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6.クラスメイト

■改訂履歴

・初めて出てくる登場人物、固有名詞にフリガナを入れました。


 「お帰り、輝。高校はどうだった?」

 伯父が聞いてくる。


 僕は正直に、伯父に伝える。


 「あ~、確かに。俺たちの頃は花園女子学園だったな。何年か前に共学になるという話が一瞬出て、すっかり忘れていた。まさか今年から共学になったとは。」

 「ごめんね、私もそうなのよ。何年か前に共学になっていたと思ったのだけど、今年からとは、知らなかったなあ。」


 伯父たちには子供が居ない。

 だから高校受験とかそういったものは、20年以上前に経験しただけで、すっかり受験とは縁遠く、共学になるというニュースを耳にしても、いつから共学になったか覚えていなかったのだろう。確かに一理ある。


 まあただ、伯父たちに心配はかけたくないし。理事長のサポートもあるのだから、大丈夫である。


 「でも、大丈夫だと思う。理事長がサポートしてくれるし。」

 僕は素直に伯父たちに言う。


 「そうだな。あの理事長なら安心できそうだね。」

 「そうね。あの方がフォローしてくれるなら、安心だわね。」

 伯父と伯母が納得したように言う。


 「思うように、あそこ、【花園学園】で頑張ってみろ!!何かあったらいつでも相談しろ。我慢なんかするなよ。お前はもう十分すぎるほど、苦しんだんだからな。」

 伯父が僕の肩に、手を乗せる。

 僕はそれに頷く。




 翌日。高校に入学して2日目。

 理事長のサポートはあるといはいえ、緊張した面持ちで、教室へと向かう。

 教室に入るなり、僕に向けてくる視線を感じる。

 どうなのだろう。

 「うぁっ。男子が来た~」というような感じなのだろうか。


 やはり少し緊張してしまう。

 今日は午前中は入学時点のテストと諸々の身体測定、午後は部活紹介の予定だ。


 午前中の日程を終えて、昼休み。

 やはり女子しかいないので教室で、1人で弁当を食べるくらいしかできない。


 だがしかし、予想外のことがここで起きる。

 「ねえねえ。橋本君はどうしてこの高校にしたの。男子だよね~。」

 クラスメイトが一人、声をかけてきた。

 彼女はいかにも珍しそうに声をかけてくる。

 風貌は少しギャルっぽく、かといって、髪の毛は染めているわけではないが、その容姿は、いかにもクラスの中でも一軍に入れるレベルの人だった。

 きっと、興味があるのか、自分たちのテリトリーに男子が入ってくるのが嫌で、誰かの指示でこちらに来たのか。そのどちらの可能性もありうる。

 案の定、彼女の手にはスマートフォンを持っている。


 「えっと、最近、こっちに引っ越してきて、ある人から紹介されたんだ。だから元女子校だった過去とか全然知らなくて。」

 理事長から紹介されたと口が裂けても言えず、ある人と誤魔化してしまったが、ここは想定の範囲だろう。僕もそういうことにしておきたい。


 「へぇ。そうなんだぁ。前はどこに住んでたの。」

 前に住んでいた県の名前と、反町と名のつく、地名を伝える。

 口にするだけでも悔しいが、嘘をついても何の得にもならない。


 「エッ。東京から超近いじゃん。東京とか遊びに行ってたの。だからちょっとかっこいいんだ。」

 クラスメイトはとても驚く。


 確かに前に住んでいた、反町市ところは、東京圏内であり、私鉄の快速急行であれば一時間以内で行ける距離だった。


 「まあ、僕は陰キャで家にこもっていたけど、お父さんは今も東京の会社に勤めているよ。僕はこっちの伯父さんの家に居候させてもらってる。」

 まあ、前住んでいた場所と、どんな家族かくらいは話しても問題ないだろう。

 退学になった経緯がバレなければ、居心地は悪くないし。

 これ以上、嘘をつける性でもないし、このクラスメイトには、ウソがばれてしまうと思ったからだ。


 「へえ。すごいね!!クラスに男子が一人いるって知らされていたけど、橋本君でよかった。ちょっとかっこいいし、都会っ子ぽいし。」

 クラスメイトは笑顔になる。


 「ありがとう。御世辞でも嬉しいな。」

 僕は彼女に話す。


 「ううん。御世辞じゃないよ。この高校は少なくとも東京よりは田舎でさ~。ほかのクラスの男子も見たけど、なんかイマイチって感じで。実は、橋本君も、この学年の男子の中で、一番、近づきがたい雰囲気があったけど、ごめんね。いい人で良かった。」


 彼女の話は笑顔になる。

 「ありがとう。僕もすごくうれしい。」


 「あ、あたし、北條結花(きたじょうゆいか)。よろしくね。」

 結花は僕に向かってウィンクする。


 「ああ。よろしく。橋本輝です。」


 「うん。話せてよかった。ハッシー君とかで読んでもいい?」

 「うん。別に大丈夫だけど。」

 僕は頷く。


 「ありがと。じゃ、ハッシー君。これからよろしく~。」

 結花は手を振って、明らかにクラスいいや学年の一軍女子の集団に加わっていった。


 いい人か。

 まあ、とにかく、初めて話しかけてもらったのだ。感謝しないといけないな。

 僕は、これからクラスのどの階層に所属するかわからないが、話しかけてくれるだけでもありがたかった。


 その他にも、男の子というだけで珍しそうな眼をしており、時にはほかの学年の人まで、今年から共学になり、男子生徒の様子を見に来ている素振りを見せていたが、入学してきたばかりだし、気にしないことにした。



最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

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