9.推薦人
「橋本輝君。加奈子ちゃんの推薦人になってください!!」
瀬戸会長の言葉に唖然とすする。
す、推薦人・・・・・・・。
「あの、推薦人って。」
「生徒会長選挙はかなり厳しい戦いになると、前に言ったのですが、そこは覚えていますか?」
瀬戸会長が緩く質問する。
「はい。よく覚えています。会長になるのはかなり大変って。」
僕は瀬戸会長に応える。
「そう!!まず立候補するためには3人の推薦人が必要です。しかもその3人のうち、誰か一人は学年が異なっていないといけません。加奈子ちゃんの推薦人は私と、葉月ちゃん。後、もう一人を探そうと思っていたところに、君の言葉にズーンと来ました!!」
瀬戸会長は厳しくも笑顔の口調で僕を指さす。
「例年、生徒会長の推薦人は、2年生と3年生がなることがほとんどですが、入学してきたばかりの1年生。しかも、今年から共学化された男子生徒。かなり選挙としては見ごたえがあるのではと思います!!」
葉月と加奈子は瀬戸会長の提案に、ああ。と納得した表情を見せている。
そして、加奈子はオーッ、という表情に変わり、瀬戸会長に拍手を贈る。
「すごいです。会長。輝君が推薦人になることによって、高校がリニューアルされたイメージを持つことができます!!」
葉月はそう言って飛び上がっている。
加奈子の拍手。おそらく加奈子は少し自信がついたようだ。
さっきまで表情を暗くしていた、加奈子の顔。その差を見ると、推薦人という提案を断りずらくなってしまった。
「わかりました。加奈子先輩と、皆さんと一緒に頑張ってみます。」
「「「わーい!!」」」
「「「やったー!!」」」
3人はハイタッチをしてはしゃいでいる。
「で、どうすればいいですか?」
僕は質問する。
「まずはゴールデンウィークまでに、加奈子ちゃんと仲良くなってみましょう。ゴールデンウィーク明けの初日に立候補の届け出。そこから学園の中間テストまでが、選挙期間。
中間テスト明けから、新しい生徒会が始動というわけ。
中間試験の前に、演説会と最初の投票。
ここで過半数の票を獲得できれば、生徒会長に当選。
過半数の票を獲得できなければ、中間試験の最終日に、上位2名による最終演説会と決選投票。という流れになります。」
瀬戸会長はホワイトボードに書きながら、日程を説明してくれた。
確かに厳しい選挙戦だ。
「そして、演説会には推薦人も登壇して、候補者の推薦する理由を全校生徒みんなの前でスピーチします!!」
瀬戸会長の言葉に耳を疑った。
と、言うことは・・・・・・。
「そうです。輝君も、推薦人として、スピーチをしてもらいます!!」
急に緊張してきた。胸が張り裂けそうなくらい。
心臓の音がはっきり聞こえる。
「気張らないで大丈夫だよ!!私たちも演説するのだから、サポートするね。」
葉月がウィンクしながら言う。
いやいや、そういう問題じゃなくて・・・・・・・・・。
ほぼ女子しかいない全校生徒の前で、僕がスピーチをするということに緊張している。
大丈夫なのだろうか・・・・・・・・。
だが、加奈子のお願いします、という表情の目でこちらを見つめていると断れなかった。
「わかりました、やってみます。」
僕は、そう答えた。
「ありがとう!!輝君。」
「ありがとう!!輝。」
葉月と加奈子はそれぞれお礼を言った。
「さーて、といっても、橋本君は加奈子ちゃんと知り合ったばかりだし。まずは、この4人で仲良くなってみましょうか。その中で知った、加奈子ちゃんのいいところを、演説会で話してくれればいいからね。
と、言うことで、次の週末。土曜日の13:00に昨日、一緒に帰って、別々の方角に分かれた百貨店前の交差点に集合!!」
瀬戸会長は張り切って言った。
「またまた。会長は遊びに行きたいだけですよね。」
加奈子が言った。
「まあね。」
てへぺろ。みたいな表情をする。
「それに・・・・・。」
瀬戸会長は僕の方を見る。葉月と加奈子も僕の方を見た。
「「「輝君、私たちと一緒にお出かけしましょう!!」」」
声をそろえて言われたので、これもまた断る理由がなかった。
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