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49.ポニーテールとツインテール


 合唱コンクールが終わり、翌週の月曜日。この週を乗り切れば夏休みである。

 生徒会での夏休みの活動も特になく、夏休み明けから、文化祭、体育祭の準備に取り掛かる。


 この日の昼休みは少し豪華に変貌する。

 僕の隣には結花、目の前には早織が居て、一緒にお弁当を開ける。


 結花も、合唱コンクール迄は一軍女子の集団と一緒に昼食をとっていたが。今日に関しては特別だ。

 「大丈夫。ハッシーには、合唱の指揮と伴奏で仲良くなったと言ってあるから♪」

 楽しそうにする結花の表情。


 「あの。これ。食べて。」

 早織はそう言いながら、唐揚げのどっさり入った箱を僕と結花に手渡す。


 「おーっ、すごい。流石、八木原さんだ。」

 結花は無邪気になりながら、唐揚げを勢いよく食べている。


 「ふふふ。良かった。」

 早織は微笑んでいる。

 だが僕たちは知っている。彼女は今も黒ぶち眼鏡を地味に掛けているが、眼鏡を取ればとてつもなく可愛い子なんだということを。


 実際に僕も早織の唐揚げを食べたが、本当に美味しかった。


 そんな楽しい昼休みの時だった。

 勢いよく、教室の扉が開く。


 「失礼します!!」

 と勢いよく元気に言った女子生徒。

 そして、その背後でペコペコとお辞儀をした女子生徒の二人が入ってきた。


 元気よく挨拶をした方の生徒はポニーテールで白色のリボン。

 ペコペコと黙ってお辞儀をした方はツインテールで綺麗なピンク色のリボンでそれを結んでいた。


 この二人に見覚えがあった。

 確か、葉月と加奈子のクラスで、合唱コンクールで指揮と伴奏をした人だ。

 金賞クラスの二人がわざわざ僕たちのクラスにやってきたのだ。


 「あ、あの二人って。」

 「そうだよね。確か、橋本君と一緒に・・・・・・。」

 クラスのメンバーがざわついている。そう、ポニーテルの生徒の方は、先日の合唱コンクールで、最優秀指揮者賞を取った人物。

 このクラスのメンバーにとって忘れている人はいなかった。

 なんせ、今日は合唱コンクールを終えて、週末を挟んだ直後の日だったから。


 そんなすごい人たちが一体なんで?と思ったが、二人は僕たちに目の前でぴたりと止まった。


 「せ、先輩?」

 結花の声が裏返る。


 「久しぶりね、結花。」

 ポニーテールの生徒は結花に声をかける。

 「あっ。知り合いなの?」

 僕は結花に声をかける。


 「うん。同じ中学校で、とてもお世話になった。先輩。」

 結花は元気よく僕に言った。


 「となると、結花にご用事かな。席を空けるね・・・・。」

 と僕は言ったが。


 「いいえ、違います。今は、君に用があります。」

 ポニーテールの生徒は僕を指さす。


 「改めて、最優秀伴奏者賞おめでとう。橋本輝君。」

 ポニーテールの生徒は頭を下げる。


 「あ、ありがとうございます。」

 僕は頭を下げる。


 「私は、2年C組、コーラス部部長の桐生心音(きりゅうここね)です。」

 ポニーテールの生徒、心音はそう言って自己紹介した。


 「そして・・・・・。」

 心音は一緒にいたツインテールの生徒の方に顔を向ける。


 少し恥ずかしそうにするが。

 「み、(みどり)風歌(ふうか)・・・・。・・・です。・・・・コーラス部で、・・・ソプラノ、・・・時々、・・・伴奏をしています。・・・よろしくお願いします。」


 そういって風歌はペコペコとお辞儀をした。

 「ピアノ、すごかったね。私の予想だと、最優秀伴奏者賞は絶対、ここにいる、風歌だと思ったのに。」

 心音はそう言いながら、ニコニコと笑っている。

 さらに、顔を真っ赤にしながら風歌は両手を僕に差し出す。


 「あ、会えてうれしいです。橋本君!!」

 声が裏返ったような緊張で、僕に両手を差し出してきたので、僕はそれに応えて、握手をすると、風歌はさらに顔が赤くなり、勢いよく僕の両腕を上下に振った。


 「あ、あの。大丈夫ですか?」

 僕は風歌に声をかけるが、風歌は息を整え。


 「は、はい。大丈夫です。」

 そういって、握手をした両腕を放す。


 「今日は、最優秀伴奏者賞を取った、橋本君にお願いがあってきました。」

 心音はそう言いながら、ウィンクする。そして。


 「橋本輝君。私たちのコーラス部に是非入部してほしいです。勿論、生徒会との掛け持ちもOKです。同じクラスの加奈子と葉月には私から話を通しておいてあるから。」

 心音はそう言って、僕に向かって頭を下げる。


 「え?あ、あの僕。」

 さすがに女声合唱に男子1人は僕はきついと思ったが。


 「大丈夫、君にお願いしたいのは、指揮とピアノ伴奏かな。早速なんだけど、県の合唱コンクールのピアノ伴奏頼めないかな?」

 矢継ぎ早に頼んでくる心音。

 僕は、少し戸惑うが。


 「あ、あの。心音ちゃん。橋本君、困ってる。」

 風歌が心音をサポートする。


 「あっ。ごめんなさい。少し、興奮しちゃったね。」

 心音は少し冷静になる。


 「あ、あの、見学だけでもいいので。来てくれると嬉しいです。」

 深呼吸した風歌はそれを見て、言った。


 僕は、少し戸惑うが。

 「すごいじゃん、ハッシー。コーラス部部長からの直々のお誘いじゃん。行ってきなよ!!」

 と結花の声。

 「うん。ピアノ弾いている輝君、すごくかっこよかった。やってみてもいいんじゃないかな。」

 早織は冷静に適切にアドバイスをくれた。


 僕は頷き。

 「そ、それじゃあ、見学だけでも。」

 僕はそう言うと。


 「本当?ありがとう!!」

 心音は得意げな表情をする。

 「う、嬉しい。ありがとう。」

 風歌は顔を真っ赤に染めながら、お礼を言った。話すことは苦手なようだが、いい人に感じた。


 「じゃあ、放課後、音楽室で待ってるね。」

 心音はそう言って、風歌を連れて、教室を出て行った。


 コーラス部。少し不安になるが、結花そして、早織。さらには先ほどの二人のやり取りを見て、少し冒険してみたいと心で言っている僕の姿があった。

 


最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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