憎きアイツ?
璦奈のお腹は、少し膨らんでいるようにも見える。
食べ放題の後で、わたし胃下垂なのっていえば、ギリ回避できる状態…なのかな…?
休み時間、そっと遠目から見守っていた。
璦奈、大丈夫かなって…
「あ、寮梧くんじゃない」
と、いきなりどこからともなく冴木さんがひょっこり現れた。
そして、オレの視線の先の璦奈をチラッとみた後、璦奈のことは触れずにいきなり
「わたしね、寮梧くんにはほんとに感謝してる‼︎神だよ‼︎わたし、ずっとずっと不安で憎きアイツをずっと恨んでた。でも、ほんと寮梧くんのおかげで未来がかわる気がするの。ほんとにありがとう‼︎じゃあね!」
と一方的に感謝された。
…
なに?
てか、憎きアイツって…
それは、冴木さん…
誰のことをおっしゃっているの?
そして、ありがとうってなに?
一方的に話してどこかに行ってしまったら、もう意味がわからない。
ただただ、迷子感謝だ。
そもそも迷子感謝って意味もわからないです。
迷子のまま…よくわからない状態で、透の手術が開始されようとしている。
もちろん手術の方は、バッチリ理解した。
透は、何度もオレにありがとうって感謝していた。
そして数時間の手術が、無事に成功した。
オレも少しビビっていたが、起きたらもう終わっていたって感じだ。
これで一人の命が救われるんだから、医療ってものは、ほんとうにすごい。
透のご両親は、涙を流してオレに感謝していた。
最近、冴木さんといい透のご両親にまで感謝されて、悪い気分ではないよ?
ただ…
ただね、オレはずっと心配していることがある。
透と冴木さんの関係だ。
この二人ってさ、透が退院したら付き合いだすんじゃないの?
璦奈が心配だろ。
てか、透…
それは、いくらなんでもオレは許さねー‼︎
透の回復を待って、ある程度になったらオレはきちんと透に責任をとってもらうよう言うつもりだ。
そして、透がだいぶ回復したのを見計らって、透に言った。
「璦奈のことどうするつもり?」
って。
キョトンとする透
「どうもこうも、なくね?」
って言ってきやがった。
「いや、璦奈…妊娠してんだろ」
「えっ⁉︎マジかよ⁉︎念願のママかよ‼︎おめでとう‼︎」
と、手を握られた。
…
は?
「いや、人ごとかよ⁉︎」
「そりゃ、おめでとうだろ。てか、そっかー。あ、でもまだ二人って学生じゃん。どうすんだよ?」
…
だから…
は?
「二人って…人ごとすぎるだろ⁉︎透が父親なんだろ⁉︎なんでそんな人ごとなんだよ?」
「またまたぁ、オレたち付き合ってないって前にもいったろ?安心して結婚したまえよ。君の子どもだよ」
なんでそうなるんだよ⁉︎
てか…相手、透じゃなかったってことかよ⁉︎
「え、何⁉︎妊娠⁉︎寮梧くんやるぅ〜‼︎おめでとう〜」
いきなり現れた冴木さん…
てか、なんか…
なんかおかしくないか?
透…一緒に婦人科の前に璦奈といたんだし、前に透にママになるって言ったって、言ってたじゃんかよ⁉︎
無理矢理、父親をオレにしようとしてる?
冴木さんと付き合う為に、シラを切るつもり?
でも…
そもそも璦奈も透のこと、執着してないけどさ…
だからって、責任とらないで璦奈に一人育児させんのかよ⁉︎
てか、オレに押しつけるのは違くない?
そりゃ、オレだって…璦奈が一人で産むっていうなら、支えてあげたいって思うけどさ?
無理矢理押しつけるのは、違うよね?
てか…
前に冴木さんが言ってた、憎きアイツを恨んでたってやつ…
寮梧くんのおかげでほんとうに助かったとか、言ってた…ね?
もしかして…透と冴木さんってグルなんじゃね⁉︎
オレに責任押しつけようとしてるんだ?
でも、璦奈は…
璦奈がどう思っているかが大事だよね…
てことで、オレは直接璦奈に聞きに行くことにした。
続く。




