71.海産物で晩餐~女の子たちの水着回、その5~
海での海水浴を終え、茂木の別荘に戻ってきても僕たちは水着のままであり、軽くシャワーを浴びて、寒く感じる人は水着の上から、パーカーを羽織るなどをしていた。
かくいう僕も、肌の上から直接上着を羽織る。
「ははは。流石に夏でも、海に入ってからの、夕方、夜は寒いよな。」
原田はそう言って、僕の肩を叩きながら笑う。
茂木の別荘には家は勿論広いのだが、庭ももちろん広く、プールまで併設されている。
僕たちはそのプールに水を入れて、ナイトプールを楽しみつつ、庭でバーベキューをすることになった。
バーベキューは肉や野菜が定番、勿論そう言った食材も用意されているが。
ここは海。
海産物の食材の方が、肉や野菜よりも多く用意されていた。
さらに、寿司や刺身まである豪華ぶり。
「さあさあ、皆、食べようぜ。」
吉岡はそう言って、僕たちを鉄板の周りに案内させ、テーブルにお皿をそれぞれ置く。
「せーっの。」
「「「「いただきます!!」」」」
全員の声が揃って・・・・・・。
女の子だけだからと思っていたが大間違い。
みんな全員、食べ物を取り合う。
「あっ、ごめん、輝君。大丈夫?足りなかったりする?」
葉月が声をかけてくれるが。
「あっ、うん、楽しく食べてる。」
僕はそう言って、自分の分が盛られているお皿に視線を向ける。
肉に、ホタテ、野菜に、イカ。
幸いにも、沢山鉄板に具材が焼かれていたようで。食べ物には困らない。
僕は慌てて他を見回すと・・・・・。
バレエスタジオの面々、藤代さん、原田、そして、吉岡のお皿が少ない。
「す、すみません、僕たちなんか、ガンガン取っちゃって。」
僕は、バレエ教室の面々に頭を下げる。
「ふふふ。橋本さんは優しいのですね。そして、さすがは、高校生の殿方と、元女子校の面々です。」
藤代さんは、そういって辺りを見回す。
なるほど、元女子校。そうは言っても男子の数は少なく、クラスに僕一人だけ。
そうなれば、こういう場面では男気は出てしまう。
「それに私も、皆さんがそうであることが分かれば、次からは、たくさん取っちゃいます。」
藤代さんは笑顔を見せた。
「良いんだよ。輝君。遠慮しないで。」
吉岡はそう言いながら、どんどんと鉄板に具材を投入して焼き上げていく。
「そうさぁ。少年。私たちには秘密のコレがあるんだよ!!だから食べ物なんか少なくていいのさ♪」
原田はそう言いながら、ビニール袋を持ってきて、テーブルにドンっと置く。
ビニール袋の中には、ビール、カクテル、そして、日本酒の瓶とありとあらゆるお酒が並ぶ。
当然だが、僕たちも考慮して、ジュースもある。
が、明らかにお酒の割合とジュースの割合が、ほぼ同等。
年齢的にもお酒が飲める人間は原田と吉岡しか居ないので。ここにある飲み物の約半数は原田と吉岡のものだった。
「そういうことだ、少年。」
ドヤ顔で飲み物を指さし、肩をバシッと叩く原田。
「あたしとヨッシーはこっちがメインだ!!」
「そうそう、普段、生徒たちやバレエの体型で気を遣っている分、今日くらいしか楽しく飲めないからね。」
原田と吉岡はウィンクしながら僕に言った。
「さあ、皆、飲み物をジャンジャンついでくれ。当然だが、お酒は飲むなよ。」
原田はそう言って、ジュースの入ったボトルを指さし、僕たちは各々好きなものを紙コップについでいく。
「では、心を揃えて、君の瞳に~っ。」
原田は思い切ってノリノリで言う。
「カンパーイ」
「「「「カンパーイ!!」」」」
声に合わせて僕たちは乾杯をする。
海産物は本当に美味しく、さすがは海まで来たもんだ。
「あの、ありがとうございます。茂木先生にも、よろしくお伝えください。」
僕は改めて、原田にお礼を言う。
そして、ここの別荘の主である。茂木にもお礼を言わないといけない。
「いいって、いいって。少年。」
原田はそう言って、にこやかに笑う。
これまでにないほどの笑顔だ。
「そうだよ。輝君。僕たちは、ずっと前から、それこそ中学生のころからここに来ているんだよ。かれこれ、20年くらい連続で。」
「そうそう♪ってヨッシー、しれっと20年というワード使って、年齢バレたらどうするのさ?」
「あっ、ごめん。」
笑いながら楽しい会話をする原田と吉岡。
「まあ、何はともあれ、君に来て欲しかった。茂木先生もそういっているよ。むしろ、毎年来て欲しいって茂木先生がね。そういうことだ。少年。」
原田は笑いながら親指を立てて、一気にビールを飲み干す。
「いやぁ。やっぱり、今日のご飯にはビールでしょ♪ガンガン酒持って来い!!」
原田はお酒を飲むたび笑い顔になる。
原田に勧められ、吉岡もお酒をガンガン飲む。
「みんなは、飲んではいけないよ。良いかな?」
吉岡も口元がほころび、ニヤニヤしながら言う。
「「「「はーい。」」」」
僕たちも一緒になって、2人の酔っ払いに呼応するかのように、酔っぱらっているフリをした。
一斉に手をまっすぐに挙げて返事をする僕たち。
そうして、各々のお皿に盛りつけられた食事を共にする。
「本当に、美味しい。来てよかった。」
僕がそう言うと。
「よかった、輝に喜んでもらえて。」
「はい。私も大勢でここに来るのは初めてで、すごく楽しいです。」
バレエ教室で、前にもここに来たことがある、加奈子と藤代さんが言う。
「輝、沢山食べて、まだまだ、余っているの、原田先生たち、気合を入れて、いつもより多く食材を買ってきちゃったから。」
加奈子はそう言って、炭火が入った鉄板に、まだまだ焼かれていない具材を乗せて残りの食材を焼き始める。
「ふふ、私もお手伝いしますね。といっても、先ほど皆さんがかなり食べる人なので、取り損ねてしまったので。」
藤代さんも、ニコニコと笑いながら、加奈子と一緒に、鉄板の焼き担当を実施する。
「ああ、ごめん。僕もやるよ。」
僕もそういって、鉄板に、食材を乗せていく。
「おーっ、すまなーい。しょうねーん。私たちは、きゅーけいで。」
原田は、酒を片手に近くの椅子に座り込む。
原田と吉岡はすでにお酒の缶をいくつも開けていた。
そうして、鉄板に盛り付けられた食材は、焼き上がり、皆次々と取っていく。
今度は藤代さんも無事に出遅れずに食材を食べれたようだ。
「美味しいです。やっぱり、毎年楽しみにしていてよかったです。」
藤代さんがニコニコ笑う。
こうしてみると奥ゆかしさもある、大和撫子という感じだ。
「すごい美味しいね、輝君。」
葉月がはしゃいだように言う。
「ありがとうね。食材焼いてくれて。」
史奈はニコニコ笑いながら、腕を僕の背中に回す。
「あーっ、会長ずるい。」
葉月が笑う。
その隣で、結花、加奈子、さらには早織もこちらを見て、恨めしそうな顔をする。
「今度は私が食材焼くね。手伝ってくれると嬉しい。」
早織がそう言って、僕の顔を見て、鉄板に向かう。
僕は頷き、鉄板に向かう。
「加奈子会長、醤油とか塩ってあったりしますか?」
早織の言葉に、加奈子は。
「冷蔵庫とかにあるかな?もしかしたら、そっちの袋の方に。」
加奈子は原田と吉岡の買い物袋を指さす。
確かにそこにはいくつか調味料があった。
「ありがとうございます。」
早織はそう言いながら、調味料を取り出し。
「ふふふ。こうして焼く前に味をつけると美味しくなったり。特に海のものは。」
そういいながら、短く下ごしらえというのだろうか、下味をつけていく早織。
そうして、焼きあがった食材は。
何だろうか。とても美味しい。
流石は定食屋の娘なのだろうか。下味もそうだが、焼き加減もうまく調整されている。
「おっ、すっげー、いい香りがしたから、とんできたぜー。」
「なになに?おいしくなったんだってー?」
原田と吉岡も、この味と匂いに反応してか酒を飲むのを辞めこちらに飛んできた。
こうして、食材を調整したりして、僕たちの晩餐が進んでいった。
最後まで、ご覧いただきありがとうございます。
少しでも続きが気になる方はブックマーク登録と高評価、いいねをお願いいたします。
評価は一番下の【☆☆☆☆☆】マークからできます!!
本当に、皆さんのリアクションが励みになっています。ありがとうございます。
●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。
1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n1995hi/
2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?※このシリーズの異世界転生編です。⇒なかなか更新できず、すみません。
https://ncode.syosetu.com/n7938ht/
3.只今、構成中。近日アップします。