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37.新メニューを作る


 母屋のキッチンで、調理が始まる。

 早織は、手際よく、野菜を切っていく。


 この動きについて行けるのは葉月だった。


 「まあ、私も負けないようにしなきゃね。是非、輝君と、来てくれるお客様に食べてもらわないと。」

 葉月はそう言いながら、早織を意識する。


 僕にも食べてもらいたい。少し胸がドキドキする。


 「葉月先輩がいてくれて、助かります。すごく早くできそう。」

 早織はそう言いながら、切った野菜を炒めていく。


 葉月と早織の動きについて行けない僕。


 「さすがに料理は苦手だなぁ。」

 僕はそう言いながら、お皿を準備していく。

 その準備を結花も手伝う。


 加奈子は興味津々に二人の動きを見ては頷き、調理を手伝っている。


 「これが、本物の料理人の手際の良さね。」

 加奈子はそう言いながら、早織と葉月の作業を手伝っていた。


 「加奈子も凄く速いね。」

 葉月の問いに。

 「まあ、家は基本一人でいることが多いからね。簡単なものを作って、自分で食べて。という感じかな。」

 加奈子はそう言いながら、笑っている。


 切った野菜を鍋に入れ、煮込んでいく。


 隠し味に、リンゴやラズベリーソースなど、フルーツの果汁を入れていく。


 「これで少し甘口にできるんだよね。辛いのが苦手な人も食べられるから。ただし、カレー粉は中辛の物を使うよ。そうすることで、辛いのが好きな人も親しみを持てる感じで。」

 早織は笑っている。どんなのが出来上がるのか楽しみだろう。


 まだまだ、ラズベリーソースは余っている。

 「デザートで使うのよ。ここからは私も得意ね。」

 葉月がウィンクしていった。


 葉月と早織は、デザート作りに取り掛かる。

 そして。


 「まだまだ、野菜も余っていて、もったいないから、ここからは私も料理するね。」

 加奈子はそう言って、厚めの鍋を用意し、野菜を小麦粉にまぶして、油で揚げていく。


 「天ぷらだね。」

 僕は加奈子に言うと。


 「そうだね。」

 と得意げになる加奈子。


 「あ~あ。加奈子も料理しちゃった。私も頑張るわよ~。」

 そういいながら葉月も、ラストスパートで、デザートを早織と一緒に作っていく。

 メインディッシュよりも、デザートなど、お菓子作りの方が得意な葉月。

 ここからは葉月の得意分野だ。


 「お二人とも、手際がいいですね。」

 早織もそれを見て、自分も負けないようにと思ったのだろう。定食屋で働いている血が騒いでいる。


 そうして、料理は完成していく。


 鍋の蓋を開けた途端、カレーの匂いが一気に広がる。

 「すごい。おいしそう。」

 僕は素直な感想を言った。


 「本当。ここに来てよかった。」

 早織は満足そうだ。


 「ねっ。ねっ。カレーをアイディアに出してよかったでしょ♪」

 そう得意気に話すのは結花だった。


 「そうですね。ありがとうございます。北條さん。」

 早織は結花に頭を下げる。


 だが、葉月と加奈子は結花を少し、睨んでいるようにも見えた。確かに、提案しただけで、料理が苦手て、僕と一緒に、テーブルの準備をして、あとはぼんやり見ていただけだった。

 その様子を料理しながらでも見ていた、葉月と加奈子の心の内も頷けるが。


 「ううん。八木原さんが、頑張ったからだよ。お疲れ様~。お店で出せるといいね。ごめんね。ウチ、料理苦手でなにもしなくてさぁ。」


 その結花の言葉に、葉月と加奈子の表情は完全に緩んでいた。


 「いいえ。きっと北條さんが居てくれなかったら・・・・・。」

 早織は少し涙目になるが。


 「一緒に食べよう。きっと美味しいって。」

 結花はそう言いながら、早織の肩をポンポンと叩く。


 僕はそれぞれお皿に料理を盛り付ける。

 メインは季節の野菜のカレーライス。そして、加奈子が揚げていた、天ぷら、サラダ。

 そして、早織と葉月が作った、ラズベリーソースのアイスクリームが並ぶ。


 どうだろう、あまり、統一されてない食卓だが、新メニューを考える食卓にとっては十分すぎるほど、豪華な料理が並んだ。


 「「「「いただきます。」」」」


 僕たちは料理を食べ始める。


 僕の舌の中でものすごく広がる味だ。

 「すごくおいしい。」

 僕は素直に感想を言う。


 「本当?良かった。」

 早織はそう言いながら笑っている。


 どれも本当に美味しく、早織の店での新メニューに使えそうだった。


 「全部試してみたいね。」

 結花はそう言った。


 「本当?良かった。デザートも試したい?八木原さん。」

 そう聞いているのは葉月だ。

 料理だけは、お菓子作りだけは誰にも負けない自信があるのだろうか。


 「そうだね。デザートが一番使えそう。」

 早織はそう言って、笑っている。


 「ありがとうございます。葉月先輩。」

 早織のお礼は葉月を満足させたものだった。

 少し自信がついたのだろう。

 料理は得意と思っていた、葉月の目の前に現れたのが、早織だったから。


 「生徒会長が作った、天ぷらやサラダも、アレンジを加えれば使えそうです。天ぷら定職にするだとか、天丼のソースを作るとか、サラダのドレッシングを工夫するとかで。」

 早織は笑いながら言っている。


 「そう、よかったわ。1人で料理して、1人分のおかずを作るだけだったからね。」

 加奈子は早織にそう言ってもらえて少し嬉しそうだった。


 「橋本君。今日はありがとうね。・・・・・・。」

 早織は僕に向かってお礼を言う。


 「気にしなくていいよ。お互い様。」

 僕は笑顔で返す。


 「あのね・・・・・。えっとね・・・。」

 早織は少し戸惑っている。


 そして。

 「あの、橋本君。またここに来ていい?畑の野菜、私のお店で使いたいの。」

 早織は陰キャで眼鏡をかけていたが、その瞳の奥からものすごい熱意を感じた。

 そして、この声も、本当に力があった。


 「もちろん。」

 僕はそう言った。


 「もちろんだよ。お嬢ちゃん。たくさん持っていきなよ!!」

 背後から、伯父の声がした。


 「うまそうなもん作ってくれて、俺も感謝だよ。お店もやっているとのことなので、お金とかこまけえ話は、また後でな。まずは、お客さんが来るように頑張れよ!!」

 伯父はそう言いながら、笑っていた。


 「はい。ありがとうございます。」

 早織は、今日の一日ですっかり自信がついたようだ。


 


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