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2.期末試験の最終日

■改訂履歴

・初めて出てくる登場人物、固有名詞にフリガナを入れました。


 夏休み前、一学期の期末試験の最終日。

 キーンコーンカーンコーン。

 最後の科目の試験が終わる。

 僕はふうっ、とため息をつく。試験全日程終了。


 と、その時だった。

 「橋本、あとで校長室に来い。」

 担任の先生が低い声で僕に向かって言った。


 担任の先生に連れられて、校長室に向かった。

 校長室の扉をノックし、入室する。


 そこには、理事長、校長、教頭のこの高校のそうそうたる面々。さらに何人かの保護者らしき人がここに立っていた。


 「待っていたよ。橋本君。そこに座ってくれ。」

 僕は理事長に促されるまま、校長室のソファーに腰かける。


 「さて、いろいろ聞きたいが、先ずは、今回の期末試験、カンニングをしたそうじゃないか。」

 理事長の言葉に頭の中にクエスチョンマークがつく。


 「いや、そんなことは・・・・・・・。どうやってカンニングしたと。」

 僕は理事長に聞き返す。

 事実、そんなことはしていない。


 「とぼけるなよ。これが証拠だ。」

 ここにあったのは、昨日実施された科目の僕と、安久尾の答案だった。

 「点数も一緒、間違い方も一緒。どうだね?」


 いや、それは偶然だと思います。と言おうとしたが。


 「おまけに、今日の科目だって、机の中のテキストが開いたままだったと、証言している生徒がいるぞ!!」

 矢継ぎ早に理事長が言う。

 僕に弁明の時間はなかった。


 「そして、そちらの方々だ。まずは、こちらの人が店長を務める書店で万引きをしたそうじゃないか。」

 理事長が案内した方向には、確かに保護者の一人が立っていた。

 そもそも、万引きもしていないし、この店長らしき人物には初めて会う。


 「やってな・・・・・。」

 僕の口を遮るかのように、店長は言った。


 「万引きをした生徒は、確かに橋本輝(はしもとひかる)と名乗りました。雰囲気も似ているので、間違いないかと・・・・・。」

 店長は僕と理事長に向かって言う。


 「貴様の悪行はこれだけではないのは知っている。そちらの方はの娘さんは、別の高校の生徒さんなのだが、合コンを開いて、娘さんを無理やりホテルに連れ込んだということを聞いている。そして、これを見てみろ。」

 理事長は、その母親らしき人から何かを預かり僕に見せた。

 いくつか中心部分に線が入っている。


 「妊娠検査で陽性だ、貴様、事の重大さをわかっているのか?その生徒さんは今でも部屋に引きこもっているんだぞ!!」


 いやいや、そんなことなんてしていない。そもそも、僕は陰キャだ。そんな僕が合コンを主宰するなんて。

 その他校の女子生徒の名前を理事長は口にしたが、そんな名前の人なんてあったこともない。


 とにかく、僕はやっていないという態度を取ろうとしたが、この校長室にいる人々は、その態度がとぼけた態度だと思われ、さらに火に油を注ぐことになり。


 「貴様は今すぐ退学だ!!ここにいる人たちの意向で、警察にも連絡はしないでやる。それだけでも感謝するんだな。今すぐ荷物をまとめて、この高校から出て行きたまえ!!」

 理事長の言葉が覆ることもなく、僕はトボトボ校長室を後にする。


 理事長、そして、担任に言われるがまま、荷物をまとめる僕。

 教室で、一人黙々と、その作業をしていると、トントンと足音がして、こちらに近づいている。


 「ハハハ。滑稽だぜ!!橋本!!」

 振り返ると、そこには安久尾五郎が居た。

 「その様子だと、カンニングとその他諸々の行為が理事長にバレて、退学を告げられたらしいじゃねーか。」

 安久尾は鼻を高くして笑っている。

 「悪いな。俺が合唱部の指揮者なんだよ。お前がこの高校に入学してきて目障りだったんだよ。俺みたいな優秀なエリートは俺だけで十分だ。だから俺がやったことも父上と、理事長の兄、つまり与党の幹事長に相談して、金を渡してもみ消したのさ。そして、お前に矛先が向くようにな。そうさ、橋本がすべてやりましたと嘘をつくように仕向けたのさ。と、言うわけで指揮者はもらった。気付いていないのか。お前がこの地域のピアノコンクールで、俺より上の順位を取った次年度のコンクール。お前異様に点数が低くて、予選落ちだったよな。それも、父上が審査員に金を渡していたからさ。」

 安久尾は高らかに笑う。そして、僕の胸ぐらをつかむ。


 「じゃあな。橋本。もう二度と俺の前に姿を現すな。陰キャのくせに、うぜぇんだよ。きめぇんだよ。」

 そういって、安久尾は手を放し、僕を投げる形で、床に突き落とす。

 痛い。


 「チッ。」

 そう舌打ちを最後にしながら、安久尾は教室を出て行った。


 許せなかった。とても悔しかった。

 一体どうすればいいのだろう。


最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

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