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92.メイドの衣装


 赤城兄妹のアトリエを訪れてから最初の週末。

 再び僕と結花はそのアトリエを訪れている。


 文化祭でのメイド喫茶。それに使用する、メイド衣装の試作品が出来上がったという連絡を受けたのだった。

 今回は生徒会メンバーの葉月、加奈子、史奈と、さらには風歌も一緒に訪れていた。

 「ひ、輝君と一緒にいるもん。それに、その後、加奈子ちゃんのバレエ教室に行って、コンクールのピアノ合わせなきゃだし。・・・・・。」

 風歌はそう言う理由から、ここに付いてきたのだった。


 出来上がったメイドの衣装の実物を見せる。双子の妹、未来。

 「ど、どう?かな?」

 未来は結花と僕に尋ねる。


 「す、すごーい。」

 「うわぉ。」

 「すごい!!」

 「きれ~。」


 そういったリアクションで反応する僕たちと生徒会役員メンバー。


 その衣装はかなり魅力にあふれるものだった。

 光沢感のある黒い生地、フリフリの白いエプロンと髪飾り、

 王道メイドではあるが、細やかな刺繡がとてもそれをさらに引き立てていた。


 「ああ。良かった。」

 「どうなることかと思った。」

 双子の、隼人と未来はホッと一安心。


 「早速だけど、北條さん、着てみる?」

 未来の提案に結花はにこにこと笑う。

 「もちろんだよ!!」

 結花はそう言って、未来に更衣室に案内される。



 そうして。

 「ハッシー、見て見て。」

 結花はニコニコ笑いながら一回転。

 確かにメイドさんである。

 僕は頷く。とても良く似合っている。


 当日はこれを着て、接客するのか。


 「ふふふ。甘いよ。結花ちゃん!!」

 そうニコニコ笑うのは一緒にいた生徒会メンバーの葉月だった。

 にこにこと笑う葉月は、こう切り出した。


 「ねえ、ねえ、2人とも、結花ちゃんの次は私が着てみて良い?」

 葉月のニコニコした眼に縦に頷くしかない赤城兄妹。


 「ふふふ。ありがとう。」

 葉月は笑顔でお礼を言い、赤城兄妹に更衣室に案内される。


 そして数分後。

 にこにこと笑う葉月。

 何だろうか、結花よりもかなり可愛い気がする。


 「お帰りなさいませ。ご主人様!!」

 葉月がにこにこと笑う。

 

 何だろうか、先ほどの結花より、胸を打たれる僕。

 ドキドキ感がたまらない。


 「す、すごく似合ってる。」

 僕は思わず息を飲んでしまった。


 「ふふふ。そうね。やっぱり結花ちゃんは、もともとギャルっぽいから、戦うメイドさんという感じで、葉月ちゃんはご主人様に使える、王道なメイドさんって感じね。やっぱり、メイド喫茶だったら、葉月ちゃんの方がいいね。」

 ニコニコしながら微笑む史奈。


 「ちょ、ちょっと会長~。」

 結花が嫉妬深く言うが。


 「まあ、確かに、そうだよね~。後で、心音パイセンにイメチェンの仕方でも教えてもらおうっと。」

 その後、結花は、葉月のメイド服を見て、納得したかのようにため息をついて、深く頷いた。


 「ふふふ。そしたら、葉月ちゃん。今度は私の番よ。」

 史奈がニコニコ笑う。


 「は、はーい。わかりました。」

 本当はもう少し来ていたいが、時間も時間ということでわかっている葉月。

 おとなしく史奈の指示に従い、赤城兄妹に更衣室に案内され、メイド服を葉月から史奈に交換する。


 「ふふふ。お帰りなさいませ、ご主人様。」

 史奈はウィンクしながら、メイド服を着てやって来た。

 何だろうか。もともと身長が低いため、メイド服が子供っぽく見える。

 小間使いにいる感じだが・・・・・・。


 そう思ったのもここまでだった。


 「さあ、何にしますか?お飲み物でしょうか?」

 史奈はそう言って、僕の肩に触れる。


 「それとも、愛のオムレツになさいますか?」

 反対側の僕の肩に触れる。


 「それとも、わ・た・し?」

 史奈は僕の耳元でつぶやこうとしたが、彼女の身長が低いので、当然、口元は耳に届かず、クリクリとした見上げるような瞳がとてもかわいい。その分、一生懸命口元を動かしている。

 そして、さらに、背後に回り込み。史奈は僕の背中に彼女の胸を当てる。


 何だろうか?頭の先から足の先まで、ものすごい大きな電流が流れて。


 「もーっ、会長、いつもこうなるんですからー!!」

 加奈子が顔を赤くしながら、そこから先のやり取りを勢いよく留めた。


 「あらあら、減るもんじゃないんだし。でも、そうね、赤城さんたちに怪しまれないようにするためにもここで止めようかしら。」

 史奈はにこにこと笑いながら、彼女の腕が僕から離れた。


 「あ、あの・・・・。輝。赤城さん、私も着てみていい。」

 加奈子は顔を赤くしながら言う。


 「あ、あの、み、皆が着るなら私も・・・・・。」

 風歌も加奈子と一緒に顔を赤くしながら手を挙げた。


 「お、お、お帰りなさいませ、ご主人様。」

 恥ずかしがりながらも、一生懸命メイドになり切る風歌。


 「ひ、輝、ど、どうかな?」

 「え、えっと、お帰りなさいませ、ご主人様。」

 加奈子も風歌と同じく、一生懸命になる。


 風歌と加奈子のメイド服はとてもかわいかったが、どこかぎこちなかった。


 風歌の方は、彼女の緊張が伝わってくる。

 確かにメイドとしてはとてもかわいくて、きっと一部のオタクからすれば、萌え萌えーと叫んでしまうだろうが、見ていて、ぎこちなさが伝わってしまう。

 それに、そのように叫ばれた風歌は、「きゃあぁぁ~」といちいち声をあげて反応してしまうことが目に見えて判っていた。


 加奈子の方はというと。

 何だろうか。衣装がぎこちないというべきなのだろう。バレリーナということもあり、もともとシュッとしている加奈子。

 史奈とは別の意味で、サイズがかなり合わなそうだったし、加奈子の体型が変わっているようだった。


 結局、完成したメイド服を全員が着用したところで、試作品のお披露目は終了した。

 当然、結花と僕はその試作品に太鼓判を押して、改めて、文化祭で着用する分をお願いした。

 勿論、当日のシフトや予算を考えて、全員分の衣装は制作せず、その時のフロアを担当している生徒の人数分だけで良いことを伝えた。


 「赤城さんたち、文化祭まで、もうちょっと余裕ありそう?」

 史奈がニコニコ笑いながら訪ねる。


 「はい。メイド服はすぐ終わると思います。」

 隼人と未来が頷く。


 「そう、そうしたら、私達からも依頼していいかしら。生徒会としてね。」

 史奈はウィンクした。


 「は、はい。大丈夫です。」

 赤城兄妹が頷いたところで、史奈はにこにこと笑う。


 「それじゃあ、少し向こうの、更衣室の部屋に行きましょう。ああ、輝君は大丈夫よ。むしろ、輝君は当日までのお楽しみ。大丈夫、数分で終わるわ。ここで待っててね。」

 史奈はそう言って僕に指示を出すと、葉月と加奈子、結花を連れて、更衣室の部屋に行った。


 取り残される風歌と僕だったが、ここは赤城兄妹のアトリエ、いろいろな珍しいものが多くあり。

 特に風歌が興奮状態だった。


 「へへへ。輝君と二人っきりだぁ。」

 と風歌はにこにこと笑い。

 一緒に双子のアトリエの珍しい機械や、道具を観察させてもらった。


 「す、すごいね~。」

 とにこにこと笑う風歌。

 「ホントだね。」

 僕もニコニコと笑う。


 「でも、輝君のピアノがもっとすごい!!」

 そうして、風歌は何かを外したかのように、僕の顔に近づいて、唇を重ねる。

 ときめいている風歌に、まあ、ここは人の家だからと抑止をかけるように、キスをしていく。


 風歌も途中で、これを察したのか、今回は少しでおさまった。


 そんなこともあってか、待っている時間はそれほど長く感じることはなく、史奈の言った通り、本当に数分で、生徒会メンバーと赤城兄妹がここに戻ってきたのだった。


 「お待たせ。」

 にこにこと笑う史奈。


 「お、お待たせしました。橋本君。」

 うんうんと緊張して、何度も頷く赤城兄妹の双子の妹、未来。


 そう、ここからが、僕の本題だった。

最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/


 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?※このシリーズの異世界転生編です。⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

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