表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/120

80.合唱コンクール~関東地区~


 花園学園の2学期が始まる。

 「1年生の半分がもうすぐ迎える。夏休み中に復習は出来たか?頑張るように。」

 担任の佐藤先生の挨拶から始まり、2学期が始まった。


 昨年は暗い気持ちでこの時期を過ごしていたが今日は違った。


 こうして、そうこうしているうちに、2学期最初の週末。

 つまり、関東地区の合唱コンクールを迎えた。


 これで上位ならば、全国コンクールに進められる。

 花園学園のコーラス部は、全国コンクールに進んだのは10年以上前で、最近は県のコンクールでも苦戦が続いている状況だ。

 失うものは何もないと思って、このコンクールに臨めそうだ。

 そして、何だろうか、僕は今までの練習の状況を見て、少し期待している。


 中学校や、前の高校の合唱部もこんな明るい雰囲気の練習はなかった。

 きっと、指揮者の心音、そして、たまにしか顔を出さないが、顧問の藤田先生が明るい雰囲気を作ってくれているのだろう。

 感謝しかなかった。


 関東コンクールの当日は朝とても早かった。

 学園に集合する。


 「おはよう、橋本君。うんうん。流石は私が見込んだだけのピアニストね。コンディションがとても良さそう。」

 学園に集合すると、心音に迎えられる。どこかで聞いたようなセリフだった。


 「おはよう、橋本君。なかなか顔を出せずにごめんなさい。でも、貴方なら、ここまでやってくれると思ったわ。」

 顧問で、花園学園の音楽教師の藤田先生も出迎えてくれる。


 「ごめんなさいね。音楽系の部活で指導できるの私くらいしか居なくて。それで、いろいろ、忙しいのだけど。でも、コンクールで、県外に移動するのだから、私も今日は引率よ♪」

 藤田先生はニコニコ笑いながら、言った。

 流石は、音楽が大好きなお嬢様という感じの人だ。

 きっと、この週末もそうであるが、その他の週末も、忙しいのだろう。


 「は、橋本君、お、おはよう。」

 風歌はどこか緊張して、ドキドキしながら迎えてくれた。


 僕は風歌に頭を下げて、握手をする。

 「おはようございます。お互い、伴奏、頑張りましょう。」


 「う、うん。」

 風歌はドキドキしているが。


 「な~に今から緊張しているの?ほら、橋本君と握手して。夏休み中もいろいろ、泳ぎとか教えてもらって、仲良くなっているでしょ。」

 心音はそう言いながら、風歌の手を取り、僕と握手をした。


 そうこうしているうちに、移動用のバスがやって来た。

 おなじみ、『瀬戸運送バス』だ。


 バスの中から、得意げに史奈が飛び出して来る。


 「みなさ~ん。おはようございまーす。輝君もおはよう!!」

 史奈がニコニコ笑いながら言った。


 「ありがとうございます。生徒会長、バスを出して頂いて。」

 「い~の、い~の、気にしない、気にしない。」

 史奈がニコニコ笑う。


 「生徒会として、皆がどんな活躍をしているか知りたいだけだもの。それに、生徒会メンバーの輝君も、このコンクールに参加するなら、尚更ね。葉月ちゃんや加奈子ちゃんたちも後から、電車に乗って来るってよ。」

 史奈が笑いながら言った。


 瀬戸史奈、正確には‘元’生徒会長で、このバスを運営している、【瀬戸運送】の社長の娘だった。

 故に、コンクール移動で、バスを使うということで、この瀬戸運送のバスをチャーターしたのだった。


 「さあ、さあ、乗って乗って。」

 史奈はニコニコ笑いながら、コーラス部の面々をバスの車内に促す。


 僕もバスに乗り込んだ。

 僕が乗ったのを確認して、史奈は先ほどとは変わって、真剣な表情をし、運転手と少し会話をした。


 「承知しました。お嬢様。」

 バックミラー越しに、運転手の口元がこう動くのを確認できる。

 きっと、運転の工程の打ち合わせなのだろう。


 全員が乗り込み、バスの扉が閉まり、バスが発進する。

 バスは高速道路を駆け抜け、1時間半ほどで、隣県の会場へ到着。


 バスを降り、受付を済ませ、控室へと向かう僕たち。

 その控室で、準備運動と発声練習を実施して、最終確認へ。


 風歌が伴奏する課題曲、そして、僕が伴奏する自由曲の順番に最終確認の練習が行われる。

本番と同じで通しで練習をしていく。


 一通り、通し練習が行われる。

 「うんうん。良い感じ。本番もこの調子で行きましょう。」

 心音がとてもいい感じでまとめて、練習を終了する。


 心音は僕たちに歩み寄り。


 「ありがとう、橋本君。伴奏を引き受けてくれて。」

 心音は改めて、僕に頭を下げる。


 「う、うん。あ、ありがとう。」

 風歌も同じような感じだ。


 「風歌は緊張しているかもしれないけれど、指揮を見たり、周りの歌を聞いたりして併せよう。よろしく。」

 心音は風歌に向かってピースサインを送る。


 「それじゃ、少し休憩してもらって大丈夫。むしろ、休憩してきてほしいな。少しリラックスするためにも。」

 心音の言葉に甘えて僕は席を立ち、控室を出た。


 「大丈夫よ。本番もしっかりね。」

 一緒に見ていた藤田先生に声をかけてもらう。

 僕は頷く。


 そうして僕はお手洗いに行きつつ飲み物を買いに行くことにした。


 館内のフロアマップを見て、ゆっくりではあるがお手洗いにたどり着いた。

 何だろうか、本番前、緊張すると少しトイレに行く回数が増える。

 加奈子のバレエの時もそうだった。いい意味なのだろうか。


 だが、トイレに入ろうとしたその時。


 「痛った。」

 思わず叫んでしまう。

僕は、後ろの紙を引っ張られ、勢いよく、肩をバーンと叩かれた。




最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

少しでも続きが気になる方はブックマーク登録と高評価、いいねをお願いいたします。


評価は一番下の【☆☆☆☆☆】マークからできます!!


本当に、皆さんのリアクションが励みになっています。ありがとうございます。




●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/


 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?※このシリーズの異世界転生編です。⇒なかなか更新できず、すみません。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/


3.只今、構成中。近日アップします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ