イザナギ>…………え?」

 

 俺はゲーム機の中で自由に動き回る<イザナミ><イザナギ>に視線を奪われたあと、ゲーム機を手に取って【疾風機兵アサルト・コア】のゲーム筐体から飛び出した。

 周囲を確認する。定番だが自分の頬を(つね)ってみる。もちろん普通に痛い。思いっきり深呼吸をすると、ザラついた空気の所為で(むせ)ることもなく。俺がハッチを開けて見た景色は、あちこちマナーが悪い客に吐き捨てられたガムがこびり付いた床や、タバコのヤニで黒ずんだ壁等のゲームセンターのそれだった。断じて、真っ黒な黒煙を拭き出して倒れるロボットと、あちこちで爆発をしている戦場の風景では無い。

 俺は再度、手元のゲーム機を見ると電源の落ちたゲーム機には<イザナミ><イザナギ>の姿は無く、夢の続きでも見ていたような気分になった。

 

「ははは! 俺ってば、まだ夢でも見てたのかよ! 結衣! 誠! 早く家に帰ろうぜ、なんだか家の飯が恋しいよ、俺は」

 

 ゲーム筐体から出て来た結衣と誠に声を掛けて、一緒にゲームセンターの外に出る。携帯電話に表示されている時刻は、一九時半。俺はその時間に違和感を覚えた。この時間のわりには客が一人もいない。もちろん携帯がオカシイ可能性もある。俺達がどういう時間軸にいたかも分からないからだ。

 しかし、その違和感は当たってしまう。

 ゲームセンターから外に出た俺達の視線の先には、見慣れたつくばの町、上空一杯に広がる【疾風機兵アサルト・コア】の敵機がいたからだ。

 

「なんだよ……俺ら、まだちゃんと帰れてないのかよ……」

「でも、どうする? 機体ないよ?」

「そうだよなぁ~、いくらなんでも機体がなきゃどうしようもねぇよな」

『え? ありますわよ、誠様』

『呼んじゃう? 結衣ちゃん』

『マスター、呼ぶぜ?』

 

『『『『疾風機兵アサルト・コア!』』』』


これで疾風機兵アサルト・コアは終了です。

ここまでお付き合い頂きまして、ありがとうございました。

2011年8月の空想科学祭から初めて、年明けて完結という……

なんとも不甲斐ない結果ではありますが、ともあれ完結ということで大目にみてやってください。


ありがとうございました。


†李陽†

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