表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/120

58.再会は偶然にも


 「す、すごーい。ホントに、ホントにひかるんだぁ。」

 マユこと、熊谷(くまがい)真由子(まゆこ)がそこに立っていた。


 「マユこそ、なんでこんなところに?」

 「ふふふ。陸上部の合宿。」

 マユは、嬉しそうに言った。


 「そ、そうなんだ。」

 さすがに、女子の陸上競技部なら、先ほど抜かされても仕方がない。

 「あっ、合宿の練習中だから、あとでね。どこのホテル泊っているの?」


 僕は、宿泊しているホテルの名前を告げる。

 「えっ、私たちのホテルとすぐそばじゃん。この後、少し、休憩だから、走り終わったら行くね。だから、ひかるんも早く来てね。そこの池で、折り返しでしょ?」


 「あ、ああ。うん。わかった。」

 マユは僕にあった喜びを爆発させたからだろうか、明らかにペースを上げて走り去っていった。


 なんだ、バレエ団じゃなかったか、という安心感と、こちらもマユに会えた喜びがあるのか、ペースが上がっていた。


 池を折り返して、再び、僕たちの泊っているホテルへ。

 折り返すと、原田のバレエスタジオの縦長の、大集団とすれ違う。


 みんな必死に、マラソン、つまり、持久走をしているようだ。


 ホテルに戻る、僕。

 そこには原田と、マネージャーで付いてきた、史奈がホテルに待機していた。


 「よーっ、少年、結構早いな。流石は男子だね。」

 原田の声。そして。


 「おっ。輝君お疲れ。結構早かったね。というか、私より速いんじゃない?」

 史奈が声をかけてくる。


 「は、はい。まあ、息が切れそうですが。」


 肩で息をする僕、久しぶりにハイペースで飛ばし過ぎた。


 「まあ、それは良いんだけど。あの子・・・・。一体誰?」

 史奈は視線を変える。そして、表情も少し曇る。

 視線の先には先ほど出会った、マユの姿があった。


 マユのさらに背後には、マユの所属している陸上部の部員たちが、各々、休息をとっている。


 「ああ。私も気になった、話を聞いてみると、君を待っているようだが。」


 待っているマユを不思議に思い少し、声をかけたのだという。


 「ああ。昔の知り合いなんです。どうやら、所属している陸上部の合宿で、そこの、ホテルを利用しているようですね。」

 僕はそう言って、マユの元に駆け寄る。


 「おーっ。ひかるんお疲れ。結構、速かったね。」

 マユは声をかける。


 「ああ。久しぶりに、マユ、お前と会ってな。少し飛ばし過ぎた。」

 「ふーん。毎回こんな感じならよかったんだけどね。ところで、何で、ひかるんが来てるの、運動部?」


 「いいや、バレエ団の合宿の手伝い、一応、ピアノを弾くスタッフ。」

 「あー。だから、折り返した時、小学生の女の子たちが行列で走ってたんだ。やっぱり、ピアノ上手いもんね!!」


 マユはとても興奮しながら笑っている。


 「知り合いか?少年。」

 原田が、駆け寄ってくる。


 「輝君。一体、どういうこと?」

 史奈は少し難しい表情をしながら、いや、にやにやと笑っている表情も若干しつつ、こちらに来る。


 「あー。この子は、熊谷真由子さん。小学校4年生くらいまで、保育園からずっと近所に住んでいて、仲が良かったんだ。」

 僕は冷静になってマユを、原田と史奈に紹介する。


 「へえ。つまり、幼馴染か。」

 「ふーん。輝君。幼馴染が居たんだ。」


 原田と史奈がニヤニヤと笑っている。


 しかし、原田は急いで、仕事に戻った。バレエ団の生徒たちがゴールしてくるのに気付いた。

 続々と、ゴールしてくる生徒たちを迎える。


 沈黙が流れる、僕と、史奈、そしてマユ。


 だが、その沈黙は一瞬で破られる。

 ゴールしてくる生徒の中に加奈子もいた。


 「はあ、はあ、輝。凄く速い。やっぱり男の子って・・・・・・・。」

 加奈子は史奈の他に、もう1人いる女子の存在に素早く気づいた。


 「ひ、輝。この子、一体?」

 加奈子はキョトンとしながら、僕を見る。


 「ふふふ。加奈子ちゃん、輝君に幼馴染が居ました。ただいま、絶賛、感動の再会中。」

 史奈はテヘペロ。という顔をしながら、加奈子に説明する。



 「えっ、そうなの?輝。なんかすごい。」

 加奈子は史奈の説明に顔を真っ赤にしながら、僕の腕をしっかり握る。


 「す、すみません。隠すつもりはなかったのですが、こんなところで会うなんて・・・・・。思ってもみなかったので・・・・。」

 僕はすぐさま謝る。


  「別に、責めないわよ。ただ気になっただけ、世の中って狭いわね。」

  「う、うん。輝。良かった。そうだよね。輝のせいじゃないよね。」

  史奈と加奈子は僕の言葉に嘘をついていないと見たのか、すぐにうんうん、と頷く。



  「マユ~、時間よ~。」

  「はーい。今行く~。」

  陸上部員の誰かに呼ばれるマユ。


  「ごめん、もう行かなくちゃ。そうだ、昼休憩の時間とかに少し話さない?そこのスキー場で。」

  マユの提案に、なんだか安心する僕。

  そして、さらに安心して、思いっきり胸をなでおろす、加奈子、史奈。


  「そうね、是非そうして欲しいわ。」

  「うん。良かった。なんか、モヤモヤして過ごすところだった。」

  史奈と加奈子が笑う。


  「ああ。わかった、もちろんいいよ。」

  僕はマユの提案に、頷く。


  「うん。じゃあ、あとでね。」

  マユはそうして、近くのホテルに宿泊する、陸上部のメンバーの元へと戻っていった。


  直後の午前練習。

  何だろう。少し不安な時間が流れる。


  史奈も、加奈子も黙ったままだ。

  ただ、サポートや練習はしっかりしてくれて、とてもありがたかった。


 そうして迎えた昼休憩の時間。

 早めに昼食を済ませ、僕、史奈、加奈子。

 そして、「面白そうだからついて行くよ。」といって、その一行に原田が加わる。

 僕たちは、マユに指示されたホテルの傍の、夏の芝生で覆われたスキー場に向かうのだった。




最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

少しでも続きが気になる方はブックマーク登録と高評価、いいねをお願いいたします。


評価は一番下の【☆☆☆☆☆】マークからできます!!


本当に、皆さんのリアクションが励みになっています。ありがとうございます。



●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

 https://ncode.syosetu.com/n1995hi/

 2.元女子魔道学院に異世界転生した男子の僕が入学するとどうなるのか?※このシリーズの異世界転生編です。

 https://ncode.syosetu.com/n7938ht/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ