69.砂のお城は~女の子たちの水着回、その3~
久々更新です。お待たせしました!!
皆のところに戻ると、素晴らしい作品ができていた。
美しい砂のお城だった。
「素晴らしいわね。誰かが済んでいるよう。」
史奈がそれを見る。
その言葉を聞いて、ニコニコ笑う二人。
早織と藤代さんの姿だった。
「「あ、ありがとうございます。」」
二人の声が揃う。
「ああ、八木原さん、ごめん、橋本君、取っちゃったね。」
心音がすまなそうに言う。
それを察した風歌がすまなそうに頭を下げる。
「ああ、別に、大丈夫です。藤代さんともおしゃべりできたし、それに橋本君も。」
そう、僕は、その砂のお城に見とれていた。
「す、すごいよ。早織。こんなこともできたんだね。」
僕は早織の眼を見る。
「まあ、皆よりは泳げないから、一応。でも、ほとんど作ってくれたのは藤代さんなので・・・・・。」
早織はすこし照れたように言う。
「あ、あの・・・・・。その・・・・。八木原さんがここまで手伝ってくださったから、綺麗にできたのです。見栄えに気を遣っていただいて。ここら辺の装飾とか。」
藤代さんは指さす。
うん。流石は、定食屋の娘である。見栄えは少しでもいい方がいい。
砂ではあるが、その砂のお城の装飾はまるで、何か色でもついているよう艶やかなものであった。
「とても綺麗、すごいよ。早織、そして、藤代さん。」
僕は素直に二人に伝える。
「そ、そんなことないよ。藤代さんが本当に。」
早織は僕の眼を見て恥ずかしそうに言った。
「あ、あの、本当に八木原さんが・・・・。」
藤代さんもお互いに謙遜し合っている。
ここが本当に二人のいい所だ。
「住みたいわね。こういうところに。」
史奈が笑っている、そして、僕の方を見る。
「あっ、会長、ずるい。私も住む。」
葉月がそう言いながら、ニコニコ笑っている。
「ひ、輝、私も住んでいい?」
加奈子は僕の肩をポンポンと叩きながら、頷く。
「そ、そうですね。早織と、藤代さんに決めてもらおうかな、2人が良ければ・・・・・・。」
僕は早織と、藤代さんの方を見る。
早織は一瞬ためらったが、藤代さんが。
「はい。皆さん構わないです。このお城、結構大きいので。」
藤代さんがそう言ったので、早織も、彼女に同情せざるを得なかったのだろう。
早織もこくりと頷いた。
「わーい。やったぁ、決定!!」
葉月が自信満々な顔でピースサインを送る。
「ふふふ。良かったわ。」
史奈も安心した表情を見せる。
その他の皆も、ほぼ同じだ。
「おーい。お前たち!!小休止で、ゲーム大会するぞ!!」
原田が大声で叫び、手招きをしている。
原田の手にはスイカが抱えられている。
原田と一緒に居た吉岡の手には棒と細長いタオル。
二人とも楽しそうな表情でこちらを見ている。
「楽しそうで何よりだぞ。少年。」
原田はそう笑いながら、僕に微笑みかけてくれる。
「さあ。海でのお楽しみだぞ!!」
一緒にいた吉岡は笑いながら言っている。
原田はスイカを砂浜の上に置く、それを見る僕。
「というわけで、最初は橋本君から行こう。」
吉岡はそう言って、僕に原田の置いたスイカを指さし、持っていたタオルで目隠しをする。
「ヨッシャ―!!行くぞ、少年!!」
「「そーれっ。」」
原田と吉岡は勢いよく、僕の身体をぐるぐる回す。
何も見えず、目が回る僕。
「元気よくスイカ割と行くぞ!!」
そういって、僕の身体を回すのをやめる原田と吉岡。
まずい、本当に酔いそうだ。
何も見えなくて、ドキドキする。
「輝君、頑張って、こっちこっち~。」
葉月の声がする。
葉月は頑張って手招きをしているようだ。
「ひかるん、こっちだよ。頑張れ!!」
連れてマユの声。
葉月とマユの声のする方に行く。
「あっ、輝、そっちじゃなくて、もっと右右。」
加奈子の声。
「いいよ、そのまま、そのまま。ほらほら、風歌も声かけなきゃ。」
心音の声。
それに呼応するかのように、風歌の声が聞こえる。
恥ずかしがっているのだろうか、他の声にかき消される。
「いいよ、いいよ。いけぇ~!!」
僕はいくつかの声に反応して、棒を振ったが、見事に空を切った。
「ハハハ、ドンマイだな。最初にしては良い所まで行ったぞ。良かったな。」
原田はそう言って、目隠しを取ってくれた。
残りのメンバーもスイカ割を楽しむ。
だけど・・・・・・。
原田と吉岡の、目隠しをしてからグルグル回される行為がとてもエグい。
さすがはバレエ経験者。
バレエを経験していない人は、これにズタボロにされる。
「あれ~、ねえ、輝君。どこ~?」
そういいながら、スイカとは逆の方向へ進む葉月。
目隠しを取った後は、僕たちが遠くに居ることに気付き、顔を真っ赤にする。
「な、何も見えないわね。どこかしら。」
回転の感覚が落ち着くまで待つ史奈。
「会長、こっちですよ~。」
「ほらほら、会長、しっかり。」
葉月、加奈子は笑いながら史奈のサポートをするが・・・・・。
案の定、史奈のスイカ割も空を切った。
「うぁぁぁ。」
「キャー。」
目隠しにおびえる、風歌と、早織。
そして、マユ、結花、そして、心音でも、スイカ割の棒は空を切った。
「超ムズクね。」
結花が言う。
同じように頷くメンバー。
「よーし。」
加奈子が満を持して深呼吸する。
「お願いします。」
加奈子はそう言って原田と吉岡の元へ。
目隠しをされる加奈子。
そして、グルグル回される。
ふうっ。と深呼吸する加奈子。
少し加奈子の身体が上下するのを見てドキドキする。
着ているものが、水着の布一枚だろうか。
慎重にだが、まっすぐに歩を進める加奈子。
凄い、スイカ迄の距離がだんだんと縮まる。
そして。
「えーいっ。」
加奈子が棒を振ると。
バーン。
加奈子の棒はスイカにクリーンヒットした。
「ヨッシャー!!」
「す、すごい。」
「すげー。」
僕たちは目を見開いたかのように喜ぶ、そして、僕は思わずガッツポーズを決める。
「ふう、よかった。」
加奈子は落ち着いた表情に戻る。
「さすが加奈子。」
葉月が笑う。
「うん、とてもすごい。やっぱり、バレエをやっているから目が回らないんだろうな。」
僕は加奈子に向かって微笑む。
「そうだね。それに、原田先生のあれには慣れているから。ね。」
加奈子は藤代さんの方を見る。
藤代さんは笑って頷く。
「はい。ああいうふうに、昔はよくいじられてました。」
藤代さんはそう思いながら、どこか懐かしそうにこの光景を見つめていた。
「さすがは加奈子ちゃん。ほら、もう一度チャンスをやるぞ、少年、まだスイカが割り切れていないから、いいとこ見せるぞ。」
原田は親指を立てながら、僕と加奈子の元に駆け寄ってくる。
「ちょ、ちょっと待ってください。」
僕は戸惑ったが。
「ほらほら、頑張れ頑張れ。」
原田はそう言って、僕の両手を引っ張り、再び吉岡のいるスタート地点へ。
再び、目隠しをされる僕。
「では、いつもより多く回したいと思います。」
原田はそう言って吉岡の方を向き、原田と吉岡は笑って頷き。
先ほどよりは比べ物にならない勢いで、僕の身体を思いっきり回す。
さらに何も見えないため、思わずふらつきそうになる僕。
「さあ、勇気をもっていってこい少年。」
原田の声に反応し歩を進める。
「頑張れー。」
「輝、ファイト。」
皆の声が聞こえるが、僕はかすかに聞こえる程度。
先ほどのグルグル回されたせいで、何も聞こえてこない。ただただ、目が回っている。
一歩、一歩、ふらつきながら。
「輝、そっちじゃない。」
「輝君、待って、そっちは・・・・・。」
葉月と加奈子の声が甲高くなる。
だが、僕は正確に聞き取れず。
その声のトーンの高さから、スイカが近づいているものだと思い。
「えーい。」
僕は棒を振った。
バーン!!
音が鳴る。
やった。やった。スイカに命中した。
「「「キャーッ」」」
それと同時に悲鳴が聞こえる。
「あちゃ~。」
そしてため息も聞こえる。
急いで原田が駆け寄り。
「ああ。やってしまったかぁ。少年。」
原田もため息、急いで原田は僕の目隠しを取る。
そして、僕が見た光景は。
それは、粉々に崩れ落ちていた、早織と藤代さん手作りの砂のお城だった。
跡形もなく見るも無残に破壊された砂のお城。
「ご、ごめんなさい!!」
僕は頭を下げる。
「ふふふ。お気になさらず。また作り直せばいいのです。」
藤代さんは笑っている。
「あ~あ。輝君、初のマイナスポイントだね。」
葉月はそれを見て笑っている。
皆も同じ顔だった。誰も怒っていないようだ。
「確かに、悲しい思いもあるけど、その分楽しめたから。」
早織はそう言いながら僕を慰めてくれる。
なんだか申し訳なさでいっぱいだった。
「ごめん、本当にごめん。早織。藤代さん。」
僕は謝るが、皆笑っていた。
「さあ。許してもらえたことだし、仲直りのスイカと行きましょう。」
史奈がニコニコ笑いながら入ってくる。
「そうだぞ。ほら。」
原田と吉岡は持っていたナイフで、スイカを切り分け、皆に配っていた。
「残念だったな。でも、御疲れ様、ナイスファイトだったぞ。」
僕は吉岡からスイカを受け取った。
「ありがとうございます。」
仲直りのスイカはとてもいい味がした。
皆が笑っている。
最後まで、ご覧いただきありがとうございます。
少しでも続きが気になる方はブックマーク登録と高評価、いいねをお願いいたします。
評価は一番下の【☆☆☆☆☆】マークからできます!!
本当に、皆さんのリアクションが励みになっています。ありがとうございます。
●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。
1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n1995hi/
2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?※このシリーズの異世界転生編です。⇒なかなか更新できず、すみません。
https://ncode.syosetu.com/n7938ht/
3.只今、構成中。近日アップします。




