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聖女凌辱騒動

入学式の翌日、学園に激震が走った。

あろう事か学びの園で女生徒が凌辱されたという。

襲われたのはユリア・グレン。希少な聖魔法の使い手であるため『聖女』と呼ばれる少女である。

襲ったのはコンスタンシア・ローゼンブルク。侯爵令嬢である。

届けられた報告は三つだけ。

一、登校途中のユリアがコンスタンシアに拉致された

ニ、ユリアは地面に押し倒され意識を失っていた

三、コンスタンシアはユリアにのしかかり、赤い顔で呼吸を荒めていた


教室では様々な憶測が飛び交う。


女が女を襲う? デマだろう?

シア様だからなあ、あるかも……

いや、凌辱したのは取巻きかも。ブライの奴とかを手懐けるための飴としてユリアの身体を

でも、シア様とユリアって仲良さそうだったじゃないか?

侯爵令嬢と平民だぞ。利用されただけだよ

シアお姉様はそんな事なさらないわよ!


騒然となっているところに医務室から戻ったユリアが現れた。級友達が集まりユリアに質問を浴びせる。


「シアに何されたかって?

やだ、恥ずかしい……

言わなきゃダメ?

え?騒動になってる?嘘でしょ?

事実だけ言うわね。

シアに草むらに押し倒さて言われたの。

『ユリア、おまえの人生をアタシにくれ!

おまえの全てが欲しい』って。

シアのあの顔で真正面から目を見て言って来るの。

冗談やなんかじゃない。真剣さが伝わってくるの。

だから私、顔が少し赤くなっっちゃった。で、

『わかりました。でも優しくしてくださいね』

ってお答えしたらパコパコされて。

痛さで気が遠くなって……

気がついたら医務室でしたわ」

「誤解を招く様に言うなーーー!!」

教室の入口でババラ様に従えられたシアが顔を真っ赤にして叫んでいた。

「そんな言い方したらプロポーズしてアレしたみたいじゃないか!!アタシにはチ○チ○はついてないわ!!!」

ババラ様の手がシアの肩に置かれる。

「コンスタンシア、説明してもらいましょうか。ね」

優しく言っているが目が笑っていない。

「ハッ、バーバラ様。申し開きをさせていただきます!

アタシはバーバラ様の特別講義をユリアにも受けてもらいたいんです。

でもユリアは養い親にそこまでは負担させられないって」

「それはそうでしょうね」

「で、どうしたら良いかなって考えてたら閃いたんです。

ユリアにアタシの影武者になってもらえばいいって」

「影武者?」

「と言うか、代理です。

ロシマは地勢上最前線なので、アタシも前線に出張らなくちゃならない時があります。

でもそんな時に王妃が出席必須の催しがあったら?

アタシの身体は一つなので」

「前線は貴女しか務まらないが、王妃は代理に任せられると」

「そうです。父侯爵からも代理を見つける様に言われてましたので」

「しかしコンスタンシアの代理を務める女性でしょう?

貴族から選ばなくてよいのですか?」

「貴族では実家からの要請を優先されかねないので、教育を受けた平民が望ましいと申しておりました。

ですのでユリアならばローゼンブルク家としても好都合の人材。また、代理になってもらうと言う名目が有ればユリアの受講料はローゼンブルク家が負担できる」

「金銭的な心配をせずに教育が受けられるという訳ですね」

「はい。しかしアタシの代理となるとユリアの人生をアタシの人生に縛り付けてしまう。

だからユリアに人生を、全てをくれと」

「なるほど。動機は理解できました。

しかしなぜ押し倒したのですか?」

「昨日も申しましたが、アタシには同性の友人がおりません。騎士団と訓練ばかりしておりましたので加減が分からず、勢い余ってつい。

以後気をつけようと思いますが、慣れぬ事ゆえ御容赦いただきたく」

「仕方ないですね。以後気をつける様に。

ではユリアを押し倒してしまった事については不問といたしましょう。

ユリアも許してやってもらえますか?」

「ありがとうございます!」

「しかしユリアを……その…」

「あれは、ユリアが顔を赤らめて『初めてなの、優しくしてね』なんて言うからつい…」

「ムラムラしてパコパコと?」

「その言い方はやめて下さい!! 

アタシは『バカな事言うな』と頭を叩いちゃっただけです。

ただ焦ったもんでちょっと勢いが……」

「「「頭叩かれて気を失っただけかい!!!」」」


バーバラ様は眉間を揉みながら大きく息を吐いた。


「コンスタンシア…今回は不問にします。以後気をつける様に。


ユリア。貴女は今のコンスタンシアの申し出をどうしますか?

将来的にコンスタンシアの影武者になるかはさておき、淑女教育を受けておく事は貴女にとって財産となるはずです。

いいお話と思いますよ」

私は少し考えたが、確かに良い話だ。シアの好意に甘えておこう。

「私もそう思います。

シア、ありがとう。一緒にバーバラ先生の授業を受けさせてもらっていい?」

私はシアと握手を交わした。

「バーバラ先生、よろしくお願いします」

「ユリア、立派な淑女レディになるために頑張りましょうね。

コンスタンシアも頑張るのですよ。

ところでユリア」


なんだろう? 肩に置かれたバーバラ先生の手が不穏だ。


「先程の発言には悪意を感じます。

わざとああいう言い方をしましたね?」

「あ、アレは…その…」

「淑女は他人を貶める様な事をするものではありません」

「も、申し訳ありません」

「今回は初犯ですので一音だけで勘弁します」

「一音?」

バーバラ先生はコックリ頷くと「おん)」と唱えた。


ウギャーーーーーーー!!!


気づくと私は医務室のベッドで寝かされていた。

シアが心配そうに私の顔を覗き込む。


「ユリア、気がついた? 大丈夫?」

「あ、ありがとう。シア」

「ババラ様のアレ喰らったら大概倒れるからね」

「アレは何なの?」

「ババラ様が開発した圧縮お説教魔法。母音一つにつき一時間分のお説教を頭に流し込む魔法だよ」

「母音一つでって。じゃあ三音なら三時間?」

「そう。相手の身体に触れて声を出せば……」


先程のインパクトを思い出しゾッとした。


「だから言ったろう、最強で最凶だって」

「何か防ぐ方法は?」

「防ぐ方法は身体に触れられない事。

でも、暗部のエース級五人でもババラ様からは一分も逃げられなかったらしい」

「そ、それじゃ弱点は!?」

「一音で一時間分の体力を消耗するらしいから、大人数は相手にできない事」

「何時間保つの?」

「72時間は保つらしい……」


騙された!!

コイツ、一人でババラ様の相手するのが嫌で私を巻き込んだんだ。


「ユリア、逃げようとしてももう無駄だよ。

承諾しちゃったからにはババラ様は逃がしてくれないから。

死ぬ時は一緒に。ね」


やっぱりコイツは敵だ!!!





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