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やっと両思いになったのに幼馴染がいきなりオレの親友と付き合いだした?てか、やっぱり返すって何⁉︎  作者: 猫の集会


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花火

 花火が始まるまで、くだらない話をして三人で待った。

 

 そして、六時半になる少し前に看護師さんが電気を暗くしてくれた。

 

 しばらくして、バーンと花火が上がった。

 

「「「おー」」」

「きれいだね」

「だなー」

 一瞬で、みんな花火に釘付けになった。

 

 

 透は、花火の光のせいか目が輝いて見える。

 

 

 …いや、潤んだ瞳が輝いて見えていたのだ。

 

 透は、こっそり涙を拭っていたのをオレはみて見ぬふりをした。

 

 

 透…

 

 オレ…適合してることを昨日の晩、透の病院の方みて、拝んでたんだぞ。

 

 恥ずかしくて、そんなこと透には言えないけどさ。

 

 でも、願うのは自由だろ?

 

 透…パパになれよ。

 

 立派なパパになるんだかんな。

 

 

 花火をみながら、そう心でつぶやいた。

 

 

「オレさ…」

 透が力なく言った。

 

「ん?どうした?」

「オレさ…生きたい」

 

 って。

 

 

「うん、生きろよ‼︎当たり前じゃんか‼︎オレ、適合するかわかんねーけど、でも適合する人いるかもだから徹底的に探してもいいか?」

「え…それは構わないけど…」

「じゃあ、学校のみんなにも応援お願いしてもいいか?」

「…うん。ありがとうな…」

「わたしも、探す‼︎一人より二人、三人…って多く情報を知ってもらえたら違うもんね」

「そうだな」

「ありがとう…ほんと…」

 

 透は、また瞳が潤んだようだった。

 

「あ、今の花火きれい」

「ほんとだな。写真撮ろっと。」

「あ、わたしも」

 

 後ろで透が泣いているのに、オレも璦奈も気づいていた。

 

 だから、わざとオレたちは花火に夢中のフリをしたんだ。

 だって、オレたちも涙堪えるのを必死だったから。

 

 透は、めっちゃ泣いてもう涙がどうにもとまらない様子だった。

 

「透…そんなに花火に感動したのかよ。繊細さんなんだな。花火師さんも喜ぶわ。そんな感動されたらよ」

「ちげーよ…おまえらが…いや、やっぱり…花火だ。花火に感動したって言っとこ。あとでバカにされたらいやだし…」

「するわけないだろ。繊細でなにが悪いんだよ」

「早速、バカにしてきやがって」

「「「あはは」」」

 

 花火をみて、三人で涙ながらに笑い合った。

 

 花火の見える病室は、いつもと違う空間にいるみたいで、不思議な感じだった。このまま時がとまればいいのにって、流れ星でもないのに、オレは花火に願った。

 

 

 その日の夜に、オレは早速携帯とパソコンで情報を調べたり、病気について拡散させた。

 

 

 次の日も、部活仲間とか幼き頃の友達とかにも、手当たり次第検査受けてほしいとか、情報ほしいってお願いした。

 

 すると、検査を受けてくれた人や、病気についての情報などたくさん送られてきた。

 

 

 やっぱり知らなかったこととか、いろんな情報って、あるんだなぁ。

 

 人の力ってすげーなって、改めて思う。

 

 病気の情報の他にも、寄せ書きなんかも部活仲間がつくってくれてて、最後にオレがかけば完成だから、かいたらそのまま透に渡してくれって、ことだった。

 

 みんな…

 

 透は、絶対喜ぶだろうなって思っていたけど、やっぱり嬉しそうだった。

 

 みんな暇かよ…なんて言いながら、透は嬉しそうに笑っていた。

 

 

 笑うと病気にもいいらしい。

 

 それも、最近知った情報だった。

 

 暇なとき、笑える動画っていって部員の変顔コレクションなんかも透に送ってくれているみたいだ。

 

「なぁ、みろよ、この変顔」

「ヤベーな」

「だろ」

 と、透はオレに画像をみせてくれた。

 

 最近の透は、お見舞いに行くとよく笑う。

 

 以前よりも起き上がっている時間も長い。

 

 

 

「今日、璦奈は?」

 透が急に璦奈のことを言い出すから、オレは少し戸惑った。

 

「あー…なんか、寄るとこあるから今日は、行けないって」

「ふーん」

 

 …

 

 璦奈は、今日…病院へ行くと言っていた。

 

 どうかしたの?って聞いたらわざとらしいよな。

 

 たぶん…産婦人科だろう。

 

 あえて、そこは聞かなかった。

 

 でも、璦奈のこともどうにかしないとだよな。

 

 早く適合する人がみつかれば、ことが上手く進むのになあ。

 

 

 なかなかそうは、いかないよな…

 

 

 続く。

 

 

 

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