81.遭遇
関東地区合唱コンクール当日。
僕は最終練習を終え、休憩して、トイレに入ろうとすると。
「痛った。」
思わず叫んでしまう。
僕は、後ろの紙を引っ張られ、勢いよく、肩をバーンと叩かれた。
思わず振り返る。
「一体何な・・・・。」
僕は言葉を失った。
「ほう。誰かと思えば、橋本じゃねえか。何でこんなところにいるんだ?あっ?」
皮肉な笑みを浮かばせながら、冷徹な目つきでこちらを見てくる人物がいた。
その人物の名は、安久尾五郎。
ありとあらゆる方法を使って、僕を、前の高校を退学にさせた張本人だった。
安久尾は少しニヤニヤしながら、僕の肩を掴み無理やりトイレに連れ込む。
そして、さらにニヤニヤ笑いながら。
「負け惜しみかよ。妬みに来たのか?そうだよな~。お前はもう、高校中退の中卒なんだらかな~。」
安久尾の言葉に僕は首を振る。
「なんだよ。違うってのか?」
安久尾の言葉に僕は深呼吸する。
黙って頷く。
そうだ、僕はもう、ひとりじゃない。
花園学園のコーラス部のために、伴奏をしなければならない。
心音と風歌が必要と言ってくれたのだ・・・・・。
「ああ。違うよ。安久尾。僕はこのコンクールに出場するんだ。」
僕は堂々と言った。
「んだと?おとなしく、負けを認めろ。お前がここに戻ってくる居場所はねぇーんだよ。」
「・・・・っ。」
安久尾は僕の胸ぐらをつかむ。
「100歩譲って、最後に質問してやろう。コンクールに出場する。どこの高校でだ?」
安久尾はニヤニヤ笑いながら言った。
「は、花園学園コーラス部。」
僕は静かに答えた。
「ヌハハハーッ。滑稽だぜ、橋本!!もう少しましなウソを付けよ。」
バゴーン。
安久尾の手が僕の頬を勢いよく叩く。
「・・・・・・っ。」
僕は倒れこむ。
バン。バン。
安久尾の足が僕の腹部に直撃する。動けなくなる僕。
「男のお前が。」
バン!!安久尾の蹴りが一発。
「陰キャのお前が。」
バン!!安久尾の蹴りが一発。
「花園学園。」
最後の安久尾の蹴りでトイレの床に倒れこむ僕。
「だぁぁれがあんな女子校のコーラス部で歌うかよ。負け犬。せいぜい俺が指揮を振るところを客席から黙ってみてろ。」
安久尾は舌打ちをしながらトイレを出て行った。
「はあ。はあ。はあ。はあ。」
倒れこむ僕だが、立ち上がらないと・・・・。
皆が待っているのに・・・・・。
だが、動けない。
どうすれば、どうすればいいのだろうか・・・・・・。
目には涙を浮かべていた。
出血はしているだろうか。それとも・・・・・。骨折は。
いろいろな所が痛む僕。
呼吸を、呼吸を整えるしかなかった。
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3.只今、構成中。近日アップします。




