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88.クラスの出し物


 加奈子の誕生日会から一夜明ける。

 学校に登校して、今日のホームルーム。

 『文化祭の出し物』と黒板の議題に書いてある。


 「よ、よろしくお願いします。今日の司会を担当します。橋本です。」

 僕は前に出て、挨拶をする。

 生徒会役員ということで、今日のホームルームの司会に、僕が選ばれた。


 そして、黒板書記は最近、僕の代わりに生徒会に手伝いに来ている、早織が担当してくれる。

 結花は盛り上げ役ということで、クラスで意見を出し合う側に居たいのだとか。


 さらに言えば、司会も書記も結花と担任の佐藤先生からのご氏名だったりする。


 文化祭は生徒会スタッフとしても活動する予定だが。


 「クラスの出し物は私たち生徒会役員も参加できるよ。というか、準備の段階までは自動的に駆り出されることになりそう。何をどうすればいいか手伝うという感じで。私たちも手伝うことになりそうだから。例年、ここの生徒は結構な割合で、部活とクラスの出し物だったり、準備スタッフとかだったりで、兼任しているの。」

 葉月の言葉に僕は頷く。


 という葉月の言葉はあっても、部活に入っている人は、この時間を利用して、その部活の出し物の方の準備に行くので。クラスの出し物といっても、1年生は、A組、B組、C組で1つ。残りのD、E、F、G組で1つ。と各学年に2つ、学年が上がれば3つの場合もあるという感じで、出し物がある感じだ。


 僕はB組、ということで、A組、B組、C組の合同の出し物をみんなで考えることになる。

 だが、所詮、夏休みが明けたとはいっても、まだまだ、僕たちは1年。

 まして、クラスの壁を取っ払ってのイベントはこれが初。となると。

 思った通りに、座っている席も、クラス毎で固まっている場合がほとんどだ。


 何だろうか。改めてみると、とてもドキドキする。


 「ゲーム大会」

 「焼きそば。」

 「冷やしパイン。」

 出された意見を黒板に書いていく早織。


 幸いにも、意見は出してくれるが、まばらまばらで、多数決をとってもどれも同じような数だった。


 「えーっ、それくらいの差なら、こっちをやりたい!!」

 「マジで?」

 そんな声が飛び出す。

 多数決といっても、一筋縄ではいかない。


 「橋本、橋本。」

 佐藤先生が僕を呼んでくれる。


 「そういう時はな、少し休憩して、皆で相談するのがいいんだよ。そうだなぁ、大体クラスで固まっているから、クラスで固まるの禁止でさぁ。公平にくじで決めるとかできればいいんだけどなぁ。」

 佐藤先生はアドバイスをする。


 一緒にいた、黒板書記の早織も、頷く。


 「少し休憩するので、皆、何がいいか決めてください。ああ、周りにいる人と相談して。ただし、これを機に、クラスの壁を取っ払いたいので、出来るだけ違うクラスの人と話すようにしてください。」

 そんな感じで、僕は2、3分隣の人とかと、交流を持ってもらう機会を作る。


 そして。

 「再開します。何かいい案が出た人は・・・・?」

 僕は言うと。


 「はい、はい、はい、はい、はーい。」

 率先して手を挙げたのは結花だった。


 そして。

 「メイド喫茶がいいと思います!!」


 メイド喫茶、最近の高校の文化祭の定番になりつつある。

 だがやるには結構なリスクがある。


 まず、衣装だ。限られた予算で、ここの出し物に参加する全員分の衣装を用意しなければならない。こういったところも、生徒会をやっているからわかる。

 それに、僕もメイドの衣装を着るのだろうか。そんなことを考えていたが結花が続ける。


 「メイド喫茶にすれば、さっき上がっていた食べ物も大方出せると思うし。みんなの意見を出しやすいと思います。」

 結花はニコニコ笑う。


 「北條、やっぱり、メイド喫茶、意見に出て来ると思ったが、私からは反対の立場で討論したい。というか、先生たちは、この意見が出たら、皆その立場で討論することになっていてな、意外にもメイドの衣装とか、ものすごくお金がかかるんだ。最近放送しているアニメで文化祭でメイド喫茶をやる場面があるが、ああいう場面よりクオリティが下がると思うぞ。」

 佐藤先生は、頷きながら真剣な表情をする。

 だが、生徒たちの自主性は尊重するようで。


 「それでもいいというなら、妥当な案だと思う。北條の言う通り、食べ物は大方意見の出たメニューが出せそうだし。」

 佐藤先生は頷く。


 だが。

 「全然OKです!!むしろ私も生徒会役員なので、予算のことは知ってまーす。」

 そう、結花も生徒会役員。


 「ほら、立って立って。」

 次の瞬間、結花は合図を送る。

 結花の合図で立ったのは、なんと男子生徒。


 今年から共学になったこともあり、この学年は1クラスずつに1人男子がいる。

 「あ、あの、1年A組の男子生徒の、赤城隼人(あかぎはやと)です。」

 そして。さらにもう1人、立ち上がらせる。


 「い、1年A組の赤城未来(あかぎみく)です。は、隼人君の、ふ、双子のい、妹です。」

 なるほど。男女の双子というわけか。

 といっても、2人とも恥ずかしがり屋だ。


 結花は、隼人のポケットからハンカチを取り出し。

 「見て見て。ハンカチ綺麗でしょ?」

 結花のいう通り、そのハンカチはとても綺麗だった。


 マリンブルーの生地をベースに、光沢のある刺繍がいくつもされている。

 何だろうか、見ていて、吸い込まれる。


 「これ、何と、そこにいる、隼人君と未来ちゃんが自分で手作りしたそうでーす。」

 結花は得意げになって言う。


 ここに居る全員の目の色が変わる。

 「えっ、すごーい。」

 「やるじゃん!!」

 そんな声が聞こえる。


 さらに結花は続ける。

 「先生、スマホ使って、良い?二人は服も作れて、作った写真があるんだって。見せてもらいたいから、良いですか?」

 結花は佐藤先生にスマホの使用の許可を求める。

 ちなみに、スマホや通信機器は、授業中や校内では使用禁止だ。


 「ああ。いいよ。」

 佐藤先生は結花の言葉に頷き、隼人と未来にスマホを取ってこさせる。


 「あの、まあ、ちょっと、見せられない写真もあるんだけど。こんな感じで。」

 2人が作った服を見せる。

 いろいろなバリエーションの服が並んでいる。


 「おお、すごーい。」

 「見せて見せて。」

 そんな感じで、盛り上がる。


 「ね、こんな感じで、2人にメイドの服を作ってもらうということでどうでしょうか?予算も買うより安く出来そうです。だって。」

 結花は笑いながら言った。


 「ああ、ちなみに、メニューの考案は、実際にレストランやってる、八木原さんにお願いして、ハッシーと私は、生徒会の仕事をやりつつ、そのサポートで。」

 結花は自信ありげにピースサインを送る。


 ということで、今回も結花の鶴の一声で、満場一致で1年A組、B組、C組の合同でのクラスの出し物は『メイド喫茶』に決定した。

 メニューは黒板に上がっている、『焼きそば』、『冷やしパインなどのフルーツデザート』をメインに作成していくようだ。


 そして、大方役割も決定し、準備が確実に進んでいくようだった。


最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

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