えっ⁉︎
先生は…いったい何を…
先生の手は…温かくもなく、かといって冷たくもなく…
ところで…この状態って…
と、テンパっているとにっこり微笑んで
「おめでとう‼︎奇跡だよ‼︎」
と、なにやら用紙をみせてくれた。
なんだろう?と用紙を覗き込むと、適合していたから、手術できるよ‼︎と、合意書の紙を差し出した。
そして、さっきの笑顔とは一転真面目な顔で、
「君にもリスクは、ある。よく親御さんと話し合っておいで」
と、オレをじっとみた。
「あー…えっ⁉︎えっ⁉︎適合したんですか⁉︎マジかよ⁉︎すげー‼︎」
と、オレは病院で声をあげてしまった。
今すぐにでも、手術してもらいたい‼︎それくらいの衝動に駆られたが、それと同時に不安も押し寄せてきた。
オレにもリスク…
オレは病気でもないのに、これだけ不安になるんだから、透は…もっと不安で孤独だったのだろう。
でも、治ったらもうオレも璦奈も用無しなんてことには、絶対させない‼︎
今日明日手術では、ないけど…
透に適合のことを伝えると、透はもちろん、璦奈も冴木さんも涙した。
透、これで生きられる‼︎
そして、パパになってもらいたいところだけど…
冴木さんが、透の病院へ毎日足を運ぶようになっていた。
…
璦奈は、冴木さんがいてくれるから安心だねなんて呑気なことを言っている。
いや、むしろ冴木さんだからオレは心配だ。
今日は、冴木さんがお見舞いに行くから、二人は部活に専念していいよって冴木さんがいうから、そうすることにした。
少し不安だけど…
そして帰り道、偶然璦奈と一緒になった。
「寮梧ー、一緒に帰ろ」
「うん」
「今日は、冴木さんがお見舞いで透くん喜んでるだろうね」
…
璦奈は、なんでそんなに余裕がある雰囲気なのだろう?
「あのさ、璦奈…璦奈は、嫌じゃないの?」
「なにが?」
「だから…今までずっと透の看病してたのに、いきなり冴木さんが来てさ…」
「あー、うん。全然いいと思うよ?それにわたしママになれるんだよ!そのことが一番嬉しくてね!最近いいことばっかり!透くんも生きられるし、わたしもママになれるんだよ!最高じゃない?」
…
ママ…
「透は…透には、言わないの?」
「え、透くん?知ってるよ」
…
知ってんだ⁉︎
「透は、なんて?」
「よかったな」
って。
「あの頃は、透くんも落ち込み気味だったから、なんかわたしばっかりごめんって感じだったけど、今は心から喜べるんだ。」
え?
それだけ?
よかったな?
おいおい透…ずいぶん人ごとみたいに言ってんじゃんか。
「なぁ、璦奈…このままじゃ透の気持ち離れちゃうんじゃないのか?」
「え、それならそれでよくない?」
…
もしかして…
もしかして、二人って…
璦奈は、透のこと別に好きじゃないってことか⁉︎
だから、無理してパパにならなくてもいいってこと⁉︎
璦奈…ひとりでママになるつもりなのか⁉︎
「あのさ、璦奈は…ひとりで産むつもりなの?」
「えっ⁉︎それは…ないよ…てか、その質問…酷いし…辛すぎるからっ…」
やっぱり透のこと好きなんだよな?
冴木さんをどうにかしないと、あの二人…いい感じ過ぎるだろ。
「あ、わたし買い出し頼まれてたんだった。じゃ!」
璦奈は、逃げるように行ってしまった。
その後は、それぞれお見舞いに交代で行こうって、冴木さんが提案したから、そうすることにした。
大勢で病院に押しかけるのは、よくないよね?ってことで。
たしかにそうだけどさ…
てかさ…璦奈顔にニキビが多発してるけど、大丈夫なのか?
男のオレからそんなこと言われたら…たぶん嫌だよね。
だから、言うのはやめておこうって決めた。
そしたら、後ろからきた璦奈の友達がズバリ言ってきた。
「あー、璦奈ニキビすごくない?」
って。
女子同士なら、ね…
「そうなのー。最近めっちゃお腹すいてさ、お菓子がとまらなくって」
「わかるー」
と、普通な女子トークをしながら行ってしまった。
璦奈…
ニキビも心配だけど…
カラダ大丈夫かよ⁉︎
そして、どうすんだよ‼︎
…
続く。