表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/120

94.風歌たちと練習


 「輝さん、風歌さん。よろしくお願いいたします。」

 未来の礼儀正しい声。

 プ○キュアの衣装にコスプレをして、完全にこのキャラクターになり切っている。

 未来のコスプレしているキャラクターはこういう、和を意識した、礼儀正しい女の子だった。


 いつも動画を撮影しているという、レコーディング用の部屋も、双子のアトリエには併設されている。


 楽譜と、印刷されているコードを見ながら、対応していく、僕と風歌。

 風歌のシンセサイザーはストリングスの音がとても美しい。性格からして、彼女も陰キャで、こういうアニメをよく見ていたのだろう。ほぼほぼ所見演奏に近い感じなのに、昨日今日と一夜漬けで覚えた感じがしない。


 風歌と双子のギータとヴォーカルに合わせて、対応していく僕。

 「おかしいな、僕も陰キャで、アニメとかは色々見ていたのになあ・・・・。ごめん、何か、ついて行くのがやっとだね。」

 と、笑いながら頭を下げる僕。

 当然、未来の今コスプレをしている、プ○キュアのアニメも見たことがあるが、さすがに毎日、毎日見ているというわけではない。



 「ううん。輝君もナイス。初めてなのに、すごく上手い。」

 風歌はニコニコ笑いながら言う。


 「そうだよ。聞いてて、このままでも十分、【花園学園グランプリ】に対応できそう。」

 一緒に居た葉月も頷く。

 それに呼応するかのように、うんうんと頷く。生徒会メンバー。


 「そうなのかな。でも、もうちょっと、音源を聞いておかないと、そうしたら、もっと、堂々と弾けそう。」

 僕は皆にそう言って、笑い返す。


 「うんうん。流石、輝君。」

 葉月は頷く。


 「そうね。頑張らないとね。」

 史奈もにこにこと笑う。

 加奈子も頷いた。


 このあと数回ほど、通しで練習するが、まだまだ、周りの音を聞きながら、伴奏を改善していくことになりそうだった。


 そうして、ここのアトリエでの練習は一区切りして、赤城兄妹に見送られ、アトリエを出発する。


 途中で、百貨店のフードコートで昼食を取り、生徒会メンバーと別れて、続いてやってきたのは原田のバレエスタジオにほど近い、岩島先生のピアノ教室。

 もう一つの練習。風歌とともに、コンクールの練習に取りかかる。

 岩島先生が、笑顔で迎えてくれ、ピアノが二つある練習室へ通される。

 「連弾部門の方が課題ね。お互い、ピアノの個人部門の方は、曲が仕上がった状態にあるから。」


 僕と風歌はお互い顔を見合わせ、頷く。


 早速、個人で練習してきた部分を急ピッチで合わせに行く。

 幸いにも、2台・連弾部門の方は、『上位の大会で、地区大会で披露したものとは別の曲を演奏しなければならない。』という、ルールはなく、課題曲の『2台ピアノのためのソナタ』、自由曲の『春の声』の二つで行ける。


 「うん。お互い、レベルが高いから、すぐに出来そうだね。」

 岩島先生が頷く。

 それを見た僕と風歌は笑顔になる。


 曲が決まって、楽譜をもらってからだろうか、僕も伯父の家の離屋で一人、練習をしていた。

 この高校に入学してからずっとそうだった。

 本当に、充実していて、ありがたい。


 「とりあえず、全て通してできればOK。後は、2人で本番でどれだけできるかかなぁ。細かい調整は関東大会まででも間に合うから。」

 岩島先生が笑う。


 「と言いますと。」

 僕が岩島先生に尋ねる。


 「ああ。例年、2台・連弾部門は、この県では出場者が少なくて、大体の年が、弾き終わって、審査員がその場で賞を渡す仕組み。賞を渡されれば、関東大会に進めるから。茂木先生曰く、今年も今のところそんな感じだって。」

 岩島先生が言う。


 なるほど。確かにそうだ。

 そういえば、僕が中学時代に出場していたコンクールも、この部門の参加者は少なく、個人部門の出場が多い感じだ。


 だけど、岩島先生の言葉に、甘えて、ゆっくりできないことは僕も風歌も分っている。

 関東大会になれば、当然、出場者も多くなり、優劣がつけられる。それまでに頑張らなければならない。


 皆からくれた、最大のチャンス。もう一度、舞台でピアノが弾ける最大のチャンス。逃してたまるか。

 そんな気持ちで、残りの時間の練習を過ごした。


 「よしよし。良い出来。今日はここまでにしましょう。県のコンクールまででも、レベルはさらに、上がりそうだね。」

 岩島先生がニコニコ笑いながら、言った。


 「さてと、橋本君はこの後、裕子のところだよね。個人部門の曲は仕上がっているから、井野さんと息を合わせられるようにね。」

 岩島先生がさらに続けた。


 「はい。ありがとうございます。」

 僕は頭を下げ、レッスン室を出て行く。

 風歌も一緒に頭を下げる。


 「ありがとう。風歌。」

 「うん。輝君なら、大丈夫。また、学校で。」

 風歌が抱きしめてくる。


 僕は頷き、風歌の背中に手を回す。

 「うん。本当に、本当に、ありがとう。」

 僕はそう言って、お互いの身体が離れ、風歌と別れた。



最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

少しでも続きが気になる方はブックマーク登録と高評価、いいねをお願いいたします。


評価は一番下の【☆☆☆☆☆】マークからできます!!


本当に、皆さんのリアクションが励みになっています。ありがとうございます。




●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/


 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ