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19.選挙の告示


 バレエのコンクール。午後の部は中学生部門になった。

 中学生部門の間。僕と瀬戸会長、そして葉月はホールの傍にある、【雲雀川の森公園】を散策することにした。

 途中までは加奈子も公園にあるレストランで、昼食を一緒にしたのだが、同じ教室に通う中学生を応援したいということで、ホールの方に戻っていった。


 「予選通過、改めて、おめでとう!!」

 「ふふふ。橋本君、本当にお疲れ様。」

 葉月と瀬戸会長は他愛のない会話を続けて、ニコニコと笑っていた。


 やがて夕方になり、葉月と瀬戸会長はそれぞれ、帰っていき。僕もそろそろ中学生部門が終了するころだろうと思い、ホールに戻った。


 ホールに戻り、加奈子と合流して、中学生部門の発表を見る。

 僕が見た中には藤代さんも含まれており、本当に加奈子に引けを取らない、安定した演技を見せていた。


 そして、中学生部門の予選通過者が発表され、その中には藤代さんも含まれていた。


 「安定の演技だったね。雅。」

 加奈子は藤代さんに向けて言う。

 「はい。でも、加奈子先輩にまた負けた感じがします。橋本さんのおかげで。」

 藤代さんも、加奈子と同じ、真面目で、ストイックな性格なのだろう。

 帰ったら、お互い決勝に向けてさらに練習しそうな雰囲気だ。



 「ヨシッ。お前たち、1日お疲れさまでした。本当に良かったぞ。」

 原田はそう言いながら、ホールを後にし、再び車を出して送ってもらった。


 僕は改めて、車を出してくれたお礼に、頭を下げて、皆と別れて帰路に就いた。



 翌日は久しぶりの発表会だったので、疲れが残っていたのか。遅く起き。

 残りの連休は、畑仕事と予習をして、伯父の家でゆっくり過ごした。


 そして、連休明け。最初の日。

 今日はいよいよ。生徒会長選挙の立候補の説明会と、届け出、さらに告示の日。


 「さあ。気合を入れて、頑張るわよ~。」

 瀬戸会長は緊張感を持ちながらも、どこかウキウキしながら言った。

 「さあ。加奈子。挨拶して。」

 葉月はそう言いながら、加奈子を僕たちの真ん中に出す。


 「あ、あの。最後まで、よろしくお願いします。生徒会役員の経験を活かせるように頑張ります。」

 加奈子はそう言いながら、頭を下げた。


 今、加奈子の周りには、僕と、瀬戸会長と葉月という、推薦人3人しかいないが、選挙期間中いろいろな場所で、いろいろな活動をして、支持者を一人でも得られればいいなと思う。


 「それじゃ。この紙に書いて行こう!!」

 葉月はそう言って、立候補の届け出用紙を広げる。


 「まずは・・・・。」

 葉月は加奈子の方を見る。


 加奈子は頷く。


 【立候補者:2年C組、井野加奈子】

 一番大きな枠に加奈子は自分の名前を書いた。


 「そして。」

 瀬戸会長はウィンクしながら前に進む。

 【推薦人1:3年E組、瀬戸史奈】


 「よーっし。」

 葉月が元気よく前に進む。

 【推薦人2:2年C組、花園葉月】


 葉月は頷く。

 「それじゃ、最後に。」

 葉月は僕の方を向いた。

 瀬戸会長も、加奈子も僕の方を向いて、頷いている。


 僕はペンをもって、自分の名前を書く。

 なぜだろう。これほどまでに自分の名前を書くことに対して、緊張したことはこれまでなかった。


 ゆっくり丁寧に、名前を一画、一画書いていく。


 【推薦人3:1年B組、橋本輝】


 最後の一画を書いて、ペンを紙から離す。


 僕たちはそれと同時に拍手をした。


 そうして、僕たちはその紙を提出し、晴れて、加奈子は生徒会長選挙に立候補したことになった。


 翌日、校内の各所で、張り紙が張り出される。

 もちろん、生徒会長に立候補する、候補者の生徒の名前と、推薦人の名前だ。


 やはり、校内のどこの掲示板も、人だかりが一杯だった。

 僕はその珍しさに、あっけにとられたが。


 すぐに瀬戸会長がフォローする。

 「毎年の恒例行事ね。誰に入れるか悩むもの・・・・・。」

 瀬戸会長はそう言いながら、笑っていた。


 少し騒がしい一日のその日の昼休み。

 「ハッシー、ヤバくない。推薦人になったの?」

 そんな風に声をかけてきたのは、クラスの一軍女子と言われる、北條結花だった。


 結花とはクラスでいちばん接点がある。男子が僕一人のこのクラスにとって、唯一の接点が結花だった。


 「まあ。成り行きでね。すごっく勇気が必要だったけど・・・・。」

 僕は下を向きながらも結花とコミュニケーションをとる。


 「すげーじゃん。ホント。マジで。」

 結花は興奮気味に僕に向かって言う。


 「そうなのかな?今年から共学になったということだけれど、ほぼほぼ女子しかいないところで、どう思われているかすごく気にしてしまう、僕がいるんだけど。特に、結花さんからこういわれると。」


 僕は正直に話す。確かに、最初は戸惑ったが、瀬戸会長や葉月、加奈子を見ていると放っておけなくて。

 今までは、生徒会メンバーのおかげで、推薦人になるぞ。と思っていたが、いざ、全校生徒の前に名前をさらされるとなると、少し緊張してくる。


 「いいんじゃない。堂々としていいと思うよ。ちなみに一年生は他のクラスにも男子がいるから~。最初は少し驚いたけれど。考えてみれば、まあ、普通って感じかな。」


 結花は、確かに最初は少し驚いていたが、あとは普通にコミュニケーションをとっている。


 「ありがとう。そういってくれると、助かる。」

 僕は結花にお礼を言う。


 「うん、うん、そうしなって。きっと、生徒会でも入学してきて、最初の月で、頑張ったからこういうところに立っているんだよ。大丈夫。大丈夫。」

 結花はそう言って、自分の席、クラスの一軍女子のたまり場へと戻っていく。

 それを見る僕。結花に言われて少し安心する僕が居た。



 そうして放課後、生徒会室へと向かう。

 「さあ。加奈子ちゃんの選挙活動開始よ!!といっても、顔を覚えてもらうために、朝、校門に立って、挨拶することくらいしかないんだけどね。」

 瀬戸会長はそう言って、活動を提案する。


 「そうですね。他の候補もいるので、あとはクラスを回ったり、いろいろ準備したり、SNSとかにアップするくらいですね。」

 葉月は瀬戸会長の提案に乗った。

 もちろん加奈子もそれに頷く。


 「よ、よろしくお願いします。」

 加奈子はそう言いながら恥ずかしそうに頭を下げる。


 「ということで、輝君、明日の朝は少し早く出て来られる?」

 葉月にそう言われたので、僕は黙ってうなずく。


 生徒会の選挙活動がこうして始まった。

 

 


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●現在執筆中の別作品もよろしければご覧ください。

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