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20.選挙活動


 生徒の登校時間前、本当に僕は一番乗りで学校に来た。

 そして、ほぼ同時に、加奈子と、瀬戸会長、そして葉月が学校に登校した。


 「おはよー、輝君。一番乗りだね~。」

 葉月はそう言うと、準備をする。

 「輝がやる気が合って、助かるよ。」

 加奈子はそう言いながら、笑っている。


 「おお、皆、早い速い。特に橋本君。朝練とかがなくて、こういう朝早い登校に、てっきりなれていないのかと思ったよ。少なくともlineは返そうね。心配するから。」


 瀬戸会長に言われて、慌ててスマホの通知を見る。

 【おはよー。今日は何するか覚えてかな?通知を見たら今すぐ自転車に飛び乗って、学校へレッツゴー】

 その後に、かわいいキャラクターのスタンプが押されている。


 時刻を見るとちょうど、用意して、自転車をこぎ始めた瞬間だ。


 「すみません。自転車に乗っていて、マナーモードにしていたので。」

 僕は瀬戸会長に頭を下げる。


 「うんうん。大丈夫。大丈夫。次からは早めにモーニングコールするわね。私も電車に乗ってから心配になったから。」

 瀬戸会長はそう言いながら準備を始めた。


 「さてと、選挙運動、開始よ!!」

 そういって、瀬戸会長は旗を持ってきた。

 旗には『生徒会長候補』と書かれている。


 「無料で貸し出されているの。そして。」

 瀬戸会長は、『井野加奈子』と書かれたタスキを持ってきた。

 よく、選挙の候補者が書けているタスキだ。


 「まあ、これも作りものなのだけどね。それじゃ、出発しましょうか。」

 瀬戸会長はそう言いながら、校門の前へと、僕たちを案内をした。

 加奈子は当然、タスキをかけている。


 僕たちは、登校してくる生徒たちに向けて、校門に立って、挨拶運動を開始した。


 「おはようございます!!」


 「おはようございます!!」


 そう挨拶をしながら、登校してくる生徒がみんなこちらの方を向いて挨拶を返してくれる。

 男子である僕を一瞬不思議そうに見る視線も少しあったが、そんなもんなんだなと思いながら、生徒たちはみんな校門のを潜り抜けて行った。

 それを見て僕は少し安心する。


 挨拶運動、これは効果がありそうだな。

 僕たちはそう思いながら、翌日以降も挨拶を続けた。

 すると、翌日以降、男子である僕に対しても、挨拶を返してくれる女子生徒が現れ始めた。


 そうして朝は早く登校し、夕方は加奈子と一緒にバレエ教室に通い、コンクール決勝に向けての練習の日々が続いた。

 「ヨシッ。かなり仕上がっているぞ。会長選挙も頑張れよ。二人とも!!」

 原田はそう言って、毎回僕たちを送り出してくれた。



 そんな中で迎えたある日の放課後のこと。


 「輝。いつもありがとね。」

 加奈子はそう言いながら話しかけてくる。


 「いえいえ。少し忙しいですけど、皆さんのおかげで。」

 僕はそう言いながら、笑っていた。


 「うん。お礼というか、今日は少し時間があるから、みんなで勉強会はどうかな?もうすぐ、中間試験だし。忙しく手伝ってもらっているお礼。私のせいで、輝の成績下がってしまったら・・・・・・。」

 不安な表情を浮かべる加奈子。

 そうだ、そういえばそうだった。もうすぐ生徒会選挙、そして、バレエの決勝と並行して、そうだ。中間試験が控えていた。


 最も、僕の場合。嫌な思い出にはなるが、ここまでの範囲は前の学校でやっているので、そこまで気にはならなかったが。

 加奈子がどうしてもという目をしているので、生徒会みんなで、勉強会に参加することにした。


 「わからないところとかはある?」

 加奈子が聞いてくる。表情はとても心配そうだ。

 自分のせいで、勉強を犠牲にして、成績が下がったらと内心、震えているようだ。


 「エーっと。どれどれ~。」

 その様子を横で見ていた瀬戸会長。つかさず僕のノートを覗き込み。


 「すごいじゃん。ほとんどあってる!!少なくとも、当時の私よりいい感じよ。」

 瀬戸会長は僕のノートを見て驚く。

 数学の問題集。一問一問真剣に解いていき、僕と加奈子は勉強会といってもお互い無言の時を過ごしていたが、瀬戸会長と葉月がカバーする。


 「他の教科のノートも覗いちゃおう!!」

 葉月はそう言って、机の上に積んであった、他の教科の僕のノートも覗く。

 「あの、ちょっと!!」

 僕は止めようとしたが、やはりもともと陰キャな僕。葉月の方が少し早く。


 「何これ。加奈子、これヤバいかもよ。」

 葉月は驚くように加奈子を見る。


 「えっ。えっ。やっぱり、私のせいで輝の成績・・・・・・。」

 加奈子は冷や汗気味の表情を浮かべる。


 「逆だよ。逆。ほとんどあってる。少なくともそう簡単に赤点にならないし、間違いなく上から数えた方が早い順位になるよ。もうひと踏ん張りすれば、学年トップだって行けるかも。」

 そういいながら葉月は驚いていた。


 「ほんとだね。加奈子ちゃん、負けないようにしなきゃだね。そして、橋本君もね。」

 瀬戸会長は笑いながら頷いている。


 加奈子はホッと一安心したかのようにため息をつき、僕に負けないようにと必死で勉強をつづけた。

 本当に真面目な人だ。

 成績優秀、バレエスタジオのプリンシパル。そして、今回の選挙に当選すれば、生徒会長と、こうしてみると非の打ち所がない。


 「いやいや。加奈子先輩の方が僕なんかよりもすごいですよ。それに僕は・・・・・・。」

 まずい。一瞬言葉が詰まる。

 とてもじゃないが、この範囲を一回やったことがあるとは言えないよな・・・・・・。いずれは明かさないといけないが、自分が前の高校を退学になってここにいることがバレたら一体どうなることやら。


 幸いにも、理事長、つまり葉月の父親の慎一は、生徒の個人情報は保護するものという理念のもと、僕の経緯は葉月に話していないことが本当にありがたかった。


 「大丈夫?輝。」

 加奈子がこちらに視線を向けてくる。

 「大丈夫です。大丈夫です。そう、それに僕は、予習、欠かさずやってますから。」

 僕は少し早口で答える。


 「まあ、偉いね。」

 「ほんと、見習わなきゃだなぁ~。私も輝君を。」

 葉月と瀬戸会長はうんうんと頷く。


 まあ、部屋にこもってピアノと予習をしていることは事実だから、何とか誤魔化すことができた。


 「ふふふ。今日はこれくらいにしておきましょう。加奈子ちゃんも橋本君もバレエスタジオに行く時間よね。」

 瀬戸会長が笑いながら時計を指さす。

 「そうですね。」

 僕は頷く。加奈子は黙ってうなずく。


 「私もバレー部覗いて行かないとね。」

 瀬戸会長はそう言いながら片付け始める。


 「また明日早いけどよろしくお願いします。」

 加奈子はそう言いながら、頭を下げて、今日の勉強会を終わりにして、僕と加奈子はバレエスタジオに向かって行った。


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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

 1.忍者翔太朗物語~優秀な双子の兄だけを溺愛する両親のもとで奴隷のような生活をして育った忍者のお話~URLはこちら↓

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