二人って…
オレには、幼馴染がいる。
璦奈だ。
たぶんオレたちは…いや、絶対にオレたちは両思いだ。
だって、昨日オレたちはキスをした。
ちょうど学校の帰り道一緒になって、夕日がめっちゃキレイってはしゃいで、なんなら夕日の写真を一緒に撮って…そして頬が少しかすって…そのままオレからゆっくり近づいて、そのままキスしたんだ。
でも、透が…
オレの親友の透が、
「おいーっす‼︎寮梧ー‼︎」
って現れたから…
だから、璦奈は慌てて帰ってしまったんだ。
タイミングーー‼︎
「おう、透…今日部活休んだだろ?」
「あー…まぁな」
「そんなんじゃ、レギュラー外されんぞ?一緒に全国大会行くんだろ?」
「はは…」
この時、オレはなんにも知らなかった。
…
オレと透は、バスケ部だ。
璦奈は、バトミントン部だ。
同じ体育館での練習だから璦奈とオレは、たまに帰りが一緒になる。
だから、今日も偶然一緒になったけど…
まさか自分が、あんな行動に出るなんてびっくりした。
帰ったら、璦奈に電話して気持ちをきちんと伝えよう。
そう考えたけど、やっぱり直接がいいなって思って、今度お互い部活がないとき話があるって、伝えた。
そして、その二日後…
オレは璦奈に告白したんだ。
もちろん答えは、オッケーでした‼︎
てことで、高校生活をこれから満喫するぞーって、張り切ってたんだけど…
最近、透のやつが部活をサボりだした。
「おいー、透…最近遅刻多いし部活もこねーじゃん。なにしてんだよ」
いつもみたいに、軽く戯れるようにいうと透は、珍しく真顔で
「お前みたいなリア充には、わかんねーよな‼︎」
と、怒って行ってしまった。
なんだよ…
オレに彼女ができたからって、そんな態度とらなくてもいいじゃんかよ。
透は、久々に部活に来たかと思えば、ミスばっかりだった。
「おい透…部活来ないから、からだなまってんじゃんか」
「はあ?そんなんじゃねーよ。オレ帰る」
透は、怒って帰ってしまった。
…なんだよアイツ
最近の透は、いつもイライラしているようにみえる。
璦奈にそのことを愚痴ると、璦奈は苦笑いしながらも話を聞いてくれていた。
そんな璦奈は、週に一度病院に行く。
祖母の具合が良くないようだ。
土曜日は、デートしようって璦奈と約束していたけど、祖母の病院へ行くことが急遽決まってしまったらしく、仕方なく透と遊ぶことにした。
仕方ないって言い方は、透に失礼すぎたな。
早速透を誘った。
「土曜暇ー?璦奈にデート断られたー」
って。
透は、慌てた様子で
「えと…あーぁ…オレも忙しい」
としどろもどろに返してきた。
なんだろ?
って、少し思ったけどあんまり気にも留めなかった。
土曜日、暇になってしまったので年の離れた弟とアイスを買いに出かけた。
「お兄ちゃん‼︎公園行こ‼︎」
まだアイスを買う前だったから、寄り道をした。
どうせ暇だし。
弟を遊ばせているとき、ふと璦奈みたいな人が見えた。
璦奈ーって呼ぼうとしたんだけど…隣に透がいた。
…
え?
璦奈は…今日病院行くんじゃなかったっけ?
透も用事が…
どうしても気になって夜、璦奈に電話した。
「今日なにしてた?」
って
そしたら璦奈は、
「病院だよ」
っていうから…これ以上は、聞けなかった。
最近、透は部活に来ない。
そして…璦奈も部活をたまに休んでいるみたいだった。
もしかして二人って…
…
でも、璦奈はオレと別れるそぶりなんて全くみせていない。
透に聞いてみるか。
休み時間、ボーッとしていた透に声をかけた。
「なぁ、透ー」
「んー?」
「透ってさ、好きな人いたりする?」
透は、さっきまでボーっとしていたのに、いきなり目を大きくして、
「いっ…いない……んじゃね⁉︎あ、オレさ…トイレ」
と、立ち上がり行ってしまった。
そして、数日後…
決定的な出来事がおきてしまった。
透と璦奈が同じ日に学校を休んだのだ。
休み時間、オレは璦奈に電話した。
「今日どうしたの?」
「あ、うん…ちょっと…」
「今って、家?」
「ううん…違くて…」
「だれといるの?」
「それは…」
「電話貸して」
少し小さな声で透の声がした。
やっぱりか…
そして、透が璦奈から電話をかわった。
「寮梧、オレ」
「うん」
「ごめん。」
「なにが」
「全部」
…
意味がわからない。
「今どこ?」
「それは…ごめん」
…
璦奈の啜り泣きが聞こえた。
「どこだよ‼︎言えよ‼︎どこにいんだよ‼︎」
オレは電話を持ったまま、学校を飛び出していた。
続く。