77.匂いに誘われると・・・・・。
早織と藤代さんと僕は、朝の散歩を終えて、茂木の別荘に戻ってきた。
やはり、前日は夜のかなりの遅い時間まで話していたためか、やはり別荘の中はとても静かだった。
伯父の農家の手伝いをしている僕、そして、店の準備を朝からしている早織は早い時間に起きれたが、世間は夏休み。
やはり、朝練がありそうな史奈やマユも休みだと思って寝ているようだし、元々朝が苦手な加奈子はさらにぐっすり、そして、前日は大いに酒を飲んでいた原田と吉岡もぐっすりと寝ていた。
「まだ、時間的にゆっくり出来そうですね。」
藤代さんがそういうと。
「ううん。」
早織が首を横に振る。
「今から全員起こして見せるから待っててね。」
と、早織はこちらにニコニコしながら表情を見せる。
「コンビニって近くにある?」
早織は藤代さんの顔を見る。
「はい。確かすぐそこに。」
藤代さんは頷く。
早織は冷蔵庫を開けて、昨日の食材の残りを確認する。
「それじゃあ、頑張りましょう。コンビニまで案内してくれるかな?」
「は、はい。」
早織は笑って藤代さんに言う。
二人は、昨日砂浜で仲良くお城を作っていたメンバー。少し仲良くなったのだろうか。
そのお城は、僕がスイカ割で破壊してしまったのだが。
藤代さんの案内で、コンビニにたどり着く。
パンと必要な食材を多めに買って、コンビニを出る。
そうして、再び茂木の別荘に戻ってくると、やはり全員ぐっすりと眠っていた。
「それじゃあ、見ててね。」
早織はそう言って、張り切ってキッチンへ向かう。
早織は、手早く昨日の残りの食材と、先ほどコンビニで買ってきた食材を包丁を使って切っていく。
さらに下味をつける。
慌てた僕は早織を手伝う。
藤代さんも、それに続くが、彼女は早織の手さばきに目を丸くしている。
「ああ、ごめん、そしたら、これ、レンジで温めてもらってもいい?」
早織の手際の良さについて行くのがやっとの僕、渡された材料をレンジに持っていく。
「す、すごいです。こんなことができるなんて。」
藤代さんは早織に向かってどんどん心を開いていく。
「ふふふ、慣れれば誰でもできるよ。教えてあげよっか。」
早織は藤代さんに向かって言う。
「は、はい。お願いします。」
早織は頷き、藤代さんに料理を教えていく。
「輝君、そしたら、お皿出して。」
僕は頷き、テーブルの準備をする。
そうして、みるみるうちに朝食がテーブルに並べられていった。
「す、すごいです。魔法みたいです。」
藤代さんはそう言って、早織に料理を教えてもらうが。やはりどこか、ぎこちなさを感じている。
「ん?この匂いは・・・・・。」
居間で寝ていた原田の声がする。そして、原田が目をこする。
「ふわぁぁぁぁ。」
原田は起き上がり、目の前のテーブルに並べられたものを見ると一気に表情を変えた。
「うぉぉぉ。すっげー。君天才だね。さすが、定食屋の娘ということはあるよ。一気に目が覚めた。」
原田は興奮気味にテーブルに着く。
「ん~、どうしたんだよ。」
それに続いて吉岡も起きてきたが、早織の朝食に目を丸くする。
「うぁ~お。すごい、すごいじゃん。」
吉岡はそう言いながら、親指を立てて早織にアプローチする。
朝食の匂いに誘われると・・・・・・・。
「ふわぁぁ。いいにお~い。」
「おお、うわさでは聞いていたけど、本当にすごい。」
風歌と心音が起きてくる。
「あらあら、さすが八木原さん。」
「やっぱりすごいや、一気に目が覚めた。」
「うぁぁ。私も負けられないね。」
史奈、結花、そして葉月も匂いに誘われて起きてくる。
さらには何と。
「美味しそうな匂い。最高。」
なんと朝が苦手な加奈子も起きて来た。
食べ物の匂いにはかなわないようだ。
流石は早織だった。
全員が起き、全員がテーブルに着き、いただきますと声を揃えて朝食を食べる。
早織の料理はどれも格別だった。
中でも驚いたのは藤代さんだった。
「す、すごいです。いつもここに来るとき、朝食は皆さん寝ているから、さっき言ったコンビニで済ますのですけど。あ、ありがとうございます。」
藤代さんは目の色をキラキラさせながらお礼を言った。
「いえいえ。お粗末様でした。」
早織は少し照れながら言った。
言われてみれば、バレエ教室の原田、吉岡、そして、藤代さんは早織の料理を初めて食べる。
勿論、原田と吉岡も、最初の一口目からものすごく、興奮状態だった。
「いやいや、とてもすごいよ。」
「本当、いい友達を加奈子ちゃんと少年は沢山持ってよかった。」
吉岡と原田はニコニコしながら、ガツガツ食べていた。
「そんな、私は、皆さんみたいに、バレエで踊れるわけではないですし・・・・・。」
早織はそう言うと。
「いいや、人それぞれに才能はあるさ、良いところを大切にしなよ。」
原田はそう言って、早織の肩をポンポンと叩いた。
こうして朝食を済ませて、僕と早織と藤代さん以外の先ほどまで寝ていたメンバーが皿洗いを担当し、別荘で迎えた朝が過ぎていった。
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3.只今、構成中。近日アップします。