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89.双子のアトリエ


 「す、すごくね、ハッシー。」

 「すごい、まるで、秘密基地みたいだ。」


 文化祭の出し物が決定し、【メイド喫茶】に決まった、僕たちのクラス。

 放課後、僕と結花は、メイドの衣装を作ってくれるという、赤城隼人と赤城未来の双子の家にお邪魔することになった。

 そこはまるでアトリエだった。

 様々な布生地があり、ミシンが幾つもあって、まるでさながら服職人の現場だった・・・・。



 勿論、放課後、その双子の家に行く前に、生徒会役員の仕事もきっちりこなす。

 コーラス部の手伝いで、合唱コンクールに全力を注いで、欠席して、遅れていた分を取り返さないとと思い、かなり張り切っていた。


 「さて、輝君も本格的に戻ってきたことだし、とりあえず、生徒会としてやらなきゃいけないことをお話しするね。」

 葉月が切り出す。


 葉月はこの学園の理事長の娘でこの地域に小さいころから住んでいる。学校の仕組みや、行事日程を説明する達人だ。


 「日程は、2学期の中間試験の翌週すべてを使って実施します。週の前半が体育祭。後半が文化祭。輝君のクラスのメイド喫茶は後半の文化祭の出し物だね。」

 葉月は該当する日程を黒板に書いていく。


「当然だけど、後半の文化祭の方が生徒会役員もおそらく、この高校の皆も大変になるかな。体育祭は、クラス対抗で、出る種目さえ決まってしまえば何とかなるし。文化祭は、係りの割り振りをしたり、教室を使ったりといろいろ大変だし。」

 葉月はさらに続ける。


 「生徒会は、諸々の会場の準備と、2つのイベントの企画を例年実施しています。」


 「一つは、体育祭と文化祭の間に行われる【福引大会】。そしてもう一つは、文化祭に行われる【花園学園グランプリ】。」


 「【花園学園グランプリ】?」

 僕は首をかしげる。


 「まあ、学園の生徒が参加して、いろんなことをやるショータイムだね。何をやってもいいんだよ。輝君もピアノで出てももちろんいいよ♪」

 葉月がニコニコで説明する。


 「―っと、まあ、こんな感じで良いかな。後は加奈子に任せるね。」

 葉月が説明を終え、いよいよ、生徒会長でもある加奈子にバトンタッチ。


 僕は加奈子から、当日の動きなどが細かく指示される。

 「大変かもしれないけれど、よろしく、輝。」

 加奈子はそう言って、笑いながら、そして、僕のピアノコンクールもある中での準備に申し訳なさを感じながら、頷く。


 「はい。わかりました、頑張ります。」

 僕はそう言って、加奈子に笑い返した。


 その後はひたすら、文化祭で、各クラスや、部活などが使用する、予算の承認作業などが続き、今日の作業を終える。


 そうして、僕と結花は、赤城兄妹の家へと向かったのだった。

 「ごめんね、遅くなっちゃって。」

 結花と僕は出迎えてくれた二人に頭を下げる。


 「う、ううん、せ、生徒会の仕事お疲れ様。」

 未来が緊張しながら迎えてくれる。

 その隣には僕と同じ、黙ってうなずいて迎えてくれる、隼人の姿も。


 双子の家は、雲雀川の市街地にある。ここからだと、原田のバレエ教室も、葉月の家にもほど近い、当然だが、駅も市役所もだ。


 双子の両親は、彼らと同じく、アパレル系の仕事を営んでおり、双子の家の隣には、『あかぎファッション工房~お値段1000円から服や靴の手直しも受付中~』という看板が掲げられた双子の両親の経営するお店もあった。


 「お、お店の関係上、え、駅から近いところに、家があるんだよね。」

 と、双子の妹、未来は説明する。兄の隼人も頷く。


 二人に案内され、彼らのアトリエに入る。

 そして、冒頭。アトリエの雰囲気を見て驚いた。


 まるで、服職人の秘密基地だ。


 「あ、改めて、お会いできてうれしいです。橋本君。校内合唱コンクールでピアノ伴奏、して、あ、憧れてました。」

 未来の握手。

 「ぼ、僕も、あ、憧れてました。同じように、最優秀伴奏者賞を取って。」

 隼人も同じように握手をする。


 「ぼ、僕たちは、恥ずかしがり屋で、両親から二人とも同じ高校がいいというので、は、花園学園に。み、未来の方が、少し、ひ、人と話すの慣れてるからというので。」

 隼人が、花園学園に来た経緯を説明する。


 「ああ、そうなんだね。僕は、ここに引っ越してきたばかりで、今年から共学になったことを知らなかったという感じかな。」

 僕も隼人に説明する。

 共感したかのように、納得したかのように頷く隼人。


 各クラスに一人ずつ男子がいる今年。A組の男子は、双子で入学した兄、隼人だった。


 「いっ、一応、デザインで、書いてみたんだけど。何かあったら言ってね。」

 未来はいくつかのメイドのイラストの候補の紙を僕と結花に手渡す。


 それを確認する、僕と結花。

 「うん、うん。完璧!!みんな可愛い。」

 「す、すごい、僕は絵があまり描けないし。」


 結花と僕はイラストを眺める。


 「生地はこういうのを使って。」

 未来の説明の後、隼人が、光沢感がある、黒い生地を持ってきてくれた。


 その生地は本当に黒いが光沢のせいで、光り輝いており、まるで、メイドに着せれば完璧だった。

 何だろうか、これだけでわくわくする。


 「う~ん。でもイラストだけじゃ、わからなくない。」

 結花の言葉に僕は頷く。確かにそうだ。


 「実物とかあるの?過去に作った奴とかで。」

 結花が隼人と未来に話しかける。


 「えっ。あ、あるには・・・・・・。」

 「あるけど・・・・・・。」


 隼人と未来は顔を見合わせる。


 「どうしたの?もしかして変なこと聞いちゃった?」

 結花が二人に迫る。


 「う、ううん、大丈夫。大丈夫。こっちの話。メイド服だけなら・・・・・・。」

 未来は思いっきり首を横にするが・・・・・。


 「本当?じゃあ、見せてよ!!」

 結花が言う。

 「そ、そうだね、実物を見た方がイメージが湧くかも。」

 僕も結花の言葉に続けた。


 隼人と未来は顔を見合わせて、頷いていた。


最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/


 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?※このシリーズの異世界転生編です。⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

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